機動戦士ガンダムAGE
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機動戦士ガンダムAGE


ジャンルロボットアニメ
アニメ
原作矢立肇富野由悠季
監督山口晋
シリーズ構成日野晃博
キャラクターデザイン長野拓造(原案)、千葉道徳
メカニックデザイン海老川兼武石垣純哉寺岡賢司
音楽吉川慶
アニメーション制作サンライズ
製作サンライズ、MBS
放送局MBS・TBS系列ほか、放送局参照
放送期間2011年10月9日 - 2012年9月23日
話数全49話
テンプレート - ノート
プロジェクトアニメ
ポータルアニメ

『機動戦士ガンダムAGE』(きどうせんしガンダムエイジ、: MOBILE SUIT GUNDAM AGE)は、2011年(平成23年)10月9日から2012年(平成24年)9月23日までMBSTBS系列にて放送された日本テレビアニメ、およびそれを原作としたメディアミックス作品群。有人ロボット兵器同士による宇宙戦争を描いた、「ガンダムシリーズ」作品の一つ。キャッチコピーは「三つの運命が 歴史になる___」。全49話。平均視聴率は2.56%[注 1]
概要

本作はガンダムシリーズのテレビアニメとしては通算14作目[1][注 2]に当たり、コンピュータゲームメーカーのレベルファイブが企画協力として参加した、同シリーズとしては初めてのゲーム化を前提としたメディアミックス企画である。テレビアニメ以外にも、レベルファイブが開発するコンピュータRPG『機動戦士ガンダムAGE ユニバースアクセル/コズミックドライブ』が発売されているほか、本作のプラモデルやフィギュアを使用するキッズ向けアーケードゲーム『ゲイジングバトルベース』が稼動している[3]。また、レベルファイブの手がける作品群とのかかわりが強い『コロコロコミック』での漫画掲載など、ガンダムシリーズでは初めて小学館が発行する雑誌とのタイアップが試みられている。

主役モビルスーツであるガンダムが、同じ血筋を持つ3人の主人公によって乗り継がれる100年3世代に渡るストーリーであり[注 3]、それに伴いガンダムもAGE-1からAGE-2、AGE-3、そしてAGE-FXへと進化していく。このような形で世代交代を描くことは、舞台やキャラクターの設定に労力がかかるため、従来のテレビアニメ作品ではあまり用いられることがなかった展開である[4][5][6][7][注 4]。また、近年のガンダムシリーズ作品では、物語初期から敵味方を含む複数のガンダムが登場していたが、本作では主人公が操縦する機体以外のガンダムが登場しない情勢から物語が始まる[注 5]。これはガンダムというMSを1機だけの特別な存在としつつ、改良やパーツの換装によって機体バリエーションを増やし、プラモデルガンプラ)など玩具商品の種類を増やすという近年の仮面ライダーシリーズにも似た意図がある[4]

視聴者対象としては、従来のガンダムシリーズ作品を観ていない子供世代から、近年のシリーズ作品には縁が遠くなっていた父親世代まで[1][8]、幅広い年齢層が想定されていた[9][5]。本作では、従来の大人向けに作られてきたガンダムシリーズの内容を、子供にも理解できるよう翻案するという方向性が意図されており[10]、脚本では難解な専門用語を乱用するような台詞回しが避けられている[11][12]。『Great Mechanics』2012年6月号のインタビューによると、設定に曖昧な部分が多い理由に関しては、「初期シリーズのようにムック本やファンの考察で『AGE』の世界を作っていくためにあえて穴を作ってある」とも答えている。

一方、絵柄としては子供向けアニメに寄せたデザインを用いつつも、戦う少年の悩みや苦しみといった重くシリアスな要素も導入することで、「従来のファンを落胆させるような作品にはしない」という方向性も志向されており[8][4][13]、物語の随所に過去のガンダムシリーズのオマージュを散りばめた作風にもなっている[14]

2013年2月20日に第2部・アセム編から第4部・三世代編を元にアセムとゼハートを中心に再構成したOVA『機動戦士ガンダムAGE MEMORY OF EDEN』の制作が決定され[15]、2013年7月26日に発売された。詳しくは#OVAを参照。
企画の経緯

本作は、バンダイナムコゲームス(現・バンダイナムコエンターテインメント)の鵜之澤伸副社長が、レベルファイブ社長でゲームクリエイターである日野晃博に100万本売れるガンダムゲームを作らないかと打診したところ、日野からTVアニメの企画段階から参加させて欲しいと返され、サンライズのプロデューサーを紹介した事が始まりである[13]

本作の想定視聴対象が若年層まで幅広く取られているのは、2011年の放送時点でガンダムシリーズのファンが高年齢化し、子供の間で『ガンダム』の認知度が低くなっているという状況を危機と捉えたための方針でもある[注 6][16][12][17][18]。事実、サンライズの宮河恭夫常務は、2009年にガンダム30周年を記念して実物大ガンダムを建てたイベントで、参加したファンの多くが父親世代となった事に強く危機感を持ち、子供のファン層育成に強い決意を示している[19]。また同時期に旧来のファン向けに展開されていた『機動戦士ガンダムUC』と差別化する意図でもあった[12]。毎日放送のプロデューサーである丸山博雄はこうした意図を「子供向け」ではなく「もっと子供にも見てもらいたい」というコンセプトであるとし、本作をガンダムシリーズの入門編として見てもらえることを期待した企画であったと説明している[18]

