樹皮
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樹皮(じゅひ、: bark)[1]とは、一般用語としては、樹木(木本植物)のの最外層を覆う死んだ細胞からなる組織を意味することが多い。ただし生物学林学では、樹木において維管束形成層より外側にある組織をすべて含んだ意味で用いることが多い。この広い意味での樹皮は、維管束形成層から外側につくられた靭皮(二次師部)と、その外側にできたコルク形成層およびそれに由来する組織(コルク皮層コルク組織)からなる周皮で構成されている。一般的な意味での樹皮は、周皮の外層にあるコルク組織におおよそ相当する。樹皮は内側から次々と形成されて表層から剥がれていくが、その裂け方や剥がれ方は植物種によって異なるため、によって異なる外観を示す(下図1)。またコルク組織に覆われると空気の出入りが遮られるが、新たな分裂組織が形成されてコルク組織を突き破り、空気の出入り口となる皮目(ひもく)が形成される(下図1b)。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}さまざまな樹皮1a. カラマツマツ科)の樹皮1b. シラカンバカバノキ科)の樹皮(横長の皮目が目立つ)1c. スズカケノキスズカケノキ科)の樹皮

樹皮は、コルク栓天然繊維生薬色素皮なめしなどに利用されることがある。
定義

樹皮は、樹木木本植物)の表層にある組織を意味するが、その範囲は定義によって異なる。一般用語としては、樹皮は樹木のの最外層にある死んだ細胞からなる組織を意味することが多い[2][3][4]。ただし生物学的には、樹木の茎(幹や枝)やにおいて、維管束形成層より外側にある部分をまとめて樹皮とよぶ[2][3][4][5][6](下図2a)。木材学分野でも、樹皮は同様な範囲を示す[4]。この広義の樹皮は、内側の靭皮と外側の周皮からなり、若い樹皮ではこれに表皮や皮層、一次師部の残骸を含むことがある[5]。上記の一般的な意味での樹皮は、周皮の外層(コルク組織)のみに相当する。2a. 木本の模式図: 1. 、2, 3. 二次木部 (材)、4. 維管束形成層、5. 靱皮 (二次師部)、6. 周皮、5 + 6 = 樹皮(広義)2b. シナノキ属アオイ科)の(3年目)の周縁部横断面: 左下が二次木部であり、その外周に維管束形成層が存在、その外側の三角形で構成された部分は二次師部(靭皮)、その外側が周皮。2c. ニワトコ属(ガマズミ科)の茎の周皮: 下部の緑色に染色された部分はコルク皮層とコルク形成層、その上はコルク細胞からなるコルク組織であり、最外層のコルク細胞は崩壊している。コルク細胞内の黒色部はタンニン

広義の樹皮は、内側の靭皮(二次師部)と外側の周皮からなる。
靭皮 (じんぴ、bast)[5]
において維管束形成層の外側に形成された師部、つまり二次師部 (secondary phloem) は、靭皮とよばれる[2][5][7](上図2a, b)。二次師部の外側に一次師部が残っている場合、これも靭皮に含める[7]。靭皮やそれに付随する皮層や一次師部で形成された繊維は、靭皮繊維(bast fiber)とよばれる[5]
周皮 (しゅうひ、periderm)[4][5]
維管束形成層の活動によって新たな組織(主に二次木部)が形成され、茎や根の直径が増すことにより、外側にあった表皮や(一次)皮層は押し出されて引き伸ばされ崩壊していく。この際、表皮や皮層にコルク形成層(phellogen, cork cambium)とよばれる新たな側方分裂組織が形成され、内側にコルク皮層(phelloderm, cork cortex)、外側にコルク組織(コルク層、phellem, cork, cork tissue)を形成する[2][4][8][5][9][6](上図2a, b, c)。このコルク形成層とそれに由来する組織を合わせたものが周皮とよばれる[2][4][8][5][9]。コルク形成層も次第に外に押しやられ活動を停止し、その内側に新たなコルク形成層が形成される。このことを繰り返し、やがてコルク形成層は靭皮の部分へ移っていく[4][5]。コルク皮層は、少量の柔組織からなる[4]。一方、コルク組織は規則正しく密接したコルク細胞(cork cell)から構成され、コルク細胞は成熟すると死細胞となり、細胞壁には疎水性物質であるスベリンが沈着している[4][8][5]。樹脂やタンニンのため、コルク組織は褐色を呈することが多い[8]3. さまざまな樹木の樹皮:(上段左から)シロバナトックリキワタ(アオイ科)、イブキヒノキ科)、チリマツ(ナンヨウスギ科)、(中段)アレッポマツマツ科)、オウシュウトウヒ(マツ科)、フユボダイジュ(アオイ科)、(下段)ヨーロッパナラブナ科)、シナカエデ(ムクロジ科)、セイヨウミザクラバラ科

広義の樹皮のうち、靭皮(二次師部)からコルク形成層までの間の部分は生きた細胞からなるが、それより外側(コルク組織)は死んだ細胞からなる[4][5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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