栄養失調
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栄養失調

エチオピア最南部のドーロ・アドにある国境なき医師団医療テントにいる栄養失調の子供
概要
診療科集中治療医学
症状肉体的・精神的成長の遅れ、エネルギー量の低下、脱毛、脚や腹部の腫れ[1][2]
原因食事における栄養素の過多または不足、吸収不良[3][4]
危険因子貧困、母乳育児の不能、胃腸炎、肺炎、マラリア、はしか[5]
予防農業改善、貧困削減、衛生の改善、女性の地位向上[6][7]
治療栄養の強化された食事、サプリメントすぐに食べられる栄養補助食品、根本的な原因の改善[6][8][9]
頻度世界人口の約11%にあたる、8億2100万人の栄養失調(2017年)[10]
死亡数・栄養失調により406,000人(2015年)[11]
分類および外部参照情報
Patient UK栄養失調
[ウィキデータで編集]

栄養失調(えいようしっちょう)とは、偏食や食料の不足、すなわち1つ以上の重要な栄養の不足した食事、暴食や過剰な栄養剤の摂取、もしくは疾病により引き起こされる動物が健康を維持できない状態を指す一般的な用語である。栄養不良(えいようふりょう)、栄養不足(えいようぶそく)(: Malnutrition)とも呼ばれる。

動物は従属栄養生物であって、何らかの形で生体外からエネルギー産生に必要な物質を摂取せねば生きられず、飢餓が限度を超えた場合は餓死に至る。

植物の栄養欠乏症・過剰症は生理障害(英語版)にて行う。

日本の学校教育法では、身体虚弱[12]に含まれる。
要因2020年の世界の栄養失調人口の割合。出典:世界食糧計画
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栄養失調の動物は、食事で充分なエネルギーや、必須アミノ酸ビタミン微量元素を補給できていない。食事の不足や栄養の偏りなどで発生するが、何らかの疾患によって起きた栄養失調は悪液質と呼ぶ。

栄養失調のうち、特に体を動かすエネルギーが不足している状態を低栄養と呼び[13]、一般的には飢餓と呼ばれる。2022年の世界人口約80億人[14]に対して、約7億3,510万人が栄養を充分に摂取できない飢餓の状態にある[15]

飢餓は異常気象戦争災害、そして慢性的な貧困によって起きることが多く[16]、また歴史的には政治・経済体制の崩壊の場合にも多く発生した。世界の食糧生産自体は常に必要量を上回っており、さらに20世紀の人口爆発においても、緑の革命などの食糧生産技術の革新によって、1人あたりの食糧生産量はむしろ大きく増大した[17]が、飢餓は21世紀においても消滅していない。また、最低限のカロリーを確保することができ飢餓に陥っていない場合においても、必要な栄養素をすべて確保した健康的な食事を取るにはさらに費用が必要となるため、栄養失調となっている人びとは多い[18]

現代社会では経済的な理由で食料の調達が行えない状態(貧困)、拒食症摂食障害、極端な偏食、自己流の菜食主義、自己流の制限食ダイエットなどに伴い発生する。特に、高齢者や自己流の制限食ダイエットによる極端な偏食に伴うものは新型栄養失調と呼ばれる事がある[19][20]。しかしながら、21世紀現在においては先進国でも、亜鉛[21][22][22]ヨウ素、およびビタミンAビタミンBなどの欠乏症は広く一般的に発生しており、公衆衛生の問題として認識されている。
分類詳細は「en:List of types of malnutrition」を参照
欠乏症

ある栄養素が不足していることから起こる医学上の問題は一般的に欠乏症と呼ばれる。栄養不良の一般的な形態はタンパク・エネルギー栄養失調と微量栄養素栄養失調に分かれる。「飢餓」も参照
タンパク質-エネルギー栄養障害(英語版)
タンパク質及びエネルギー栄養失調は、身体のエネルギーとタンパク質の不充分な利用、または、摂取不足や吸収不全による。タンパク質とエネルギーの双方が不足している場合はマラスムス、タンパク質のみが不足している場合はクワシオルコルとなる。
微量栄養素栄養失調
微量栄養素栄養失調は、自身で合成することが不可能な生命活動の維持に少量ながら必要な必須栄養素(ビタミン必須元素アミノ酸脂肪酸)などの不足が原因で発生する。これらの欠乏は様々な疾患につながり、身体の正常な機能を損なう。ビタミン欠乏症は、かつてビタミンが知られていなかった時代においては原因が不明であり、ビタミンC欠乏症の壊血病のように航海中の船員が多くかかることで恐れられたり[23]ビタミンB1欠乏症である脚気のように江戸時代から明治時代にかけての都市において猖獗を極めたものもある[24]。発展途上国においてはビタミンAの欠乏が深刻である[25]。ビタミン欠乏症では、ほかにビタミンD欠乏症であるくる病ナイアシン(ビタミンB3)の欠乏症であるペラグラなども存在する。必須元素欠乏症として最も一般的なものは鉄欠乏症であり、またヨウ素欠乏症の患者も世界中に広く分布している[25]。このほか、亜鉛欠乏症銅欠乏症など、さまざまなミネラル欠乏症が存在する。「鉄#生体内での利用」も参照
新型栄養失調
例えば、高齢者で1日に3回の食事をしているが、総カロリーや蛋白質摂取量が不足し発生する[26]、これは経済的理由や買物難民(買い物弱者)[27]や、サルコペニアの要因との指摘されている[28]。また、「自己流の制限食ダイエット」などに伴い発生する[29][22]
他一覧


低血糖症

骨粗鬆症 - カルシウム不足[30]

ヨード欠乏症

克山病 - セレン欠乏症

脱水症状

過剰症

15世紀の医師で毒性学の父とも呼ばれるパラケルススの名言として「全てのものは毒であり、毒でないものなど存在しない。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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