機動戦士ガンダム_第08MS小隊
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機動戦士ガンダム 第08MS小隊


OVA
監督神田武幸(第1話 - 第5話)
飯田馬之介(第6話以降)
アニメーション制作サンライズ
話数全11話
OVA:機動戦士ガンダム 第08MS小隊
特別編 ラスト・リゾート
監督森邦宏
仕舞屋鉄
アニメーション制作サンライズ
発売日1999年7月25日
話数全1話
映画:機動戦士ガンダム 第08MS小隊
ミラーズ・リポート
監督加瀬充子
制作サンライズ
封切日1998年8月1日
上映時間50分
関連作品


ガンダムシリーズ

テンプレート - ノート
プロジェクトアニメ
ポータルアニメ

『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』(きどうせんしガンダム だいぜろはちエムエスしょうたい、英題: MOBILE SUIT GUNDAM The 08th MS Team)は、ガンダムシリーズOVA作品。1996年から1999年にかけて全11話と後日談の特別編『ラスト・リゾート』を制作、1998年には劇場版『ミラーズ・リポート』も公開された。略称は「08小隊」、「08」[1]
概要

第08小隊は『機動戦士ガンダム』とほぼ同時期を描いた外伝作品。他のガンダムシリーズ作品よりも、戦場の生々しさやリアリティを追求した描写が特徴。そこに、理想に燃える青年士官シロー・アマダが主人公として登場することで、戦争の現実とかけ離れた彼の人物像が強烈な印象をもって対比されている。シローは軍務・倫理・色恋のはざまで迷走し[2]、「リアル」なのは兵器のメカニック描写や戦闘のみ[3]とされ、作品自体は中村雅俊の学園青春ドラマの戦場版を想定したとのことである[4]

ハッピーエンドだったのかバッドエンドだったのかについてはぼかされたまま終わり、それを明らかにするのがエピローグスペシャルエピソード『ラスト・リゾート』である。また、第3巻から映像特典として、一年戦争の出来事を紹介するミニストーリー『宇宙世紀余話』が収録されている。

当初の構想では全12話完結で、当初の監督は神田武幸であったが、製作途中に体調を崩したため、第6話からは飯田馬之介が担当する。ストーリー自体は神田が考えていた筋書きに沿っているが、その後1996年7月27日に神田が急逝したため、飯田ら残されたスタッフは生前神田が書き残していたメモやプロットを元に第11話までを完成させ、第12話ではなく特別編という形で『ラスト・リゾート』を制作している[5]。本作は神田の遺作となった。

商業的な結果については出荷ベースで前作『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』を上回り、全巻累計は115万本(ビデオ・LD・DVDを合算)を記録した[6]

