極道の妻たち_決着
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極道の妻たち 決着
監督
中島貞夫
脚本高田宏治
原作家田荘子(文藝春秋刊)
出演者岩下志麻
とよた真帆
中条きよし
愛川欽也
竹内力
トミーズ雅
音楽栗山和樹
主題歌和田アキ子河?River?
撮影仙元誠三
編集荒木健夫
製作会社東映京都撮影所
配給東映
公開 1998年1月17日
上映時間116分
製作国 日本
言語日本語
前作極道の妻たち 危険な賭け
次作極道の妻たち 赤い殺意
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『極道の妻たち 決着』(ごくどうのおんなたち けじめ)は、1998年公開の日本映画。主演は、岩下志麻。監督は、中島貞夫。通称『極妻(ごくつま)』シリーズの第10作目。岩下版としては、8作目。岩下の劇場シリーズの一応完結作となっている。キャッチコピーは、「さらば、姐。」[1]

ちなみに次作からの『極妻』シリーズは、主演に高島礼子を迎え東映ビデオ制作作品となった。本作では、大阪を舞台にヤクザ組織の一人の若手幹部が殺された後、組長妻が親しい者の協力を得て事件の裏にある真相を探る。また、組員に加えて外部の人間を巻き込んでの大金を巡るやり取りも描かれている。
あらすじ

10月、大阪の井手組組長を夫に持つ妻・井手春日(岩下志麻)のもとに若手幹部・秋葉吟二(竹内力)の死と夫逮捕の知らせが入る。犯人は以前井手組の客人だった玉城元真(トミーズ雅)で、警察に自首した彼は「組長に命令された」と証言するが春日は信じられない。3ヶ月前の玉城が客人として井手組の本家に滞在していた頃、吟二はホテル建設への融資を信金の理事長から約束された。そんな中吟二の妻・杏子(とよた真帆)は行き倒れ寸前の男・五橋東造(愛川欽也)と出会い、彼もまた本家の客人として玉城と相部屋で過ごし始めた。

その後理事長の不祥事によりホテルの融資話が白紙になるが、吟二は彼の莫大な隠し金の情報を掴んだ。吟二は兄貴分・名越兼良(中条きよし)と協力して理事長から金を出させようとするが、相手が組長に泣きついたため失敗に終わった。吟二が殺されたのは何とか事業再開に目処がついたその矢先で、杏子に恩を感じていた東造は独自に玉城のことを調べる。東造は、「手術代の必要な玉城は組員の誰かに金で吟二殺しを命じられた」との情報を入手し、内密に春日に伝える。

春日は杏子に極道の女房として自らけじめを取ることを約束した後、人を使って玉城の妻を大阪に呼び寄せる。春日と杏子は、「玉城に真実を話させるべき」と訴えて妻を拘置所に向かわせて説得に当たらせる。翌日春日は玉城から「吟二の子分から命じられた」との証言を得るが、数日後彼が自殺したことで黒幕がいることに気づく。杏子と東造が吟二の子分を詰問すると黒幕は名越と判明するが、彼は陰で井手組を牛耳ることを企み着々と仲間を増やしていた。

その後名越は信金の理事長の30億円もの隠し金を手に入れるが、それは言わば吟二からかすめ取ったも同然の金だった。その金の中から名越は親しい幹部に分け前として5億円を渡すが、吟二殺しの真実を知って反旗を翻した彼を殺してしまう。春日はアリバイを証明して夫の釈放にこぎつけると幹部会を開き、名越たちに夫の組長引退を伝える。加えて春日は夫の最後のはなむけに“秋葉の追善の花会”と称した賭場を開くことにし、儲けを遺族である杏子に贈ることを了承させる。

