機動戦士ガンダム
シルエットフォーミュラ91
漫画
作者やすだひろし
『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』(きどうせんしガンダム シルエットフォーミュラきゅうじゅういち)は、「ガンダムシリーズ」の一つ。1992年に発表された模型(ガンプラ)、漫画、小説などの各媒体で展開されたメディアミックス作品である。プラモデルの正式名称は『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91 IN U.C.0123』。
『機動戦士ガンダムF91』及び『機動戦士Vガンダム』に対するモビルスーツバリエーションの一つにあたる。全二章からなる作品で、第一章はF91単体の外伝作品として展開されていたが、第二章ではF91とVガンダムの中間が意識されている。 作品の位置づけとしては『F91』前後のエピソードといえ、バンダイホビー事業部で企画、大まかなストーリー構成を起こし、それを当時のサンライズ企画室だった井上幸一と詰めていった[1]。メカニックデザインを大河原邦男、キャラクターデザインは『機動戦士ガンダムF91』の作画監督を務めた小林利充が担当する[2]など、『機動戦士ガンダムF90』に続き、メディアミックス作品としてアニメ制作に近い形で企画が進められた[3]。プラモデル展開を主軸としたため、全体としてメカにフィーチャーした企画となっている[3]。 映像化されていないシリーズを盛り上げるため、書籍での展開と並行してユーザーの想像力の喚起と作品世界の補完を目的にプラモデルの説明書上で多くの設定解説が行われており[3]、こうしたスタイルは後のプラモデルシリーズ『マスターグレード』シリーズの説明書における機体解説の原型となった[3]。 主な物語は二部構成となっており、アナハイム・エレクトロニクス社がサナリィに奪われた主力MS開発企業の座を取り戻すべく暗躍する『シルエットフォーミュラプロジェクト』および『ゼブラゾーン事件』を描いた第一部[3]、連邦軍のウォルフ・ライル少尉がサナリィからの命を受け様々なミッションをこなす短編ストーリーの第二部となる[3]。 通常、『機動戦士ガンダム シルエットフォーミュラ91』といえばこちらを指すことが多い。バンダイ出版課(後にメディアワークスに移管)の漫画誌『 MS SAGA』にて漫画が、バンダイホビー事業部の雑誌『模型情報』で小説が連載された。漫画版は後にメディアワークスで単行本化されているが、連載版と単行本版ではラストシーンが異なる。また、ホビージャパンの雑誌『ホビージャパン』において『F91-MSV』のタイトルで模型連載が行われた。 サナリィ製小型モビルスーツに後れを取ったアナハイム・エレクトロニクスは、失地回復のため、非合法諜報活動を含む新型モビルスーツ開発計画「シルエットフォーミュラプロジェクト」 (SFP) を極秘裏に発足。地球連邦軍パイロットであるトキオ・ランドールは、これにより完成した3機の試作機の一つRXF-91シルエットガンダムのテストパイロットとしてアナハイム試験艦ブレイウッドに派遣され、月の裏側の暗礁宙域・ゼブラゾーンでの実動試験に参加することになる。 数ヶ月に及ぶスケジュールも残すところ後一週間と迫った、宇宙世紀0123年2月18日。トキオ搭乗のシルエットガンダムとケビン・フォレスト搭乗のRGM-111ハーディガンは、模擬戦中に所属と機種不明のモビルスーツと遭遇し、攻撃を受け交戦に入ってしまう。 宇宙世紀0123年2月18日、アナハイム・エレクトロニクス社が開発したシルエットガンダムの機動テストをゼブラゾーンにて極秘裏に行っていた試験艦ブレイウッドの所属MSが、所属不明の部隊(クロスボーン・バンガードのダーク・タイガー隊)と接触・交戦したのを皮切りに発生した一連の事件。ネオ・ジオン残党の掃討作戦にまで発展した紛争は、ダーク・タイガー隊の事実上の壊滅、地球連邦軍の戦艦エイジャックスの轟沈という結末を招いた。 後にこの事件は、地球連邦軍の一部の官僚とクロスボーン・バンガードのジレ・クリューガー大佐によって仕組まれていた事が明らかになった。最終的には双方の共謀で、連邦軍のバズ・ガレムソン大佐率いるエイジャックスの部隊に、ブレイウッドとダーク・タイガー隊を始末させる手筈になっていた。しかし、ネオガンダム2号機をブレイウッドのメンバーに奪取されるなど、予想以上の抵抗に遭い、計画は頓挫。同年2月23日、ガレムソンは戦死し、エイジャックスは轟沈するなど、連邦軍の部隊は殆ど全滅した。 漫画版ではその後事件はアナハイム・エレクトロニクス上層部により事故として処理され、隠蔽されたことが示唆されている。 コスモ・バビロニア建国戦争が勃発したのは、事件終息からわずか3週間後のことであった。 声優は『SDガンダム GGENERATION』シリーズのものである。
概要
第一章 シルエットガンダム編
物語
ゼブラゾーン事件
主な登場人物
アナハイム・エレトロニクス社
トキオ・ランドール
声:中原茂連邦軍よりアナハイム・エレクトロニクス (AE) 社へ出向しているテストパイロット。21歳。ガレムソンの元・部下。コロニー出のおぼっちゃんであるらしい。搭乗機体はシルエットガンダム、ネオガンダム。本編より3年前にネオ・ジオン残党狩りはすでに禁止されていたにも関わらず、ガレムソンはそれを喜々として指揮した。それはトキオから見れば任務でなくただの人殺しであったため、彼はネオ・ジオン残党狩りを拒み営倉入りになった過去がある。モビルスーツのパイロットとしては非常に優秀で、MACSSを全てカットして機動特性が不安定なほど機敏な状態になったシルエットガンダムを乗りこなしクロスボーンを撃退した。また、シルエットガンダム搭乗中、エイジャックス内のアイリスの危機を感じ取る等、ニュータイプの素養をのぞかせる事もあった[4]。ガレムソンとの一件の後、政府や軍の方針に嫌気が差して軍を辞める。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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