機動戦士ガンダム0080_ポケットの中の戦争
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機動戦士ガンダム0080
ポケットの中の戦争


ジャンルロボットアニメ
OVA
原作矢立肇富野由悠季
監督高山文彦
シリーズ構成結城恭介
脚本山賀博之
キャラクターデザイン美樹本晴彦
音楽かしぶち哲郎
アニメーション制作サンライズ
製作サンライズ、バンダイ
発表期間 1989年3月23日 - 8月24日
VHS / レーザーディスク
1993年7月26日 - 8月2日
2001年11月5日 - 11月13日
話数全6話
関連作品

ガンダムシリーズ
テンプレート - ノート
プロジェクトアニメ
ポータルアニメ

『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』(きどうせんしガンダム ダブルオーエイティ ポケットのなかのせんそう、英題: MOBILE SUIT GUNDAM 0080 War in the Pocket)は、1989年発売の『ガンダムシリーズOVA作品。全6話。略称は「0080」「ポケ戦」(ポケせん)[1]

それまでガンダムシリーズを手がけてきた富野由悠季以外が監督した初の作品である。また、ガンダムシリーズ作品では最初にOVA形式で発表・リリースされた作品でもある。
概要

@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}1988年に、翌年の「アニメ『機動戦士ガンダム』のTV放送10周年」の記念企画として、『機動戦士ガンダム 0080(仮) 製作発表会』が行われ、製作された物が本作である。[要出典]『機動警察パトレイバー』に続く低価格OVA第2弾。『機動警察パトレイバー』と同様、全6話1本4800円である。『機動警察パトレイバー』が1話完結だったのに対し、本作は1本の映画を6話に分ける手法を採用している。これは当時、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のレンタルが好調のため、テレビアニメ的だった『機動警察パトレイバー』以上に映画的手法を指向したためである[2]。1巻あたり6万本、後年のDVDを加えると全巻50万本もの大ヒットとなった。

バンダイ・メディア事業部の高梨実によると、高山文彦に監督を依頼したのは『超時空要塞マクロス』で高梨が気に入った話の演出が全て高山だったからだという[3]。高山は電話を持っておらず、「死んだ」という噂があるほど居場所が不明だったが、内田健二が探し当てて直接訪ねに行った。唐突に訪ねてきた内田に高山は驚いたが、仕事がなくて困っていたので監督を引き受けることにした[4]

「でかいブリキの箱の中に入ってパンチふるって何が楽しいんだろう」とロボットアニメに疑問を感じていた高山が監督を手がけた結果、MSを初めとするメカニックの戦闘シーンは少なく、代わりに人間ドラマを重視した作品になった。高山は、メインキャラクターについてはさほど注文を付けなかったが、サブキャラクターについては映画俳優の資料を美樹本晴彦へ渡してイメージを伝えた[注 1]

主人公が非戦闘員の小学生という点でも異色作となった。また、主人公のアルを演じた浪川大輔は1989年当時12歳で、ガンダムシリーズの主人公を演じた声優では最年少に当たる。浪川は現在もプロの声優として活動を続けているが、本作への出演後に声変わりしたため、後のゲーム作品では比嘉久美子がアルを演じている。ただし、浪川は後年に発売されたセルソフトCMにおいて成長したアルが当時を振り返るという設定で何度かアルの声を演じている(1999年のDVD発売時テレビCMおよび2017年のBD-BOX発売時テレビCMナレーションの二回)。

本作以前のガンダムシリーズはニュータイプを主軸に物語を展開したが、本作では普通の人々を主役に、サイド6という中立地帯での局地戦を舞台にしている。主役MSの新型ガンダムRX-78 NT-1 アレックス」の出番こそ少ないが、比較的それが多い第4巻と第6巻が他巻以上に販売実績が好調だったことから、次回作のOVA『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』はガンダムの出番の多いものになった[5]。アレックスはニュータイプ専用に調整された機体であり、連邦軍内で「ニュータイプ部隊」と位置づけられていたホワイトベースアムロ・レイへ渡されるはずの機体だったという設定はあるものの、「ホワイトベース」という艦名が登場する以外は『機動戦士ガンダム』本編とストーリー上の直接の接点はない。

各話のサブタイトルや物語のプロットは、アーネスト・ヘミングウェイなどの戦争文学作品の作風でまとめられている他、主人公の民間人の少年が“敵国”の兵器に憧れてそのパイロットと親交を深める点などは、映画『太陽の帝国』との類似点も指摘される。構成担当の結城恭介は、本作について『太陽の帝国』を意識しつつも、主旨はあくまで違うという旨の発言をしている。

ナチスドイツによる侵攻が目前に迫った、第二次世界大戦中のイギリスを舞台に、子供の視点から戦争と戦時下の生活を描いた、1987年11月公開(同年9月の第2回東京国際映画祭でも先行して上映されている)のイギリス映画『戦場の小さな天使たち』とも、プロットが酷似している。

タイトルの「0080」とは、一年戦争終結の日が宇宙世紀0080年1月1日だったことに由来しており、実際のストーリーの大半は宇宙世紀0079年が舞台である。「ポケットの中の戦争」は、リボーコロニーでの経緯がコンペイトウ(ソロモン)へ報告された際にレビル将軍がこの一件を「些細な一事に過ぎない」という意味で評した台詞から採られたとされているが、このレビルの発言は『0080』完結後に発行された『機動戦士ガンダム 戦略戦術大図鑑』の記述が初出であり、『0080』発売当時には存在しなかったものである。

MSなどのデザインは、出渕裕の手によってリファインされている。これは『機動戦士ガンダム』に登場した機体を、本放送当時のアニメ技術では描き切れなかった部分まで、よりリアリティの高いデザインで描くためのものだった。しかし、これらは後に「統合整備計画によるバリエーション機体」という設定が追加され、デザイン上のリファインではなく別機体として扱われている。

1991年製作のOVA作品『3×3 EYES』では、原作者の高田裕三を始め、スタッフが本作を覚えていて、バーニィ役の辻谷耕史とクリス役の林原めぐみを主人公とヒロインに抜擢したとのことである[6]
物語

一年戦争末期、地球連邦軍が新型ガンダムを開発しているという情報を掴んだジオン公国軍の特殊部隊「サイクロプス隊」は、機体を奪取すべく北極の連邦軍基地を襲撃する。しかし作戦は失敗し、目標物は宇宙へ飛び立ってしまう。

連邦にもジオンにも与しない中立コロニーである、サイド6のコロニー「リボー」に住む小学生アルフレッド・イズルハ(アル)は、父との面会の為、コロニーの宇宙港に赴いていた。アルは同級生との約束で連邦軍のMSを探索していたところ、偶然、北極から運ばれてきたコンテナを撮影するが、MSを撮影することは出来なかった。約束を果たせず落胆したアルだったが、幼馴染みで隣人のクリスチーナ・マッケンジーと再会する。

運び込まれたコンテナの中身は新型ガンダムの「ガンダムNT-1」だった。この情報はジオンにも伝わり、新型ガンダムがリボーへ運び込まれたと知ったジオン軍はサイクロプス隊をそこへ送り込み、奪取を果たすべく「ルビコン計画」を発動する。

ある日アルは、リボーに侵入したザク改が被弾してコロニー内の森へ墜落したのを目撃し、友人たちの制止を振り切って現場に駆け付ける。


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