日野が本作のシリーズ構成として起用された理由は「幅広い世代に見てもらえる作品」というコンセプトを掲げる上で、アニメ業界以外でそのようなテーマを掲げて取り組んでいる人材を取り入れるためであった[5][20]。また、本作が放送される2011年は映像ソフトの記録媒体がDVDからBlu-ray Discに移行する過渡期で買い控えの風潮もあったことから、映像ソフトよりも関連ゲームソフトの売り上げが重要視されていた[17]

2008年にはすでに日野の手によって雛形となる企画書が出来上がり、外部企業が企画段階から参入するのは、ガンダム史上初めてのこととなった[19]。「100年に渡る3世代の物語」という骨子は、この時の日野の提案によるものである[5][20]。一方、謎めいた敵勢力といった新機軸の設定は監督の山口晋が提案したものであり、どちらかというと日野はガンダムシリーズの第1作『機動戦士ガンダム』の枠組みに沿った保守的な作風を意識していたという[21]。結果的に本作では、スペースコロニーでの宇宙生活や宇宙戦争といった、ガンダムシリーズとしてはオーソドックスな世界設定が構築されることになる[14]

日野は、ガンダムシリーズ第1作とその直接的な続編で監督を務めた富野由悠季と過去に対談した経験から、ガンダムが支持された理由を「すべての人の中にある女々しさを描くことである」と解釈し、それを年少の視聴者に伝えるように務めたという[22]。当初の企画書に書かれたストーリーは、ゲームのシナリオのように出来事を羅列した構成となっていたため、その点は改善を要した[7]。設定やストーリーについては主要スタッフ間でも、時間をかけて詳細な打ち合わせが行われた[20][7]。本作の特徴の一つとなった、従来のガンダムとは異なる極端にディフォルメされたキャラデザインは、子供向けを意識した日野の提案によるものであった[23]。また日野はストーリー構成に当たり、本作の大半の話で脚本を自ら担当した他、週1回5 - 6時間かけて開くシナリオ会議にも毎週出席し、企画書には星印付きで「必須セリフ」を書き込み、少しの省略も加筆も許さないなど、非常に熱心に関わっていた[24]。一方、監督の山口は作品全体の監督に徹していたため、絵コンテや演出として関わったのは第1・2話とオープニング映像に留まっており、今までのガンダムシリーズ作品の監督と比べて自ら演出に関わる事が少なかった。

放送終了後のインタビューで、日野は本作について企画段階では1年半(6クール)続けるという案もあった事を明かした[25]。これは本作でエグゼクティブプロデューサーを務めていた、サンライズの宮河恭夫からの提案であったという。監督の山口は、本作の大きな特徴の一つであったAGEビルダーが、作中にあまり登場しなかった原因として、3世代主人公であったためストーリーをこなすのが精一杯となり、全体的に尺が足りなくなってしまった事を理由に上げている。また日野は本作について「ファンの反応を意識するあまり、振り切ることができなかった」と述べている[26]

なお、放送終了後に制作が発表された特別編である『機動戦士ガンダムAGE MEMORY OF EDEN』では一部スタッフがTVシリーズから変更されており、監督はTVシリーズの演出を担当した綿田慎也が新たに務める(TVシリーズの監督である山口は演出協力として関わっている)。構成と脚本には木村暢が就任し、日野はストーリー監修へと異動する[27]
評価
放送前の評価

ガンダムシリーズでは、新作が発表されるたびにファンの間で賛否両論の声が寄せられることが常となっており、本作も例外ではない[5]。本作の場合、放送前に公表されたキャラクターデザインの絵柄などの事前情報から、本作の内容が従来のシリーズ作品より年齢層を下げた子供向けの作品であるという憶測が流れ[注 7]、そうした前評判に基づき、本作では賛否両論というよりも、否定的な声の方が多く寄せられた[28][29][13]。これは本作の新機軸が従来ファンの切り捨てと受け取られたための反応で[28]、製作側もそうした反発は懸念していたとされるが[17]、そのような従来ファン層の切り捨てについては公式の発言では否定されている[8][4]。一方、2011年にレベルファイブが手掛けたコンピュータゲームおよびテレビアニメ作品『ダンボール戦機』のプラモデル展開が商業的な成功を収めていたことから、模型業界からは高い期待が寄せられた[28]。実際、放送開始に合わせて販売が開始されたプラモデルも商品としてのクオリティが良好で、出足は良かったという[30]

日野は第1話の放送と前後し、自身のTwitter上で、構成上の展開には視聴者を驚かせる要素が用意されていると明かしつつ、そうした展開への反応が楽しみであると述べた[31][32][33]


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