この項目では、生化学の観点からの栄養素について説明しています。健康科学・栄養学を中心とした栄養素については「栄養素 (栄養学)」をご覧ください。
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栄養素(えいようそ、nutrient)とは、
(栄養学等)栄養のために摂取する物質を要素として指す言葉[1]。蛋白質、脂肪、炭水化物の三大栄養素のほかに、無機質、ビタミンなどを指す[1]。
(生物学等)栄養のために摂取される物質[2]。
生物学等では、「栄養素」と言うと、生物が代謝する目的で外界から吸収する物質のことを指している。栄養素は生体内で代謝され、生体内物質の原料やエネルギーを産生するのに利用される[2][3][4]とされる。栄養学等では、上記の(生化学等での栄養素の他に)健康を維持するための食事由来の成分を含めて栄養素としている[5]。 栄養素は栄養のために摂取される物質[2]と生物学等ではされている。とは言うものの、呼吸で使われる酸素、全生物にとって重要な水、緑色植物にとって重要なCO2などを含めず、より特殊性のある物質ばかりが注目されて説明される傾向がある[2]。 栄養素の摂取方式は多岐に渡る。すなわち、動物や原生生物は体内に備えられた消化器官を利用するのに対して、植物は根の外で分解された栄養素を吸収する。どのような物質が栄養素となるかは遺伝的に決定されるそれぞれの生物固有の代謝経路等に依存するので、生物種によって異なる。 独立栄養を営む植物では、摂取される物質は化合物であるが、そこには微量ではあるが不可欠の元素(微量元素)が含まれる[2]。 従属栄養生物は一般には餌を摂食することで栄養素の需要を満たす。従属栄養の生物では、取り入れる有機化合物の種類が重視される[2]。例えば、ヒトの栄養素は次のように分類される[2]。(1)有機栄養素 :炭水化物・脂肪・蛋白質・ビタミン[2] (2)無機栄養素:無機塩類、つまり生物学等の領域外や日常生活では「ミネラル」と呼ばれるもので、食塩・カリウム塩
栄養学等の説明詳細は「栄養素 (栄養学)」を参照
生物学等の説明
動物が食餌を捕食することはごくありふれた行動であるが、ルイ・パスツールがアルコール発酵で証明したように、ウイルス等少数の例を別にするならば、生物が成長・繁殖細する為の物質は体外から取り込む必要があるし、生命活動を維持する為のエネルギーも生態系からの取り込みに依存している。この様な生物の外界に依存する仕組みが栄養の本質である。しかし、酸素の有無以外にも熱水噴出孔のような極限環境を含めて生物はあらゆる環境下にも生息しており、栄養素として取り込んだ物質を代謝して細胞や組織を構築する方法やエネルギー産生の方法もいろいろな方式が存在する。言い換えると生物が環境に適応する方法の一つとして取り込む物質を変化させるので、栄養素とされる物質も千差万別であり有機化合物であったり無機化合物であったりもする。分類的には有機化合物である栄養素は有機栄養素とよばれ、無機化合物である栄養素は無機栄養素ないしは栄養塩類とも呼ばれる。有機栄養素(ゆうきえいようそ、Organic nutrient)と呼ばれるものには、炭水化物、脂質、たんぱく質(もしくは構成要素のアミノ酸)、ビタミンなどがある。また、ミネラルのような一部の無機化合物も栄養素である。
栄養素が必要とされるのは、その物質が生体内の需要を生合成で賄うことができず、外部からの取り込みに頼ることが理由となる。需要量の点から栄養素を分類すると、需要量の多い主要栄養素(しゅよう えいようそ、macronutrient)と、それとは相対的に少量の摂取で済む微量栄養素(びりょうえいようそ、micronutrient)からなる。すなわち栄養素としてとりこまれる物質の比率は生物種によって異なるだけでなく、生物の置かれた環境や個体の成長段階によっても変化する。しかし、細胞を構築するための物質やエネルギー産生の為の物質はその必要量も多く、主要栄養素(しゅよう えいようそ、macronutrient)と呼ばれる。その一方、調節機構にかかわる物質は存在自体が少量な為、栄養素としての取り込み量も少量である。そのような栄養素は微量栄養素(びりょうえいようそ、micronutrient)と呼ばれる。すなわち、生物の構成要素としてたんぱく質、核酸、糖類は生物種によらず普遍的に利用されているので、それらの構成元素である炭素、水素、窒素、酸素、リンそして硫黄は主要栄養素を構成する元素である。また細胞内外に存在しさまざまな働きをするカルシウム、食塩(ナトリウムと塩素)、マグネシウム、カリウムなどの電解質も主要栄養素を構成する元素に含められる場合がある。微量栄養素で注意すべきは、単に生物体から検出されたからといって微量栄養素なのか単なる汚染なのかは識別することはできず、成長に必要な因子であるかどうかが明確になる必要がある[注 1]。
別の観点から見ると、栄養形式を主要栄養素の種類で大きく二つに分類することができる。その場合、二酸化炭素、水の他に無機栄養素だけで十分な独立栄養の場合とそれに加えて有機物から成る有機栄養素をも必要とする従属栄養の場合とが存在する。前者の代表が植物であり、多くの生物種は後者の方式を利用している。独立栄養か従属栄養かの違いは絶対的ではない場合もあり、ヤドリギや食虫植物などでは環境変化に応じて二つの栄養形式を使い分けている[4][6][7]。 栄養素は取り込まれる際に能動的あるいは受動的に細胞膜を通過して輸送される。しかしその化合物の種類は選択されたものだけである。分子量の小さい有機栄養素やは水溶性が高い無機栄養素は受動輸送される場合がほとんどであるが、ブドウ糖以上の分子量を持つ有機栄養素の多くは選択的に能動輸送される。
栄養素の動態