株主コミュニティ
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株主コミュニティ (かぶぬしコミュニティ)とは、証券会社が日本国内の非上場株式を、特定の投資家に対して投資勧誘することを認める制度のことである[1][2][3]
概要

地方に根差した企業などが資金を調達しやすくなるように、これまでほとんど認められていなかった一般投資家による非上場株式の取引活性化を図ることで、非上場株式を発行する企業の取引・換金ニーズに応え、地場企業の資金調達方法の選択肢を増やすことを目的として2015年5月に創設された株式の相対取引制度の一つである[1][2][3][4][5]

上場株式の取引ではなく、また取引できる投資家も株主コミュニティ参加者に限られるため、インサイダー取引規制の適用を除外し、財務内容の開示義務も上場銘柄に比べ緩和されている[2][6]。もっとも、これについては、株主コミュニティ参加者に対してであれば、自由な取引勧誘ができるため金商法第67条の18第4号に規定する「売買その他の取引の勧誘を行うことを禁じていない有価証券」に該当するうえ、株主コミュニティ銘柄は株主コミュニティ参加者内でのみ取引ができるとされるが、投資家が株主コミュニティへ参加することに関してはほぼ制限がないことから金商法第67条の18第4号に規定された「流通性が制限されていると認められる有価証券」にも抵触しないため、開示義務はグリーンシート等と同様に、上場銘柄並みに課すべきとする意見もある[注 1][7]

この制度は、2018年3月31日に廃止されたグリーンシート制度に代わる制度としての側面も有している[2][3][8]。なお制度の創設は2015年5月29日であるが、実際の指定と運営が実施されたのは今村証券が2015年8月28日に受けたものが最初のものとなる[9]
投資勧誘

株主コミュニティは、証券会社が非上場株式の銘柄ごとに株主コミュニティを組成する[1][10]。このコミュニティに自己申告により参加する投資家に対してのみ[注 2]投資勧誘が認められており、その証券会社の顧客ではない者や、顧客であってもそのコミュニティに参加する意思表示をしていない投資家は、株主コミュニティ内で取引される銘柄について、コミュニティ内での取引をすることはできず、また顧客に対して証券会社がコミュニティへの参加を勧誘することも禁止されている[1][4][10]。また投資勧誘以外に直近の取引状況や売買需要の報告についても、コミュニティ参加者のみが受けることができるとされる[5][10]

この制度を推し進める日本証券業協会は、投資勧誘の対象となる株主コミュニティの参加者には、「その会社の役員従業員、その親族、株主、継続的な取引先といった会社関係者」など、対象となる銘柄に縁のある人、あるいは「新規成長企業等への資金供給により成長を支援する意向のある投資家」、更に、「地域に根差した企業の財・サービスの提供を受けている(又は受けようとする)ことから株主優待を期待する」人が株主コミュニティへの参加を希望すると予測している[1][10]。実際、2017年12月に日本経済新聞が報じたところによると、同年12月15日現在16銘柄の株主コミュニティが組成・運営されているが、組成・運営されている銘柄の内訳は優待乗車券目当ての投資家がコミュニティに参加する地方の鉄道会社やバス会社が多いということである[2]
運営元

株主コミュニティ制度の運営は、日本証券業協会の登録を受けた証券会社であり、かつその指定を受けている者によリ行われる必要がある[1]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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