極道の妻たちII_(1987年の映画)
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極道の妻たちII
監督?橋亨

脚本高田宏治
原作家田荘子文藝春秋刊)
出演者十朱幸代
村上弘明
かたせ梨乃
藤岡琢也
神山繁
音楽小笠原寛
主題歌和田アキ子抱擁
撮影水巻祐介
編集市田勇
製作会社東映京都撮影所
配給東映
公開 1987年10月10日
上映時間119分
製作国 日本
言語日本語
配給収入6億円[1]
前作極道の妻たち
次作極道の妻たち 三代目姐
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『極道の妻たちII』(ごくどうのおんなたちつー)は、1987年公開の日本映画。監督は、?橋亨。主演は、十朱幸代。通称『極妻(ごくつま)』シリーズの第2作目。『極妻』シリーズの主演は、岩下志麻に続いて十朱で2代目。本作では、バブル景気大阪府を舞台に組の乗っ取りを企てる敵対する組との攻防、1人の元ヤクザの男を巡る2人の女の恋愛模様が描かれている。また、作中では様々な賭博が扱われている。

キャッチコピーは、「あんたを、負け犬にはさせない。」[2]

本作では、第11回日本アカデミー賞(1988年)においてかたせ梨乃が最優秀助演女優賞、十朱が優秀主演女優賞[3]村上弘明が優秀助演男優賞、編集の市田勇が優秀編集賞[4]をそれぞれ受賞している。第42回毎日映画コンクールにおいて十朱が、女優主演賞を受賞[3]
あらすじ

バブル景気により大阪府のヤクザ組織・重宗組のシマの地価が高騰する中、ある日開発会社によるシマ荒らしが起きる。重宗組組長(藤岡琢也)の妻・遊紀(十朱幸代)は組員から「開発会社はダミー会社」との報告を受けた直後、夫・孝明と幹部の一人がそれぞれ別の場所で襲撃に遭う。孝明は一命を取り留めるが幹部は命を落としてしまい、遊紀は入院した夫から「開発会社の黒幕は、萬代組に違いない」と告げられる。後日孝明の事件が愛人女性との痴情のもつれが原因と判明し、その後裁判を傍聴した遊紀は愛人を擁護する夫に愛想を尽かす。

萬代組若頭・磐城(神山繁)と会った遊紀はシマ荒らしと幹部の襲撃は傘下の組にやらせていたことを知らされる。遊紀がけじめを迫った直後、磐城から萬代組に孝明の2億円もの借金の存在を知らされ、返せない場合は重宗組の資産を売るよう告げられる。遊紀は金策のため徳島県に住む知人の金貸しに会って当座の金として数百万円を貸してもらう。金貸しから萬代組の元ヤクザ・木本燎二(村上弘明)を紹介された遊紀は、好意を寄せて彼に抱かれて心が癒やされる。

木本は数年前にとある事件を起こして組を絶縁され、服役中に恋人・榎麻美(かたせ梨乃)から一方的に別れを告げられ、出所後は賭博師となっていた。徳島を後にした木本は麻美のアパートを訪ねて彼女と娘の3人で暮らすことを願うが、平穏な生活を望む麻美から拒否されてしまう。その後も木本は復縁を持ちかけ、麻美はそれを拒む日々が続くと、ある日2人のやり取りを目撃した遊紀は彼女のアパートに訪れる。木本を重宗組で預かることを伝えた遊紀は、麻美から他の男との結婚予定を告げられて了承を得る。

木本が重宗組で面倒を見るようになった後、遊紀のもとに来春行われる磐城の萬代組五代目襲名披露の招待状が届く。襲名披露で“大会”[5]が催されることを知った遊紀は、賭博師の木本に協力を得て磐城に一泡吹かせることを思いつく。しかしそれには多額の軍資金が必要で、遊紀は数百万円を元手に木本と各地の賭場を巡り[6]、数ヶ月かけて持ち金を増やす。その頃麻美は結婚予定の男に裏切られてしまい、木本との復縁を考えるも彼に振り回された過去を思い出して躊躇する日々を送る。

