極道の妻たち_危険な賭け
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極道の妻たち 危険な賭け
監督
中島貞夫
脚本高田宏治
原作家田荘子文藝春秋刊)
出演者岩下志麻
石橋凌
工藤静香
原田龍二
中尾彬
北村和夫
音楽大島ミチル
主題歌工藤静香「
撮影木村大作
編集玉木濬夫
製作会社東映京都撮影所
配給東映
公開 1996年6月1日
上映時間114分
製作国 日本
言語日本語
配給収入2.5億円[1]
前作極道の妻たち 赫い絆
次作極道の妻たち 決着
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『極道の妻たち 危険な賭け』(ごくどうのおんなたち きけんなかけ)は、1996年公開の日本映画。主演は、岩下志麻。監督は、中島貞夫。通称『極妻(ごくつま)』シリーズの第9作目。岩下版としては7作目。

本作では、福井県大阪府を舞台に大組織の組長の跡目争いに2人が名乗りを上げ、それぞれを支持するヤクザたちの駆け引き、女組長と娘の親子愛や娘の恋愛模様などが描かれている。ちなみに1993年までの『極妻』シリーズ全作品に重要な役どころで出演していたかたせが、本作で3年ぶりに復帰した。

キャッチコピーは、「狙いは、日本の頂点。」[2]
あらすじ

大組織の三代目坂松組では、坂松組舎弟頭 佐渡組組長 佐渡拓磨(北村和夫)と坂松組若頭 海原組組長 海原泰明(原田大二郎)のどちらが四代目を継ぐかを全国に散らばる最高幹部30人の入れ札(投票)で決めることになった。その30人の中に北陸で名を馳せる洲崎組の女組長・洲崎香矢(岩下志麻)も含まれており、坂松組の海原派幹部・市元裕兵(中尾彬)は凄腕の事業家でもある彼女の動向を気にし始める。坂松組傘下の神鳥組組長・神鳥亮平(石橋凌)はこの跡目争いに将来を賭けて海原につくことを決め、市元と対策を講じることに。

香矢の一人娘・香織(工藤静香)は結婚を心配する母から縁談を勧められるが、ある時一人の若者・村木新(原田龍二)と出会う。新は神鳥の妻・静尾(かたせ梨乃)の弟で神鳥組のヤクザになることを望んでいたが、静尾から反対されてチンピラのままダラダラと日々を過ごしていた。神鳥は香矢と親しくしていた所、市元から海原派に引き込むように命じられ、香矢が佐渡支持を表明したため溝ができ始める。佐渡は香矢から多額の資金援助を受けて票集めの行脚に出かけ、各地の最高幹部たちに一票を投じてもらうため挨拶回りの日々を送る。

新から好意を持たれた香織は冷たくあしらうが、ある日他の男に絡まれた所を彼に助けられて徐々に心を開いていく。市元は神鳥と香矢の関係悪化を企み、人を使って神鳥組の仕業に見せかけて洲崎組組員を襲うと、仕返しに神鳥が怪我を負わされる。そうとは知らず神鳥の見舞いに訪れた香矢は市元から責任を問われるが、今回のことで神鳥組といがみ合うことはないと牽制する。帰宅した香矢は、香織が新というチンピラを好きになったことを知るが、取り合わずに堅気の男との縁談を進める。

退院後、神鳥は市元から、佐渡が翌月滋賀で香矢たち最高幹部を集めて決起大会をすることを聞かされる。神鳥は市元との話し合いで佐渡と香矢を亡き者にすることにし、死を覚悟した神鳥はあえて静尾と新に憎まれ口を叩いて別れを告げる。決起大会当日ホテルの大広間に佐渡の関係者が集まる中、香織は堅気になる覚悟を決めた新と共に結婚の許可をもらいに香矢の部屋に訪れる。香矢は2人を部屋で待たせた後大広間に向かうが、その後佐渡は市元が雇った殺し屋に殺されてしまう。

