機甲科(きこうか、英: Armor)は、陸上自衛隊の職種の一つで、主に戦車部隊・機動戦闘車部隊・水陸両用車部隊及び偵察部隊を構成するものである[1]。職種学校は富士学校・水陸機動教育隊である。職種標識の色は橙。
機甲科又は これと同種 の部隊等として、戦車連隊、戦車隊、水陸機動団戦闘上陸大隊、水陸機動団偵察中隊、偵察戦闘大隊、戦車大隊、戦車中隊、 偵察隊、機動戦闘車(中)隊、機甲教導連隊がある[2]。 戦車部隊は火力・装甲防護力及び路外機動力に優れ、機動打撃力および対戦車戦闘の中心として敵を撃破することを任務とする。北海道に所在する第7師団(機甲師団)に3個「戦車連隊」、第2師団(機動師団)に「戦車連隊」、第5旅団(機動旅団)・第11旅団(機動旅団)に「戦車隊」が編成されている。そして、九州に所在する西部方面隊に「戦車隊」[注 1]が編成されている。必要に応じて戦車連隊を基幹に戦車戦闘団(戦車連隊戦闘団)と呼ばれる諸職種混成部隊が編成される。教育訓練及び調査研究の支援は機甲教導連隊[3][4]が担任する。また、演習対抗部隊(仮想敵部隊)として、部隊訓練評価隊隷下の評価支援隊(第1機械化大隊)に戦車中隊が編成され、専用塗装を施した90式戦車を使用する。 戦車部隊の主な装備品は10式戦車・90式戦車(90式戦車は北部方面隊・富士学校の機甲科部隊のみ配備)。その他に96式装輪装甲車、87式偵察警戒車(一部)などを装備する。 冷戦期、大規模着上陸侵攻に対する備え[5]の一環として戦車配備が進められ、1990年代初頭には戦車保有概数が1,210両[6][7]に達したが、1989年12月の冷戦終結宣言と1991年12月のソビエト連邦の崩壊により、1995年以降の防衛計画の大綱では戦車保有定数が段階的に縮小され、戦車部隊の整理が進められている[注 2](詳細は陸上自衛隊の廃止部隊等一覧#機甲科を参照)。なお、現行の防衛大綱では戦車の将来の規模は約300両とされ、2021年3月末時点の戦車保有概数は570両[8]である。 近年では2013年に策定された中期防衛力整備計画(26中期防)以降、北海道と九州以外に所在する作戦基本部隊(師旅団)が装備する戦車は順次廃止[9][注 3]、九州に所在する戦車は新編された西部方面隊直轄の西部方面戦車隊[注 4]に集約配備された。また、教育部隊についても整理改編が実施された。
戦車部隊
10式戦車(西部方面戦車隊所属)
10式戦車(第71戦車連隊所属)
90式戦車(第2戦車連隊所属)
90式戦車(第72戦車連隊所属)
戦車部隊の一覧
第2戦車連隊(第2師団・北海道空知郡上富良野町、4個戦車中隊基幹)
第5戦車隊(第5旅団・北海道河東郡鹿追町、2個戦車中隊基幹)
第71戦車連隊(第7師団・北海道千歳市、4個戦車中隊基幹)
第72戦車連隊(第7師団・北海道恵庭市、4個戦車中隊基幹)
第73戦車連隊(第7師団・北海道恵庭市、5個戦車中隊基幹)
第11戦車隊(第11旅団・北海道恵庭市、2個戦車中隊基幹)
西部方面戦車隊(西部方面隊(平素第8師団隷属)・大分県玖珠郡玖珠町、2個戦車中隊基幹)