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出典検索?: "権利能力なき社団"
権利能力なき社団(けんりのうりょくなきしゃだん、英語: Association without rights、ドイツ語: nichtrechtsfahiger Verein)とは、社団としての実質を備えていながら法令上の要件を満たさないために法人としての登記ができないか、これを行っていないために法人格を有しない社団。ドイツ法や日本法における概念。
典型的なものとしては、設立登記前の会社や入会集団(入会団体)などがある。
法人格がないため人格なき社団、人格のない社団ともいう[注 1]。なお、法人格のない団体には「任意団体」と呼ばれるものもあるが[1]、後述のように日本では最高裁の判例で権利能力なき社団の要件が示されており(最判昭和39・10・15判決)、預金保険制度の預金者の区分などでは法人格がなく権利能力なき社団・財団の要件も満たさない団体を「任意団体」として区別している場合もある[2]。
権利能力なき社団は、財産処分に関する代表者設置の規定を持つかどうかによって、「代表者の定めのある権利能力なき社団」と「代表者の定めのない権利能力なき社団」に大別され、前者が狭義の「権利能力なき社団」、後者を含めたものが広義の「権利能力なき社団」である。
なお、社団と同様に財団についても法人格を有しないものを観念でき、これらは権利能力なき財団と呼ばれる(権利能力なき財団は権利能力なき社団とは異なり人的要素がないため外部関係について信託として扱うべきとする説が有力となっている)。 権利能力を有しないため、それ自体は権利および義務の主体となりえないにもかかわらず、社団としての実質を備えて活動しており、時として社団の名において権利を有し、または義務を負うがごとき外観を生じる。このような場合に権利・義務関係をいかに処理すべきかが問題とされる。 民事訴訟法第29条において、権利能力なき社団で「代表者の定め」のあるものは訴訟の当事者となることができる旨が規定されていることから、権利能力なき社団は、「代表者の定め」が有るものと無いものに分類することができる。前者が狭義の「権利能力なき社団」、後者を含めたものが広義の「権利能力なき社団」であって、成立要件が異なる。代表者の定めが無い場合(広義の「権利能力なき社団」)について、判例は「権利能力なき社団の財産は、実質的には社団を構成する総社員の所謂総有に属するものであるから、総社員の同意をもつて、総有の廃止その他右財産の処分に関する定めのなされない限り、現社員及び元社員は、当然には、右財産に関し、共有の持分権又は分割請求権を有するものではないと解するのが相当である。」(最判 昭和32年11月14日民集 第11巻12号1943頁)としているから、所有財産が総有となる形態を取ることが、最低限の成立要件である。さらに、訴訟の当事者となり得る狭義の「権利能力なき社団」となるためには、「団体としての組織をそなえ、そこには多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、しかしてその組織によつて代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものでなければならない」(最判 昭和39年10月15日民集18巻8号1671頁)としている。 沖縄のある血縁団体(門中)は、構成員を明確に特定でき、少なくとも明治時代にさかのぼれる慣行により代表・事務員の選出方法が確定しており、重要事項は同門中の長老の集まりによって決定され、祖先により寄付された財産を有して収益を祭祀等の行事や相互扶助事業に充てるなどの実態を有していたことから、代表者の定めのある権利能力なき社団と認定されている(最高裁判例 昭和55年2月8日民集34巻2号138頁 権利能力なき社団それ自体は権利能力を有しておらず、権利・義務の主体にはならない。
各法分野における取り扱い
民法における取り扱い
成立要件
財産の帰属