ごった返す中、香矢は自分の部屋に戻ろうとするが、あと少しという所で神鳥に銃を向けられピンチを迎える。しかしそこに異変に気づいた新が現れ、香織の母を死なせるわけにはいかないと身を挺して香矢を守り、その姿を前に神鳥は何もできず去っていく。部屋に戻った香矢は香織と新を信じて結婚を認めるしかなく、2人の旅立ちを見送るがその後福井の邸宅にこもってしまう。坂松組の跡目決定の日を迎え、入れ札により海原の四代目襲名が決まり市元は満足気にほくそ笑むのだった。
キャスト
洲崎香矢(すざき かや)
演 -
岩下志麻洲崎組の女組長で坂松組最高幹部の1人。福井市を縄張りにしており“北陸の女帝”の異名を持つ。何年も前からヤクザの組長としての表立った行動はあまりしておらず、事業家としての活動に重きを置いており個人資産だけでも500億円を所有している。夫が組長をしていた頃は10人ほどの小規模組織だったが数十年前の抗争でまだ若かった夫を亡くした後組長を引継ぎ、現在300人もの組織に成長させた。佐渡のことをヤクザの組長として尊敬し慕っている。香織には、堅気の男性との結婚をして一般的な女性として幸せになることを願っている。趣味は茶道で、作中で茶を点てるシーンが何度かある。
洲崎香織
演 - 工藤静香(本作の主題歌も担当)香矢の一人娘。東京の名門大学に通う元女子大生で、3年生の時に自主退学し1年前に実家に戻ってきた。香矢を「ママ」と呼び慕っているが、過去にはヤクザの娘として同級生の前で引け目を感じたこともある。大学時代の無個性な同級生たちに嫌気が差したことでいろんなことに無関心になり、現在は特に目標などはなく何となく日々を過ごしている。プライドが高いお嬢様気質で、新からは「ヤクザが身内にいるという似たような立場なのに『あなたとは違う』と別世界の人間を気取っている」と評される。趣味はプールで泳ぐこと。
神鳥の親族
神鳥亮平(かんどり)
演 -
石橋凌小規模組織・神鳥組組長。福井県敦賀市在住。若い頃香矢の夫の元舎弟分だったため、彼女から弟同然に思われており長年親しくしてきた。「しけた田舎ヤクザで終わりたくない」との強い思いから、今回の跡目争いで海原を支持することを決める。ヤクザとしての活動を控えていた香矢が本家の跡目争いに関わり出したことに疑問を抱き、直接様子をうかがいに行く。新をヤクザとして仕込んで、いずれは自身の跡継ぎにしようと考えている。その後「香矢は坂松組を牛耳るつもりでは?」と疑い、阻止しようと行動に移す。
神鳥静尾(しずお)
演 - かたせ梨乃神鳥の妻。香矢のことを組長の妻として尊敬しながら、実姉のように慕っている。新には極道にはなってもらいたくないと思っている。神鳥と結婚して20年ほどになるが、神鳥から子供を持つことを反対されてきたため子供はいない。神鳥との夫婦仲は良いが、新をヤクザにさせたくないとの思いから現在は夫と意見が分かれている。組長の妻として今の生活に不満は持っておらず、神鳥や組員が怪我なく無事に過ごすことをいつも願っている。神鳥や新のことを気にかけるが、それぞれの言動に振り回される。
村木新
演 - 原田龍二静尾の弟。ヤクザになることを夢見るチンピラの若者。傷害罪で捕まって刑務所暮らしを経験し、冒頭で2年ぶりに出所する。神鳥夫妻から色々と気にかけられており、出所後は夫妻のもとで過ごし始める。静尾に連れられ香矢に出所の挨拶をするため邸宅に訪れた所、香織と出会う。良くも悪くも真っ直ぐな性格で思いついたら周りのことを気にせずすぐ行動するタイプだが、静尾から「子供の頃から何を考えているかよく分からない所がある」と評されている。香織に興味を持ち口説き始める。工業高校を卒業している。
