『桃太郎侍』(ももたろうざむらい)は、はじめ1939年(昭和14年)から合同新聞(現在の山陽新聞)に連載され翌年秋に出版された山手樹一郎の時代小説である(尾崎秀樹、山手樹一郎文学の位置、桃太郎侍文庫版後書き、春陽堂書店、2007)。
過去には春陽文庫、富士見時代小説文庫、桃園文庫などからも刊行されており、長らく絶版状態だったが、2024年1月に春陽文庫より上下巻で復刊された。 この小説を原作にした時代劇映画、テレビドラマ、劇画、舞台公演があるが、それぞれに設定・物語展開が大きく異なり、原作に比較的準拠している内容のものから、換骨奪胎とも言える内容のものまで存在する。 その義侠心から讃州丸亀藩の江戸家老・神島伊織の娘である百合の危機を救った、名は「桃太郎」姓は「鬼退治」と自称した若い男は、江戸の陋巷に育ち今もお化け長屋に暮らす浪人侍だが、これが神島父娘の仕える丸亀藩主若木家の若君である新之助と瓜二つの容貌の持ち主。 折りしもその丸亀藩では国許で藩主が体調を崩しており、後継者問題が持ち上がっていた。しかも、嫡子として跡取りに定められていた新之助とは別に、国家老・鷲塚主膳の妹が産んだ万之助という庶子がおり、これを担ぎ上げようとする鷲塚一派によってお家騒動の様相を呈していた。神島伊織と新之助は国許に乗り込んで鷲塚一派を一掃しようと決意したが、鷲塚一派に機先を制され新之助が逆に毒を盛られて昏倒してしまう。公儀に届け出た江戸出発の日取は迫っており、事態に窮した神島父娘は「桃太郎」に若木新之助の替え玉となっての丸亀行きを依頼する。 かくて、計らずも若木家のお家騒動に巻き込まれた「桃太郎」は、新之助派の藩士たちにも自身の素性を隠したまま若君の替え玉として、鷲塚配下の陰謀家・伊賀半九郎率いる刺客たちと戦いながら東海道を下り、様々な陰謀・危機を潜り抜けて丸亀に向かい、ついには鷲塚一派を倒してお家騒動を収め、再び江戸の陋巷に戻ってゆく。 讃岐丸亀藩では国家老鷲塚主膳が娘に生ませた藩主の庶子萬之助を次期藩主に据えようと陰謀を巡らせていた。毒を盛られ重体となった藩主嫡男新之助に代えてお家騒動に対抗するため江戸家老に白羽の矢が立てられたのは、長屋住まいの素浪人桃太郎。新之助に瓜二つの彼は、実は生まれてすぐ引き離された双子の弟だった。
概要
原作のあらすじ
映画版概要
修羅城秘聞 双龍の巻(1952年)
續・修羅城秘聞 飛雲の巻(1952年)
大河内傳次郎
坂東好太郎
羅門光三郎
澤村國太郎
清川荘司
鳥羽陽之助
荒木忍
杉山昌三九
河野秋武
音楽西梧郎
撮影杉山公平
配給大映
公開 1952年
製作国 日本
言語日本語
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あらすじ
キャスト
桃太郎 / 若殿新之助:長谷川一夫
小鈴:轟夕起子
百合:沢村晶子
伊賀半九郎:大河内傳次郎
大西虎之助:坂東好太郎
高垣勘兵衛:羅門光三郎
北野善兵衛:澤村國太郎
森助:清川荘司
この節は大言壮語的な記述になっています。Wikipedia:大言壮語をしないを参考に修正して下さい。(2019年9月)
長谷川一夫、大河内傳次郎といった名優たちのケレン味溢れる重厚かつ痛快な時代劇のお手本といえる秀作前後編。
スタッフ
監督・脚色:衣笠貞之助
桃太郎侍(1957年)
出演者市川雷蔵
浦路洋子
河津清三郎
木暮実千代
堺駿二
杉山昌三九
香川良介
清水元
細川俊夫
植村謙二郎
荒木忍
浜世津子
浅草蔵前通りを着流しの雪駄ばきで歩いて行く浪人者--桃太郎と名乗る無類の剣の使い手である。桃太郎は若木家若殿新之助と双生児だったが、双児を忌む武家の風習から里子に出され、成人してもそんな武家のならわしを蔑み何人にも仕官しようとはしなかった。若木家では大殿の病気をよいことに、次席家老の鷲塚が新之助を退け妾腹の子万太郎を擁して藩の実権を握ろうと企み、陰謀家伊賀半九郎に策を練らせていた。それを知った江戸家老の伊織は若殿が菩提寺に参詣するその足で帰国を願おうと考え、娘の百合を通じて桃太郎に若殿の道中の護衛を依頼した。桃太郎の正体を知らない半九郎もまた、女スリ小鈴を使って彼を味方に引き入れようとしていた。
キャスト
桃太郎 / 若木新之介:市川雷蔵(主演)
百合:浦路洋子
伊賀半九郎:河津清三郎
花房小鈴:木暮実千代
伊之助:堺駿二
鷲塚主膳:杉山昌三九
右田外記:香川良介
神島伊織:清水元
大滝鉄心斎:細川俊夫
高垣勘兵衛:植村謙二郎
慈海和尚:荒木忍
千代:浜世津子