植樹
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緑化(りょっか、りょくか)は、ある場所にを植えること、あるいはそれらが育つような算段をすること。またその後、植物を植栽育成管理すること。目的は緑による環境改善を図ることであるため、通例は収穫を目的としない。
概要景観緑化の一例(東京都の「すきま緑化」事業による自販機、2011年)壁面緑化の一例

緑化は植樹・植林とも重なる部分があるが、植樹は往々にして単独の木を植えることを意味し、植林は材木の生産を目的として、有用樹種を一斉に植えて人工林を作ることが多い。これに対して、緑化は、その場に植物が生長すること自体を目的とするものである。

緑化は大きく二つに分けられる。一つは 園芸街路樹屋上緑化壁面緑化 など、人工的な環境に、さらに人工的に植物を植える事であり、もう一つは、自然の森、緑地のようなものを目的とするものである。

後者は、更に大きく2つに分かれる。一つめは、元来植物が生育していなかった場所、あるいは少なくとも最近しばらくは植物が生育していない場所に、様々な工夫をして植物が生育できるようにすることである。砂漠の緑化砂丘の緑化などがこれに当たる。この場合の緑化は、その地域の環境そのものを人間の生活により適したものに変えようとの意図がある。植物が生育するようになれば、農業も行いやすくなる、またうまくゆけば気候も和らぐ(地表面の温度上昇が抑えられる等)などと期待して、行われる。

この場合、もともと植物が育っていなかったのは、植物の成長を阻害する何等かの要因がそこにあるはずであるから、それに対する対処がまず必要になる。具体的には、水の補給法の確保や地表面の安定、砂の移動の制限などが行われる。

二つめは、人為的攪乱によって作られた裸地を再び植物で覆うことである。一般に、前近代では過剰な材木伐採やの採取が行われたことを受け、近代では治水の観点から、山林の保水能力を回復し洪水を防止することが指向された。日本では1950年に国土緑化推進委員会が設置され、国土緑化大会が開催された[1]。日本では、道路の周辺、のり面などがよくその対象となった。また牧畜国では、放牧により失われた森林の緑化が課題となる事もある。

緑化には地球温暖化や他の生物を含む生態系への影響があり、それも目的に含まれる事もある。
問題点

緑化が自然保護を目的とする場合でさえも、かえって悪影響をもたらす場合があり、無視できない。たとえば街路樹を植えることも快適さなどの点において、環境の改善になっているかというと、複雑である。単純に考えるよりも困難・問題点も多い。砂漠緑化街路樹屋上緑化の項も参考。

また砂漠緑化などは困難であるが、実際にそれができたとしても、その最終的な影響は予想が困難であり、全く意図しない影響をもたらす可能性もある。極端な例としては、サハラ砂漠が完全に緑化されたら、シロッコとして南欧に運ばれる熱がなくなり、ヨーロッパは寒冷化すると思われる。そもそも砂漠も自然環境の一部であり、独自の生態系やバランスが存在し、地球上のあるべき場所には存在していて当然のものである。それを安易に緑化する事は人間の手による環境破壊にほかならない。

特に初期には、とにかくすぐに緑になればよいと、成長の早い国外の植物が安易に使われる例が多く、帰化植物侵入の重大な経路の一つともなっていた。これに関しては、1990年代頃より、国内の植物を利用する例も増えた。たとえばハギなどは道路の法面に盛んに用いられるようになった。しかし、この場合も、外来種の意図しない紛れ込みが確認されている[2][3]。国内の植物を植える場合でさえ、その地域本来の植生と異なる植樹がされることがある。

また、植物種自体はその地域に自生するものであっても、地域による変異は、これまでほぼ無視されてきた。植樹に使う種子や苗を、他の地域や、あるいは道路工事などでは中国朝鮮半島などから運び入れることで、植えられたもののその土地にあまり適応できず、枯れる、成育が悪いなど、効率が悪いことがある。また交雑によって本来の遺伝子プールが損われる遺伝子移入は、取り返しがつかない[4]。たとえ種子や苗が近隣から採取されたとしても、少数の株に由来する場合は、将来的にはその株の子孫が増えすぎることで、やはり遺伝子プールの豊かさを損なうことになる。

アメリカでは、20世紀前半、クズ(葛)が土壌浸食を防ぐカバープラントとして政府によって奨励されたなどの経緯で導入された。ところが余りに広く繁殖、拡散したため、侵略的外来種として大変有害となっている。

ロシアでは、第二次世界大戦後にポプラ(露:トーポリ)が緑化の為に大量に植えられた。しかし、綿毛が大量に飛散するため、ゴミとして、またアレルギーの原因になるなどの害が出ている。

極端な例では、とにかく緑になればよいとして、緑色の塗料を吹き付けた例[5]があった。


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