この項目では、容器の樽について説明しています。
F・W・クロフツの推理小説については「樽 (推理小説)」をご覧ください。
酒雑誌については「たる (雑誌)」をご覧ください。
.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}この項目に含まれる文字「樽」は、オペレーティングシステムやブラウザなどの環境により表示が異なります。洋樽樽の構成ローマ時代、220年頃のワイン運搬船。ワインを熟成している樽ウイスキーを熟成している樽
樽(たる、イタリア語: Botte、フランス語: tonneau、英語: barrel または cask)とは、円筒形の容器の一種。西洋発祥の洋樽と日本発祥の和樽がある[1]。
木製容器は刳物(くりもの)、曲物(まげもの)、組物(くみもの)、挽物(ひきもの)、結物(ゆいもの)に分類されるが、これらのうち製作技術が最も新しい年代に出現したのが樽や桶といった結物である[2]。樽は歴史的には木製容器であるが、同様の形状でアルミニウム(小樽(keg、ケグ)とも言う)や合成樹脂で一体成型した容器のことも慣習的に樽と呼ぶことがある。
樽には通気孔や蛇口の台座などの開口部を備えているものもある。 西洋の樽(洋樽)は柾目板を使用しており、形状は胴の部分が膨らんでいる点が特徴である[3]。中央部が膨らんだ円筒形となったのは、樽を何段にも積み上げられる一方、簡単に移動でき馬車や船に積むのにも適した形を追求した結果である[4]。また、膨らんだ中央部に開口部を設けることで、下に向けることで沈殿物や液体を容易に取り出すことができ、上に向けることで液体をさらに補填することもできる[4]。樽は側板、底、蓋とそれを結束する箍(たが)で構成されるが、箍は伝統的にはセイヨウハシバミ(ヘーゼルナッツ)の枝が用いられている[2]。 ヨーロッパでは古代からワインやビールの貯蔵に用いられてきた[4]。ワインの場合には第二次世界大戦後に大型のステンレス製の貯蔵容器が普及するまで、発酵・熟成・貯蔵のすべての段階で木樽が使用された[4]。 樽は貯蔵容器のほか、極めて頑丈で繰り返し使用することができ、取り扱いも簡便であることから輸送容器としても用いられてきた[5]。胴の中央部が膨らんでいることで、横向きで摩擦を小さくして方向を転換し、転がしながら移動させることができる[3]。小樽は馬の背に括り付けて輸送するのにも用いられた[5]。 洋樽の用途は一部の工業用樽を除いて、ほとんどが洋酒の貯蔵や熟成用である[1]。具体的にはワイン樽、ウイスキーの樽、ビヤ樽などがある[3]。 樽などの結物容器はローマ期にガリア地方(フランス、ベルギー、ルクセンブルグ、ドイツ中部以南)で出現したとされるが、その具体的な年代や技術的な要因についての詳細は明らかでない[2]。古くエジプト第17王朝や第18王朝のピラミッドの壁画にみられる水や穀物の貯蔵容器が歴史上の樽の登場といわれることもある[5]。一説には木樽による本格的な貯蔵はゴール民族の長い経験で生み出され、フランス西部の森林地帯に住んでいたケルト人が金属製のタガをはめた丸型の樽を作り始めたという[1]。その後、ローマ人がフランスに侵入すると、この丈夫な容器を貴金属、次いでワイン、油、穀物の容器として用いるようになった[1]。 ドイツのライン州立博物館には船にワイン樽を積み込んで運搬する様子を表現した石造遺物が展示されており、ガリア地方における樽に関する発掘資料の初見とされている[2]。この発掘資料からガリア地方では2世紀には樽の産業化が確立されていたと考えられている[2]。 20世紀にパレットを用いた物流と海上コンテナ等を使ったコンテナ化による複合一貫輸送が導入されるにつれ、樽はゆっくりと主役の座を失った。 @media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}20世紀後半に、米国では原子力廃棄物を収納するために、大きな鋼製キャスクが使われ始めた。乾式キャスク貯蔵 ヨーロッパの伝統あるワイナリーでは樽によってワインの出来に違いがあることが知られていた[4]。第二次世界大戦後の経済成長期に大型のステンレス製容器のほうが製品管理やコスト面で有利となったが、金属容器で製造したワインと木樽で製造したワインでは香りや味が異なることが問題となった[4]。樽の効果はそれまでは経験知であったが、1960年代以降になって樽のナラ材(オーク)から溶出するポリフェノール等がワインの熟成に関与している機序が科学的に解明されるようになった[4]。 ウイスキーについても、20世紀に入って、樽貯蔵中に色度、総酸、総エステル、フルフラール、総固形分、タンニンが増加することが知られるようになった[5]。ウイスキーの色や香りにはオークに含まれるポリフェノールの一種(タンニン)が寄与している[6]。同時に樽の木に含まれるタンニンは滓(おり)下げ剤としてウイスキーの透明感や味にも役割を果たしている[6]。 ヨーロッパではワイン樽の素材としてタンニン成分があまり強くないセシルオーク(Quercus petraea)がよく用いられる[4]。一方、コモンオーク(Quercus robur)はややタンニン成分が強くコニャックやブランデー用の樽に用いられる[4]。なお、フレンチオークは一般的にフランス産のセシルオークをいうが、コモンオークと総称してフレンチオークということもある[4]。 北米ではホワイトオーク(Quercus alba)が樽材として有名であり、バーボンやウイスキーの製造に用いられる[4]。 樽の製造工程では樽板の内側の表面温度を170℃から300℃の範囲内で焦がすトースティングが行われ、浅いトースティングの場合にはタンニン由来のオークの風味が強くなり、強いトースティングの場合には香ばしい風味が強くなるとされている[4]。 使い込んだ古樽の内側には酒石酸が付着してオーク成分の溶出が起こらなくなるため長期保存用容器に回される[4]。 なお、サントリーでは不要になった樽を家具や園芸用のプランターなどに加工して販売している[7]。 ワインの容量の単位は、樽を基準として、トン(tun)、パイプ(pipe)、ホッグスヘッド(ホグスヘッド、hogshead)、バット(butt)、バレル(barrel)、ランドレット(roundlet)などがある[8]。 中世のイギリスではトンは大樽一樽で252ガロンに相当したが、大きすぎて扱いにくいため、船積み用にこれをパイプ樽2個あるいはホッグスヘッド樽4個に分けられた[8]。そのためワインの容量単位には1トン = 2パイプ = 4ホッグスヘッドの関係があった[8]。 イギリスのワイン樽
洋樽
歴史
洋酒の貯蔵熟成
規格と取引単位
ワイン樽
gallonランドレット
rundletバレル
barrelティアス