おうよう けい
欧陽 炯[1][2]
生誕896年
死没971年
洛陽
職業政治家、詩人、詞人、文学者
代表作『花間集』序
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欧陽 炯[1][2](おうよう けい、896年(乾寧3年) - 971年(開宝4年))は、中国五代十国時代の後蜀の大臣、花間派詞人。字は不詳。益州華陽県(現在の四川省成都市双流区)の人。父は唐の通泉県(現在の四川省遂寧市射洪市)令欧陽珏[注 1]。
経歴(中国語版
太祖の開宝4年(971年)、宋が南漢を滅ぼすと、彼は南海を祭る一件で、太祖の弟の趙光義に罪を得て、本官西京[注 2]分司[注 3]を以て卒した。年は76歳、工部尚書を追贈された。 長笛を吹くのが上手で、宋の太祖は偏殿[注 4]まで召し出して吹かせたという[3]。また詞に巧みであり、風格は極めてなよやかな趣で、女子の心の有様を写すのが上手である。鄭振鐸は、欧陽炯を「『花間集』中、温(温庭?)・韋(韋荘)の後を継ぐに堪うる一大作家である」と評している[4]。 また、詩の代表作として、『貫休応夢羅漢画歌』『題景煥画応天寺壁天王歌』等がある。 巫山一段雲[* 1] 南郷子[§ 1] 春光好[‡ 1]
芸術的評価
代表詞作
白文書き下し文訳文
春去秋來也[* 2]春去り 秋来たるや[* 2]春は去り秋がやって来た
愁心似醉醺[* 3].mw-parser-output ruby.large{font-size:250%}.mw-parser-output ruby.large>rt,.mw-parser-output ruby.large>rtc{font-size:.3em}.mw-parser-output ruby>rt,.mw-parser-output ruby>rtc{font-feature-settings:"ruby"1}.mw-parser-output ruby.yomigana>rt{font-feature-settings:"ruby"0}愁心(しゅうしん) 酔醺(すいくん)[* 3]に似たり物寂しい気持ちは酔いが身に沁(し)むよう
去時邀約[* 4]早回輪去る時 約(やく)を邀(むか)えて[* 4] 早(つと)に輪(りん)を回(かえ)す別れる時に、また会う約束をすると、早々と車輪を返して去って行く
及去又何曾去るに及(およ)びて又(ま)た何ぞ曾(かつ)てせんや[* 5]あなたが去る時に今まで何かこんなことってあったかしら[* 5]
歌扇花光黦[* 6]歌扇の花光 黦(えつ)たり[* 6]わたしが歌舞に使う扇の花柄は黝(くす)んで色(いろ)褪(あ)せ
衣珠滴?新衣珠(いしゅ) 滴(したた)って 涙 新たなり服に縫い付けた珠飾(たまかざ)りが滴り落ちるように涙もまた新たに滴り落ちる
恨[* 7]身翻[* 8]不作車塵恨(うら)む[* 7]らくは 身(み) 翻(ひるがえ)って[* 8]車塵と作(な)り残念なのは、変身してその車輪に付く土ぼこりとなって
萬里得隨君万里 君に随(したが)う[* 9]を得ざらんことを万里の長途(ちょうと)[* 10]、ずっとあなたに付いて行けないこと
注釈
^ 「巫山一段雲」は題名ではなく詞調名(詞牌)。
^ a b 「也」で「秋が来た!」と強調している。
^ a b 「醺」は字義通りには「ほろ酔い」だが、ここでは「酔醺」で、酔ってふらついて気分が悪いことを言うようだ。
^ a b 「邀約」で「(また会う)約束をする」。
^ a b 反語。「今までこんなこと何もなかったのに!」。
^ a b 黒ずんだ黄色。黒ずみ色(いろ)褪(あ)せた様子。
^ a b 残念な気持ち。心残りな気持ち。
^ a b 「身翻」で、生まれ変わる。または変身する。
^ 付き従う。付いて行く。
^ 長い道のり。
白文書き下し文訳文
畫舸停橈画舸(がか)[§ 2] 橈(かい)を停(とど)む彩られた船が櫂を停める
槿花籬外竹横橋槿花(きんか) 籬外(りがい) 竹(たけ) 横たわる橋[§ 3]槿(むくげ)の花咲く垣根の外、竹を架け渡した橋のあたり
水上遊人沙上女水上の遊人 沙上の女水上の船に乗った旅人に河原の砂の上の女性が
迴顧迴顧(かいこ)し振り返り
笑指芭蕉林裏住笑って指さす 芭蕉(ばしょう) 林裏(りんり)に住めり、と笑いながら芭蕉の林を指をさす、あの中に住んでいる、という様子で
注釈
^ 「南郷子」は題名ではなく詞調名(詞牌)だが、「江南の郷村」という意味に解せば、内容と一致している。このような場合を「本意」と呼ぶ。
^ 「舸」は大きな船。
^ 『歴代名詞選』(1965年), pp.116-117では“槿の花咲く垣根の外の竹の生えている辺りに「よこたわ」って架けられた橋”としているが、『全唐五代??注』(1998年), pp.1139-1140 (籍成山 撰稿)では“槿の花咲く垣根の外に「竹を架け渡して作った橋」”としている。
白文書き下し文訳文
花滴露花 露を滴らせ花はしとどに露を滴らせ
柳搖煙柳 煙(けむり)に揺(ゆ)る柳は霞(かすみ)の中で揺れる
艷陽天艶陽(えんよう)の天日の煌めく麗らかな春の空
雨霽山櫻紅欲爛雨 霽(は)れ 山櫻(さんおう)[‡ 2] 紅(くれない) 爛(らん)せんと欲し雨が上がって晴れた空に、山桜[‡ 2]が灼(や)けるように真っ赤に咲き乱れて
谷鶯遷谷鶯(こくおう)[‡ 3] 遷(うつ)る[‡ 4]鶯(うぐいす)は谷渡り[‡ 5]する
飮處交飛玉斝飲む処 交〻(こもごも)[‡ 6]玉斝(ぎょくか)[‡ 7]を飛ばし飲み会では、玉(ぎょく)の盃を投げ交わすように乾杯し合い