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をお願いします。(2014年6月)「MRI」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「MRI (曖昧さ回避)」をご覧ください。
頭部のMRI(T1)画像頭の頂部から下へ向けて連続撮影し、動画化したもの
核磁気共鳴画像法(かくじききょうめいがぞうほう、英: magnetic resonance imaging、MRI)とは、核磁気共鳴(英: nuclear magnetic resonance、NMR)現象を利用して生体内の内部の情報を画像にする方法である。磁気共鳴映像法ともいう[1]。 被験者に高周波の強い磁場を与え、人体内の水素原子に共鳴現象を起こさせ、共鳴した原子から発生する電波を受信コイルで取得し(また共鳴原子の位置が分かる)高分解能撮影を行う。それによって得られた信号データを三次元画像へ構成方法である。断層画像という点では、X線CTと一見よく似た画像が得られるが、原理は異なり、三次元的な情報等が多く得られる[注釈 1]。しかしながらこれらの撮像診断時間は短くなく、騒音も大きい。 水分量が多い脳や血管などの部位を診断することに長けている。MRI装置のガントリー
概要
2003年にはMRIの医学におけるその重要性と応用性が認められ、"核磁気共鳴画像法に関する発見"に対して、ポール・ラウターバーとピーター・マンスフィールドにノーベル生理学・医学賞が与えられた。
原理詳細は「核磁気共鳴」を参照
電子とともに原子を構成する原子核の中には、その原子核スピン(以下「核スピン」)により磁石の性質を持つものが多く存在する。しかし、(物質全体として自発的に磁化されていない限り)それぞれの核スピンの向きはばらばらであり全体でキャンセルされる結果、巨視的な磁化を発生しない。ここに外部から(強い)静磁場を作用させると、核スピンの持つ磁化は磁場をかけた向きにわずかに揃い、全体として静磁場をかけた向きに巨視的磁化ができる(以降、巨視的磁化を考える)。
この際、核スピンは静磁場方向を軸として歳差運動を発生する。歳差運動とは、コマの首振り運動と同様な運動である(回転軸と核スピンの軸が一致しない)。この運動の周波数はラーモア周波数と言われ、かけた静磁場の強さ及び磁気モーメントの強さに比例する。通常のMR撮像では、10 - 60MHzほどである。これは電磁波で言えばラジオ波の範囲にあたる。核磁化を励起するためのコイルは、RFコイルと呼ばれている。そこに特定周波数の電磁波(ラジオ波領域)のパルスを照射すると、照射電磁波の周波数とラーモア周波数が一致した場合に共鳴が発生し、回転数が変化する(核磁気共鳴現象)。照射が終わると元の状態に戻る。重要なのは、このパルスが終わって定常状態に戻るまでの過程(緩和現象(英語版))で、それぞれの組織(通常のMRIであれば水素原子の置かれている環境)によって戻る速さが異なることである。核磁気共鳴画像法ではこの戻りかたの違いをパルスシーケンスのパラメータを工夫することにより画像化する。
しかしこのままでは、どこがどのような核磁気共鳴信号(NMR信号)を発しているのかという位置情報に欠ける。そこで静磁場とは別に、距離に比例した強度を持つ磁場(勾配磁場、または傾斜磁場)をかける。一般的に、勾配磁場を印加するコイルのことは勾配磁場コイルと呼ばれている。勾配磁場によって原子核(通常は1H)の位相や周波数が変化する。実際に観測するのは個々の信号の合成されたものであるから、得られた信号を解析する際に二次元ないし三次元のフーリエ変換を行うことで個々の位置の信号(各位置における核磁化に比例)に分解し、画像を描き出す。
医療用MRIでは、ほとんどすべての場合、水素原子1Hの信号を見ている。ところが、上記のMRIの原理を満たす原子核(核スピンが0以外)であれば、全て画像にすることが可能であり、そのような原子核は1H以外にもたくさんある。しかし、それらは1Hと比べれば極微量であり、画像にするには少なすぎる。これに対し、1Hは水を構成する原子核であるが、人間の体の2/3は水であることを考慮すると、人間の体は1Hだらけであるといえる。1Hは水以外の人体を構成する物質(たとえば脂肪)の中にも含まれている。ゆえに、1Hを画像化することは、人体(の中身)を画像にすることに近い。1H以外の原子核(炭素 (13C)、リン (31P)、ナトリウム (23Na) など)に関しては、研究レベルでは画像化が行われているが、臨床診断にはあまり用いられていない。
体内から発生する磁場を検出し、画像化するモダリティには他にMEGがある。ただし、MRIが上記のように外部から磁場を掛けて信号を得るのに対して、MEGは脳神経の微小電流により常時発生している微小磁場を検出するもので原理も得られる画像の質も全く異なるものである。
歴史オランダ・フィリップス製MRI装置(3T)
(台北・三軍総医院)
1946年にFelix Bloch、Edward Purcell がNMR信号を発見[2]、1950年 電気通信大学の藤原鎮男と林昭一が日本初のNMR信号を検出した[3][4][5]。1964年にリヒャルト・R・エルンストとWeston Andersonがフーリエ変換NMRの実験に成功[6]、1960年代にソビエトのウラジスラフ・イワノフが航空機の航法装置であるプロトン磁力計の原理を元に考案して関連する複数の特許を取得したが実用化には至らず[7][8][9]、1970年にRaymond V. Damadianが腫瘍組織のT1、T2を測定した[10][11]。1973年にLauterburがzeugmatographyというMRIを提案した[12]、同年、北海道大学の阿部善右衛門らによって磁場焦点法を使った生体内の局所領域のNMR信号の収集に成功[13][14][15][16]、1974年NMRによるマウス画像撮影、1978年にNMRによる初の人体画像撮影に成功した。日本では磁場焦点法を用いての画像化の試みが、田中邦雄らによって進められ[17]、1979年に動物頭部での画像化がなされた[18]。1981年に電子技術総合研究所の亀井裕孟のグループによって、200ガウス低磁場電磁石コイルにより投影画像再構成法を用いて先駆的な頭部像を撮影[19]。その後、左右大脳半球の活動の違いを検出した[20]。