跡目争いに関わる主な人たち
佐渡拓磨(さど)
演 -
北村和夫坂松組の四代目候補者。坂松組舎弟頭で佐渡組組長。極道の世界に入って約50年のベテランヤクザで、ヤクザとしての貫禄と実績がある。ただしバブル崩壊により億単位の借金があり、選挙活動を前に資金面で苦労している。洲崎組とは長年ヤクザとして義理の親子のような関係なため、香矢とも親しくしている。お祭り騒ぎのような派手なことが好きで明るく豪快な性格で、義理人情を重んじるタイプ。趣味で、映画の脚本を書いている。香矢に頭を下げて20億円もの援助を受けた後、各地にいる最高幹部たちを接待する票集めの行脚に赴く。
海原泰明(かいばら)
演 - 原田大二郎坂松組のもう一人の四代目候補者。坂松組若頭で大阪の海原組組長。佐渡に比べて一回りほど年齢は若い。三代目の死後坂松組の実質のリーダーとして組員たちをまとめ、この3年間で組の勢力を約10倍に増やした。強さや数の力を重視するタイプで、自身の邪魔をする者を絶対に許さないとされる。票集めの行脚をする佐渡に対抗して、坂松組の次代を担う若手幹部たちに最高幹部への票集めの役目を任せる。
市元裕兵
演 - 中尾彬坂松組幹部で海原派。大阪を拠点とする組織・“みなみ産業”社長。海原主催の坂松組若手幹部の会合に香矢と繋がりのある神鳥が参加したことから、彼を使って佐渡と彼女の行動に注意し対策を講じるようになる。しかしその後決起大会で佐渡を殺すことを企むが、神鳥と意見の食い違いが生じひと悶着起きる。耳掃除が好きで、日常的に綿棒を使って掃除している。
杉岡武子
演 - 南田洋子坂松組三代目の姐にして霊代。一年半前に三代目である夫を亡くし、現在まで組長代行として坂松組をまとめてきた。坂松組は、傘下合わせて280団体、総勢約2万5000人の組員で構成され、最高幹部は沖縄から北海道まで全国に散らばっている。冒頭で佐渡と海原を本家に招き、夫の三回忌までにどちらかが四代目を襲名するよう告げる。加えて、自身は選出方法に口出ししない代わりに組の統制を乱す者には霊代として破門にすることを伝える。
海原派関係者
松島明光
演 -
小西博之神鳥組の幹部。神鳥に次ぐNO.2的存在で、組員の中では彼から一番信頼されている。神鳥夫妻が外出する時によく付き添っている。立場上新に敬語で話しているが、自分の弟のようにかわいがっている。ヤクザにしてはどちらかと言うとさっぱりした親しみやすい性格。その後佐渡の決起大会で、香矢の命を狙う神鳥に同行する。
園部行雄
演 - 湯江健幸神鳥組若手構成員。神鳥の外出時に護衛として同行する。血の気が多い性格で考えなしに突発的な行動を取ることがある。神鳥が洲崎組組員に撃たれた後香矢に仕返ししようとする。
役名不明
演 - 岩尾正隆海原組幹部。海原や市元と特に親しくしている。佐渡が香矢からもらった大金で債務整理をし、その後票集めの行脚に全国を回るつもりであることを海原に伝える。
崎津清
演 - 火野正平市元に雇われた殺し屋。元大阪府警の刑事部捜査第四課(通称・マル暴)の刑事で、暴力団との癒着により懲戒免職となった。市元から洲崎組の誰でもいいから組員を殺すよう指示され、人夫として潜入する。その後市元から決起大会で佐渡を殺すよう依頼を受けて、ホテルマンのフリをして彼を襲撃する。
佐渡派関係者
洲崎組
三浪周造(みなみ)
演 -
羽場裕一洲崎組若頭。洲崎組では先代が生きていた頃からの唯一の古株の組員なため、香矢から特に頼りにされている。


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