角川書店からは大河内一楼による小説版、飯田馬之介による漫画版『機動戦士ガンダム第08MS小隊 U.C.0079+α』がそれぞれ刊行された。

後年にはTOKYO MX[7]BS-TBSBS11[8]チャンネルNECO[9]関西テレビ[10]などでテレビ放送された。
物語
本編
地球連邦軍の新米士官であるシロー・アマダ少尉は、東南アジア戦線の第08MS小隊長として配属されることになったが、地球へ向かうシャトルの窓から、ジオン公国軍のMS小隊と交戦して危機に陥る先行量産型ジムを発見する。シャトルに積載されていた先行試作型ボールで緊急出撃したシローは敵機を行動不能にするも、ジオン軍パイロットともども遭難してしまう。そのパイロット、 アイナ・サハリンと生還のために一時協力して危機を脱したシローは、アイナとお互いの名前を名乗りあって別れる。配属された東南アジア戦線では、シローよりも古参のベテラン兵が数多く待ち受けていた。第08小隊の隊長となったシローは「自分が隊長である限り、誰も死なせない」と理想主義丸出しの訓示を行い、宇宙でシローに助けられたテリー・サンダース軍曹以外の部下から失笑を買う。しかし、その実直な態度や行動力は次第に周囲に認められていき、現地ゲリラの少女であるキキ・ロジータとの出会いをきっかけに、彼女らとの共闘体制を築くことにも成功する。そんな中、ジオン軍がジャブロー攻略用に開発中の試作兵器「アプサラス」の存在が明らかとなり、交戦した08小隊とシローは苦戦しながらも同機を戦闘不能に追い込む。その時、アプサラスのパイロットがアイナであると知ったシローは、戦闘の最中にもかかわらず彼女に「好きだ!」と呼びかける。ヒマラヤ山中に機体が墜落したことでまたも遭難した2人は愛を告白し合い、連邦もジオンも関係なく同じ人間として分かりあえるという理想を共有する。しかし、そんなシローの思いを理解できない連邦軍上層部は彼にスパイ容疑をかけ、08小隊を敵の本陣である鉱山基地ラサの攻略戦送りにしてしまう。一方、アイナの兄でアプサラスの開発者であるギニアスも、連邦との和解を訴えるアイナに疑念と憎悪を募らせる。そして、アプサラスIII完成という妄執に取り憑かれたギニアスが関係者全員を謀殺し、完成した同機で出撃したことによって、事態はラサを包囲する連邦軍との睨み合いに発展してしまう。シローはアイナを助けるために連邦軍を抜ける覚悟を決め、単独でガンダムEz8を駆ってアプサラスIIIに立ち向かう。
特別編「ラスト・リゾート」
シローはアイナとともにアプサラスIIIの撃破に成功したが、ギニアスが死の寸前に放ったメガ粒子砲にガンダムEz8ごと巻き込まれて相打ちとなり、生死不明となっていた。その後、一年戦争の終戦に伴って08小隊は解体され、隊員はそれぞれ別々の任地に配属された。その中の1人であるミケル・ニノリッチは、他の隊員たちからシローの捜索を託され、連邦軍を除隊してキキと共にシローを探す旅を続けていた。ある日、放棄されたコムサイの中で野宿したミケルとキキは、現地で生活する7人の孤児たちに捕らわれる。孤児たちを率いる少年が語るところによると、自分たちはジオンのフラナガン機関から脱走してきた少年兵であり、自分たちが戦争に利用されることを嫌って脱出してきたのだという。やがて、孤児たちがある少女の遺体を埋葬しようとしているのを見つけた2人は、死んだ少女がアイナ、リーダーの少年がシローという名前であることを知る。詳細を尋ねると、かつて本物のシローとアイナがここを訪れた際、孤児たちに08小隊のメンバーと同じ名前をつけ、宇宙から来たばかりで何もわからない彼らに生活の知恵を授けたということだった。そして、シローとアイナも自分たちが新たな生活を送る決意として、自分たちの墓をここに作ったのだという。まもなく、シローたちが北にいるという情報を得たミケルとキキは、河を下ってとある湖のほとりに辿り着く。そこには、左足を失いながらも平和な生活を送るシローと、彼の子供を身ごもったアイナがおり、穏やかな笑顔でミケルとキキを迎えるのだった。
登場人物詳細は「機動戦士ガンダム 第08MS小隊の登場人物」を参照
シロー・アマダ
声 - 檜山修之本作品の主人公。極東方面軍所属機械化混成大隊(コジマ大隊)所属の第08MS小隊の隊長。階級は少尉。
アイナ・サハリン
声 - 井上喜久子本作のヒロイン。ジオンの名門サハリン家再興のため、技術士官である兄ギニアスを献身的に支える健気で優しい女性。
登場兵器

モビルスーツモビルアーマーなど機動兵器に分類されるものは「宇宙世紀の登場機動兵器一覧#機動戦士ガンダム 第08MS小隊」を参照

それ以外のものについては「ガンダムシリーズの登場艦船及びその他の兵器一覧#機動戦士ガンダム 第08MS小隊」を参照

一年戦争において連邦軍が勢いを伸ばし始めた頃が舞台であり、登場する兵器もモビルスーツ (MS) だけに偏らず、テレビシリーズ『機動戦士ガンダム』に登場した一見奇抜な兵器をもリメイクして登場させている。

MSがあくまで一兵器として扱われるのは、ガンダムシリーズ全体を通しての特徴であるが、本作ではその傾向がことさら強い。特に、主人公の乗機は大抵強力な特別機なのが通例なところを、本作では量産機やその改造機を主人公が駆っている。それ以外のメカ描写も細部まで技術考証が徹底された。

一方で、テレビシリーズでは後半(29、30話)に初登場するジムが、10話前後に相当する時期に宇宙で配備されていたり、東南アジアに連邦軍の先行量産型MS大隊がすでに存在していたりと、従来の設定よりも連邦軍のMS配備を大幅に前倒しした作品となった。この件の理屈付けには制作側もやや難儀した[11]。結局、陸上のRX-79[G]、RGM-79[G]に関しては「非常に限られた機体とその部品がごく一部の部隊に配備されたのみ」とされ、宇宙用のRGM-79E[12]は「たまたまジャブロー以外、宇宙のどこかにも工場があってそこで造られた機体が偵察部隊的に使われたもので、ファーストの画面にはたまたま登場しなかった」と説明された[13]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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