模造紙(もぞうし)とは、製図や掲示物の作成、小学校では、自由研究(科学展)の発表や、教科の授業などにも用いられる。大判の洋紙。和紙の一つである局紙(大蔵省印刷局認定紙。紙幣・証券等に用いられる三椏紙)に似せて作られた上質の化学パルプ紙である。
名称の由来は"Simili Japanese vellum"(英:擬似和上質皮紙)と思われる。1878年、明治政府は「局紙」をパリ万国博覧会に出品し、高い評価をうけた。オーストリアの製紙会社が、これに似せて三椏ではなく亜硫酸パルプを原料として"Simili Japanese vellum"と呼ばれる紙を製造し日本にも輸出した。その後1913年に九州製紙が光沢を施すなどして改良を加え大量生産し一般化した。製法や印刷適性の向上もあり、すでに何かの真似ではないにもかかわらず名前は以前のまま「模造」紙と呼称している。
市販品の多くは、788×1091mmの四六判(しろくばん)で、円筒形に巻かれた状態で売られている(ロール模造紙)。白、黄色、ピンク、薄緑、水色などに着色されたものや、方眼が印刷されたものがある。光沢がある。
呼び名
大判用紙・大判紙
山形県では大判用紙(おおばんようし)もしくは大判紙(おおばんし)と呼ぶ。自由研究の発表などで「大判用紙」として指定される事がある。「模造紙」という言い方はほとんど通じない。
大洋紙
新潟県では大洋紙(たいようし)と呼ぶ[1]。「大」きな「洋紙」に由来するとされる。「模造紙」という言い方は、やはりほとんど通じない。
雁皮
富山県(主に県東部の地域)では雁皮(がんぴ)と呼ぶ。画用紙などの比率の元であることから元比という説、雁皮に由来するという説がある。また、地域によって雁皮と模造紙とが混在している。
B紙
愛知県・岐阜県では、B紙(ビーし)と呼ぶ。紙のサイズがB1判(728×1030mm)に近いことに由来するという説があるが、788×1091mmは前述の通り四六判であり、B列ではない。一般向けの艶のない模造紙をB模造紙、艶のある模造紙をA模造紙と呼んだことに由来するとする説もある。単に「模造紙」では意味が通じないことがある[2]。
鳥の子洋紙
愛媛県・香川県・沖縄県では、地域によって鳥の子洋紙と模造紙とが混在している。襖などに使われる鳥の子紙に由来する[3]。
広用紙
九州方面では広用紙(ひろようし)と呼ぶことが多い。広い用紙であることに由来する。
広幅用紙
鹿児島県では広幅用紙(ひろはばようし)と呼ぶことが多い。広い幅の用紙であることに由来する。
脚注[脚注の使い方]^ ⇒第8回 “模造紙”の呼び方で出身地がわかる
^ “なぜビーシ?名古屋圏独特の縮め方 模造紙、他地域もユニークな呼び名”