襲名披露当日、磐城に挨拶に行った遊紀は“大会”に木本が参加していることを告げて、驚く彼の後から広間へ向かう。手本引の大勝負に臨む木本を見つけた磐城だが、大勢の客人を前に見守るしかできず、勝負に勝った木本は数億円の金をものにする。数日後、木本への愛を確信した麻美は娘と3人でやり直すことを決め、彼に思いの丈を伝えて2人で熱い抱擁を交わす。孝明の借金返済のため萬代組組事務所に訪れた遊紀は、2億円の札束を突き返した後、磐城に啖呵を切って去っていくのであった。
キャスト
重宗遊紀(しげむねゆき)
演 -
十朱幸代重宗組組長の妻。夫の孝明が撃たれて入院する間、小規模だが100年続く重宗組を仕切る。孝明よりもしっかり者な性格で根性も座っており、作中では「重宗組は姐さん(遊紀)で持ってる」と評されている。孝明との間に子供はおらず夫婦2人暮らし。評判の良い元芸姑で過去に徳島市や大阪市の店で過ごした時期があるが、酒は弱い方。手本引の胴元をするなど賭け事にそれなりに精通している。その後知り合った木本に惹かれて好意を寄せ始める。
木本燎二(きもとりょうじ)
演 - 村上弘明萬代(ばんだい)組の元ヤクザで、1ヶ月前に刑期を終えたばかり。過去に磐城に仕えていたが、敵対組織のヤクザ相手に勝手に襲撃事件を起こして捕まったため萬代組から絶縁された。ポーカー花札麻雀などジャンルを問わず様々な賭け事に強い。家族思いだが無鉄砲な性格なため、思いつきで行動することも多く麻美からは自己中心的な人物に思われている。出所後麻美と真由と一緒に暮らすことを願い、ダンプカーの運転手として働こうとする。
榎麻美(えのきあさみ)
演 - かたせ梨乃木本の元恋人。シングルマザーで幼い娘・真由と2人で和歌山市のマンションで暮らしている。ヌードグラビアモデルの仕事を始めたばかり。ヤクザだった木本と付き合いカタギになることを条件に結婚の約束をしていたが、彼が約束を破って刑務所に入ったため別れた。趣味は娘とするジョギング。自身の父がヤクザだったことで学校でイジメに遭った過去があり、ヤクザをあまり良く思っていない。母親として真由との幸せな生活を送るため1人で奮闘する。
遊紀と関わる主な人たち
重宗孝明
演 -
藤岡琢也重宗組の四代目組長。遊紀の夫。本人曰く「組長になりたくてなったわけじゃない」とのことで、組長にしてはいささか頼りない人物。博打は下手の横好きなこともあり借金を抱え、現在は家・土地が抵当に入っている状態。どちらかと言うと人当たりが良く、刑事の中本からは、「ヤクザの親分だが敵を作るようなやつじゃない」と評されている。威勢はいいが達者なのは口だけで、女にだらしない性格。ちなみに遊紀によると、重宗組は組員が約50人という小規模で、武器も短銃が少しあるだけとのこと。
磐城忠勝
演 - 神山繁萬代組の若頭。以前から重宗組のシマを狙っている。組員は1万5,000人の大所帯でマシンガンや手榴弾などの武器も所有している。近代極道は、一般企業が株の売買で会社の買収をすることがあるように極道も他の組を金で買収する時代になってきたと考えている。孝明に2億円の金を貸しており、彼の入院後やって来た遊紀に返せないなら重宗組の資産[7]を3億円で売るよう迫る。その後、韓国済州島で自身の萬代組五代目襲名披露では、“大会”と共に花会[8]も行う。
河東喜六
演 - 綿引勝彦磐城の弟分。萬代組の傘下の河東組組長。実態のない開発会社を立ち上げ、重宗組のシマを強引なやり方で奪い取ろうとする。孝明が持つ多額の借金を自身が肩代わりしている。その後堅気として働こうとする木本や、重宗組に対して組員を使って色々と嫌がらせをする。
八橋松代
演 - 草笛光子本業は金貸しだが、表向きはクラブのママとして生活している。徳島市在住。元テキ屋の女親分で過去に徳島で芸姑だった遊紀と知り合った旧知の中。遊紀について「私の娘分のようなもの」と評し、かわいがっている。自分が気に入った相手に対しては面倒見がよく義理人情のある性格。趣味は、店の2階で仲間内でやる賭けポーカー。金を借りに来た遊紀を励ます。その後マスター兼恋人だった勉に絞殺されたことが新聞で分かり、このことが遊紀に覚悟を決めさせるきっかけともなる。
重宗組幹部など
亀田修三
演 -
佐川満男重宗組の若頭らしき幹部組員。得体の知れない開発会社が勝手に住民と土地売買の交渉をしたことを知り、他の組員たちと相手の会社を調べ始める。
牧村勇人
演 - 安岡力也重宗組幹部組員。武闘派で腕っぷしには自信がある。遊紀からの指示でシマの見回りを強化するが、その直後開発会社を名乗る男に至近距離から銃で撃たれ亡くなる。
徳永功
演 - 趙方豪重宗組中堅組員。土地開発会社のビルに出入りする人間を撮影する望遠レンズのカメラを組員に指示する。ジロと共に開発会社ビルの見張りを任される。普段はジロに威張っているが女好きでスケベな性格。
田所雄志
演 - 白川浩二郎重宗組組員。重宗組のシマにある建物を建設業者が無断で壊していることを聞きつけ、他の組員たちと止めに入り、開発会社が無断で建てた立て看板を壊す。
重宗組の若い構成員
小松満男
演 -
柳沢慎吾若い構成員の中ではリーダー的存在。若手の中では遊紀・孝明から一番信頼されており色々と2人から私用の付き添いや送り迎えを頼まれている。ただし少々おっちょこちょいで詰めが甘い性格なため、時々ミスをしたり失言することがある。遊紀と孝明がお互い気ままな行動を取ることがあり夫妻に振り回される。


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