花会当日、人里離れた旅館で杏子が見守る中外部の客人に混じり名越や賭博好きな東造も手本引に興じる。しばらくして名越は胴元となって東造に一対一の勝負を持ちかけるが、実は東造は名うての賭博師だった。そこに現れた春日は幹部の妻から託された5億円を東造の掛け金に上乗せすると、大勝負に負けた名越は億単位の有り金全てを持っていかれる。この勝負を持って花会が幕を下ろした後、憤る名越や彼の手下を相手に春日は銃を取り出し井手一家の姐として最後のけじめをつける。
キャスト
井出春日
演 -
岩下志麻大阪の井手組組長の妻。井手組本家では、これまで刑務所帰りなどの訳ありの人物を客人として迎え、空き部屋で数日間寝泊まりさせ仕事をあてがい食事の世話などをしてきた。新事業に力を入れる秋葉夫妻を気にかけており、吟二の生前杏子に自身のへそくりの500万円ほどになる株券を渡すなどしてきた。肝の座った性格だが思いやりもある。吟二が殺された後、杏子・彩子・東造たちと協力して事件の真実を探り始める。また同時に夫の逮捕後無実を信じて面会に訪れたり、玉城の「組長と会っていた日」と証言したアリバイを崩しに奔走する。“秋葉の追善の花会”で極道の女房として自らけじめをつけようとする。趣味は茶道。
秋葉杏子
演 - とよた真帆井手組幹部である吟二の妻。井出組の事業の一つである井出興業の経営を夫婦で任されている。この10年間事業家として真面目に働く吟二を支えてきた。信金からの融資が取りやめになった直後、鴨居に掛け合う。趣味は競輪を見ること。妊娠中だったが、吟二の死のショックで流産する。吟二がいた頃は明るく優しい性格だったが、その後は夫の無念を晴らすため相手に圧力もかける気概のある性格に変わる。
名越兼良
演 - 中条きよし井出組幹部で傘下の名越組組長。吟二と親しくしており、彼が岩岡の隠し金の情報を掴んだ後彼に協力して臨時総代会に総会屋として乗り込む。金好きで強欲な性格でそれなりに羽振りのいい生活をしており、趣味の高級腕時計を短期間でかなり高額なものを買い替えて身につけている。しかしその後秘密裏に吟二を裏切り、様々な方法で自身の味方となる人物を引き入れ、繋がりを強固にして井手組を牛耳ろうとする。
五橋東造(ごきょうとうぞう)
演 - 愛川欽也ギャンブル好きな旅人。和歌山県那智勝浦町出身。吟二が生きていた頃に競輪場の通路で空腹で座り込んでいた所、偶然通りかかった杏子に食事をごちそうになる。無職だったため杏子を通じて春日を紹介してもらい本部の客人として暮らしながら事務の仕事を手伝い始める。非常に腰が低く義理堅い性格。実は流れ者の名うての賭博師で、10年間の服役を終えて刑務所から出所したばかりということが後に判明する。
井手組(傘下の組員たち)
番水司郎
演 -
大杉漣井出組幹部で、番水組組長。杏子の実兄。吟二に目をかけており、ある時彼が堅気になると言い出して井手から暴力を振るわれる彼を守ろうとする。ヤクザだった父を持ち、杏子には堅気の人間との結婚を願っていたが極道者の妻となったため不満に思っている。会社を経営しているがバブル崩壊の影響で経営状態は芳しくない。名越とは兄弟分として親しくしているが、金の亡者のような考え方のヤクザが嫌いなため反発する所もある。しかしその後徐々にその考えが変わり始める。
秋葉吟二(ぎんじ)
演 - 竹内力秋葉組若手幹部で、秋葉組組長。井出から我が子のように可愛がられてきた。10年前に事業家としての活動に重点を置き真面目に働いてきたが、3ヶ月前に命を懸けてホテル事業に乗り出すが、建設直前に信金の岩岡と融資話を巡ってトラブルになる。趣味はトレーニングジムでの筋トレ。事業が成功したら堅気になるつもりだったが、玉城に殺されてしまう。
徳田甫
