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「根」のその他の用法については「根 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
土壌が流出して根が露出したドイツの河畔林の木。このような状態を根上がりという[1]

根 (ね、root) は、とともに、維管束植物 (広義のシダ植物種子植物) の体を構成する器官の1つである。ふつう地中にあって植物体を基質に固定し、地上部を支えるとともに (図A)、無機養分を吸収する役割を担っている (→#根の機能)。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}A. マンゴー (ウルシ科) の木の地下部断面. 発達した根が地上部を支えている.B. 多数の根毛が生じている根の先端部.C. ホトケノザ (シソ科) の根. 多数の側根が生じている.

根は先端成長を行い (基本的に先端部だけで細胞分裂を行う)、それを司る根端分裂組織根冠とよばれる保護構造で覆われている (→#根端)。根は外側から表皮皮層中心柱からなり、先端付近の表皮からは根毛とよばれる細長い突起が生じ、吸水面積を広げ、根を土壌に密着させる (図B) (→#内部構造)。中心柱内には吸収した水や無機栄養分を茎や葉に運ぶ木部と葉からの光合成産物が通る師部が放射状に配置しており (放射中心柱)、中心柱は外部との物質連絡を調節する内皮で囲まれている。多くの維管束植物では、内部で形成された新たな根が外側を突き破って伸びることで内生的に側方分枝するが (図C)、小葉植物では外生的に二又分枝する (→#分枝)。の時期 (種子の中など) に形成された幼根に由来する根を定根、二次的に茎から生じたものなどそれ以外の根を不定根とよぶ (→#定根と不定根)。木本植物 (木) では、茎と同様に根も維管束形成層による二次成長を行う (→#一次成長と二次成長)。

根はふつう地中にあるが、地上部にあって呼吸や支持、付着、光合成など特殊な機能を担っていることがある (→#さまざまな根)。根はふつう菌根菌と共生して菌根を形成しており、マツタケトリュフは菌根菌の例である (→#他生物と共生した根)。窒素固定を行う細菌が根に共生している例もある (シロツメクサなど)。また寄生植物は、根を使って他の植物に寄生している。根の中には、食用 (ダイコンサツマイモニンジンなど) や薬用 (高麗人参ハシリドコロなど) とされるものがある (→#人間との関わり)。

上記のように根は基本的に維管束植物器官を意味するが、コケ植物藻類、固着動物など他の生物群がもつ類似の構造を便宜的に根とよぶこともある[2]。以下では維管束植物の器官である根について解説する。
構造

維管束植物生活環において主要な世代である胞子体 (ゲノムを2セットもち、減数分裂によって胞子を形成する体) は、 (シュートとしてまとめられることもある) および根からなる[3][4][5]。例外的に、マツバラン類 (ハナヤスリ亜綱)[6]コイチヨウランオニノヤガラ (ラン科) など菌根菌に大きく依存している植物、サンショウモ属 (薄嚢シダ類)[7]ミジンコウキクサ (サトイモ科) など一部の浮水植物エアープランツであるサルオガセモドキ (パイナップル科) などは少なくとも成熟した状態では根をもたない[8]
根端1a. 根端の縦断面. 1 = 根端分裂組織、2, 3 = 根冠、4 = 剥離した根冠細胞 (境界細胞)、5 = 前形成層.

根はふつう細長い軸状の構造であり、先端成長する[9][10]。根の先端部分は根端 (root apex) とよばれる[10][11]。根端の中には根端分裂組織 (root apical meristem, RAM) とよばれる分裂組織が存在し、活発な細胞分裂を行っている[4][12][13] (図1a)。のシュート頂分裂組織とは異なり、根端分裂組織の先端側は根冠 (root cap) とよばれる多細胞層の柔組織によって覆われている[14][4][15] (図1a)。根端分裂組織は先端側に根冠を、基部側に新たな根の組織を作り出して成長していく。

根は土壌中を伸びていくため、先端表面にある根冠の細胞は次第にはがれ落ちていくが (ふつう1個の根冠細胞の寿命は1?9日ほど)、根端分裂組織によって内側から順次新たな根冠細胞が供給され、根冠には一定量の細胞が維持されている[14][15][16][17] (図1a)。根冠の細胞はムシゲル (粘質ゲル[15]、mucigel) を分泌し、根端を保護すると共に根を伸長しやすくする[15][17]。根はふつう正の重力屈性 (屈地性; 下方へ伸びる性質) を示すが、根冠中央基部付近の細胞 (平衡細胞) 内でアミロプラスト (光合成能を欠き、デンプン粒を多く含む色素体) が沈降することが重力方向の感知に関わっていると考えられている[18]

根端分裂組織からは基部側へも新たな細胞が付加され、これが拡大伸長し、それに伴い組織分化していくことで根が伸長していく[4][19][20]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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