標準基底
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代数幾何学におけるトピックとしての標準基底は、1943年のグラスマン多様体(英語版)に関するホッジの仕事に端を発する。これは現在では「標準単項式論」と呼ばれる表現論の一部になっている。リー環普遍包絡環の標準基底の概念は、ポワンカレ?バーコフ?ヴィットの定理(英語版)によって確立された。

量子群の標準基底(ルスティックの canonical basis)については en:Canonical basis#Quantum groups を参照。局所環(特に形式冪級数環)のイデアルに対する広中の標準基底および類似概念である多項式環のイデアルに対するグレブナ基底も標準基底と呼ばれることがある。
三次元空間内の任意のベクトル a は、標準基底ベクトル i, j, k の線型結合として一意的に表される。

線型代数学における標準基底(ひょうじゅんきてい、: standard basis, canonical basis)または自然基底 (natural basis) は直交座標系の各軸方向に向かう単位ベクトルからなるユークリッド空間基底を言う。例えばユークリッド平面の標準基底は e x = ( 1 , 0 ) , e y = ( 0 , 1 ) {\displaystyle \mathbf {e} _{x}=(1,0),\quad \mathbf {e} _{y}=(0,1)}

であり、三次元ユークリッド空間の標準基底は e x = ( 1 , 0 , 0 ) , e y = ( 0 , 1 , 0 ) , e z = ( 0 , 0 , 1 ) {\displaystyle \mathbf {e} _{x}=(1,0,0),\quad \mathbf {e} _{y}=(0,1,0),\quad \mathbf {e} _{z}=(0,0,1)}

で与えられる。ここで、各ベクトル ex, ey, ez はそれぞれ x-軸方向、y-軸方向、z-軸方向を向いている。この基底を表すのによく用いられる記法として、{ex, ey, ez}, {e1, e2, e3}, {i, j, k}, {x, y, z} などを挙げることができる。単位ベクトルであることを強調するためにサーカムフレックス(キャレット)を載せることもある。

ここでいう基底は、それらのベクトルの線型結合として、任意のベクトルがそれぞれただ一通りに表されるという意味においていう。例えば三次元ベクトル v は必ず v x e x + v y e y + v z e z {\displaystyle v_{x}\,\mathbf {e} _{x}+v_{y}\,\mathbf {e} _{y}+v_{z}\,\mathbf {e} _{z}}

なる形に書くことができて、スカラー vx, vy, vz は v の座標成分になる。
数ベクトル空間の標準基底「数ベクトル空間」も参照

n-次元ユークリッド空間 Rn あるいは適当な K 上の数ベクトル空間 Kn には、n-個の相異なるベクトル e 1 = ( 1 , 0 , 0 , … , 0 ) , e 2 = ( 0 , 1 , 0 , … , 0 ) , ⋮ e n = ( 0 , 0 , 0 , … , 1 ) {\displaystyle {\begin{aligned}\mathbf {e} _{1}&=(1,0,0,\ldots ,0),\\\mathbf {e} _{2}&=(0,1,0,\ldots ,0),\\&\vdots \\\mathbf {e} _{n}&=(0,0,0,\ldots ,1)\end{aligned}}}

からなる標準基底を持つ。
性質

定義により、標準基底は単位ベクトルからなる正規直交系を成す。すなわち、標準基底は順序付けられ(英語版)た正規直交基底になる。

しかし、順序付けられた正規直交基底は必ずしも標準基底ではない。例えば二つのベクトル v 1 = ( 3 2 , 1 2 ) {\displaystyle v_{1}=\left({{\sqrt {3}} \over 2},{1 \over 2}\right)} v 2 = ( 1 2 , − 3 2 ) {\displaystyle v_{2}=\left({1 \over 2},{-{\sqrt {3}} \over 2}\right)}

は正規直交する単位ベクトルだが、この正規直交基底は標準基底の定義に合わない。
一般化

ある種の無限次元ベクトル空間に対しても、標準基底を考えることができる。例えば、ある上 n-個の不定元をもつ多項式環において、単項式全体の成す集合は標準基底を与える。

ここまでの例は全て、適当な集合 I(無限集合でもよい)に添字を持つ ( e i ) i ∈ I = ( ( δ i j ) j ∈ I ) i ∈ I {\displaystyle {(e_{i})}_{i\in I}={({(\delta _{ij})}_{j\in I})}_{i\in I}}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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