演 - 金山一彦秋葉組若頭で、吟二の子分。以前から秋葉だけでなく名越や番水たちとも一緒にゴルフをするなど親しくしてきた。名越のことを“おじご”と呼んでいる。吟二の生前、ある日名越から玉城を紹介されて吟二を裏切って名越につくよう誘われる。東造が玉城のことを調べていることに気づき、暴力を振るう。吟二の死後杏子が入院したのをいいことに、勝手に井出興業の社長となる。
工藤雄太
演 - 山本太郎秋葉組若手構成員。秋葉夫妻や徳田の色々な外出時に付き添っているが、3人の中でも特に吟二を慕っている。ある日ジムで体を鍛える吟二に付き添った所、彼が玉城に襲撃されるのを見てしまうが、その後徳田が関わっていたことを知り彼に恨みを持ち始める。
かいだ
演 - 岩尾正隆名越組の幹部。名越、吟二とゴルフに行くなど親しくしている。信金の臨時総代会に名越や他の組員と共に押しかけ、公の場で岩岡に隠し金の在り処を吐かせようとする。
井手組(本家の組員)と玉城
井出篤志
演 -
名古屋章井手組組長で春日の夫。吟二と金銭トラブルになった岩岡から泣きつかれて間に入って事を収めようとするが、吟二が反発したことに激怒して破門する。吟二殺しの直後、玉城の「組長命令で殺した」という証言により罪を着せられて拘置所暮らしとなる。井手組の男たちには強気な言動をしているが若干気が弱い所があり、春日に強く出られると及び腰になることもある。高血圧の症状を持つ。趣味は一人旅で時々数日間家を空けて遠出している。
霜田行男
演 - 野口貴史本家の運営会社・井出興業のベテラン組員。会社では、事務職を担当し経理や電話で取引先との交渉などをしている。春日から指示を受けて東造を客人の部屋に案内し、ここでの生活に必要なことを簡単に説明する。その後吟二が殺されたとの電話を受け、春日に伝える。
江川達次
演 - 橋本さとし本家の若手組員。非常に金にがめつい性格で良くも悪くも商売根性がある。金のためなら妻に美人局の役目を頼んで他の男と関係を持たせて相手の男から金をせしめたり、さらにその行為を隠し撮りして無修正のビデオを売ろうとする。ある時七歩が大金を持っていることを知り、卓と翠の3人で金を強奪しようとする。
杉野卓(たく)
演 - 柴田耕作本家の若手組員で、達次の舎弟。達次と行動を共にしており、彼のセコいやり方の様々なしのぎに付き合っている。元手1本300円の病気治癒を謳った胡散臭いドリンクを1万円でさばこうとしたり、上記の翠の美人局動画の撮影にも付き合う。詳細は不明だが吃音らしき話し方をしている。その後花会には、彩子の護衛として付きそう。
玉城元真(たましろもとま)
演 - トミーズ雅夏頃からしばらくの間本家に滞在していた客人。殺し屋らしき人物で15年前の“小倉事件”の主役とされ、これまでの人生の多くを刑務所で暮らしてきた。本家の空き部屋で寝泊まりしながら組の雑務などをして過ごしていた。ある日本家に訪れた名越のタバコにライターで火を付けたことから親しくなり彼の手下となる。本家を出た後、秋頃に吟二を拳銃で襲撃し自首した後“井出の親分の命令で撃った”と警察に証言する。
井手組の組員妻たち
番水彩子(さいこ)
演 -
かたせ梨乃番水と建設会社を経営している。春日を慕っている。吟二が殺されたことについて自分たち夫婦にも少なからず責任はあると考え、春日の代わりに玉城の妻を大阪に連れ来る役目を担う。子供はおらず番水と2人暮らし。その後番水が「株で儲けた」と言って手に入れた大金のことが引き金となり夫婦の間に溝が生じる。
徳田紗織
演 - 藤田朋子徳田の妻。キャバクラ店で働いている。小学生の2人の娘がいる。徳田が吟二を裏切ってから密かに夫と電話で指示を受け、表向き春日や他の組員妻たちと仲良さそうに振る舞いながら彼女たちの動向を探る。


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