柔道讃歌
[Wikipedia|▼Menu]

柔道讃歌
ジャンル
少年漫画
漫画
原作・原案など梶原一騎
作画貝塚ひろし
出版社小学館
掲載誌週刊少年サンデー
発表号1972年21号 - 1975年14号
アニメ
原作梶原一騎、貝塚ひろし
脚本山崎晴哉伊東恒久
井上知士、松崎行雄
音楽高井達雄
アニメーション制作Aプロダクション
製作東京ムービー
放送局日本テレビ
放送期間1974年4月1日 - 9月30日
話数全27話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画アニメ
ポータル漫画アニメ

『柔道讃歌』(じゅうどうさんか)は、原作:梶原一騎・作画:貝塚ひろしによる日本漫画作品。『週刊少年サンデー』(小学館)にて、1972年21号より1975年14号まで連載された。またそれを原作としたテレビアニメ。「柔道賛歌」と誤記されることが多々ある。
概要

梶原一騎の作品としては、『柔道一直線』と並ぶ柔道もので、1961年選手権大会と1964年東京オリンピック[1]アントン・ヘーシンクに敗れた「屈辱」からの「日本柔道の復興」というテーマを『柔道一直線』から引き継いでいる。また登場する超人的な柔道の技も『柔道一直線』の「地獄車」「二段投げ」「大噴火投げ」などと原理的に共通するものが多い。本作ではそれをさらにエスカレートさせており、「ジャイアントスイングをかけながらブリッジする」「必殺技同士がぶつかりあって相殺し、その衝撃で双方の柔道着が消し飛ぶ」「投げ技を同時にかけ合って2人とも投げ飛ばされる」といった破天荒な描写が続出した。

作風としては、前半の喧嘩少年の設定は『夕やけ番長』に近い。突進太の柔道部入部以降は梶原が描いた過去のスポーツ漫画の要素が集約されている。他の梶原作品では主人公に対する「片親である父親(師匠代わり)または母親」あるいは「肉親以外(親代わり)の師匠」のいずれかが関わるが、この作品では片親である「母」と肉親以外の男の「師匠」を両方、設定し、重要な役割を与えている。特に「師匠が主人公を鍛えるため、敢えて敵にまわる」という梶原ならではの展開は、この作品で初期から基本設定となっている。

また、海辺を舞台にした話、母子家庭で母親が漁師である設定、鯨と鯱の比喩、人間が空中で回る超人的な技など、同時期の『侍ジャイアンツ』と共通点が見られる。母親は一旦、息子が家を出て闘いに入ったら、自分の仕事に徹し、一切、干渉しない方針である点は似ているが、『侍ジャイアンツ』で番場蛮の亡父も母親も野球と(おそらくは)無関係だったのに対し、『柔道讃歌』で母親が柔道(主人公のやる競技)の達人だった点が異なる。

作者はこれまで少年サンデーに「ケンカの聖書」「おとこ道」を発表するが共にヒットせず、本作品がサンデーにおける初ヒットとなった。

2022年3月30日にベストフィールドから初ソフト化となるDVDが発売される。
ストーリー

主人公・巴突進太(ともえ・とっしんた)は背が低いが喧嘩好きの暴れん坊。千葉県立紅洋高校に入学して、そこで新任の教師・利鎌竜平(とがま・りゅうへい)に出会う。彼にはどこか言い知れぬ凄みがあり、何か秘密を抱えているらしい。

突進太は高校の番長になるべく全スポーツ部に喧嘩を挑んで勝つが、唯一、柔道部の主将大東坊には大いに痛めつけられる。しかし最後に巴投げで勝利、彼に認められて柔道部に入部。

実は突進太の母・輝子は昔講道館女三四郎と呼ばれた天才柔道家で、そのころ利鎌の兄を投げたことがあり、兄はそれが原因で人生を誤り、孤独な死を迎えていた。利鎌はその復讐のため柔道に打ち込み、必殺技「天地返し」を修得していた。そして兄の仇である女の息子もまた許せないと、柔道部のコーチに就任して突進太らを徹底的にしごく。

突進太の前には様々なライバル達が現れる。突進太は彼らとの戦いの中で必殺技を編み出し、柔道家としても人間としても大きく成長していく。
登場人物
巴 突進太(ともえ・とっしんた)
声 -
森功至本作の主人公。九十九里で漁師を営む母・輝子と二人暮らし。チビだが輝子のスパルタ教育によって鍛えられケンカが強く、近隣の番長としてならしていた。母と共に「母子(おやこ)シャチ」と異名をとる。県立紅洋高校に進学、恩師・利鎌との運命的な出会いにより柔道を志す。短気でケンカっぱやく荒削りな性格だったが、数々の激闘や特訓の中で人間的に磨かれてゆく。母直伝の巴投げを生かした必殺技で利鎌やライバル達と対決する。重度のマザコンであり、青江波子や高木花実に好意を寄せられても一向になびく気配はない。母・輝子が利鎌と愛し合っていることに激しいショックを受け、自殺未遂や家出騒動まで引き起こした。全日本柔道選手権大会ではなみいる社会人・大学生の強豪達に混じって出場、準決勝で利鎌との激闘に敗れて4位に終わった。紅洋高校中退後は講道館の内弟子として東京に下宿し、本郷第三高校の夜間部に転入して柔道に打ち込む。後に講道館のアイドル的存在になり、ついた異名が「昭和の西郷四郎」「講道館の星」。講道館入門後の段位は三段。勉強嫌いの劣等生だが、原作ではなぜか4回も川柳を読むシーンがある。案外、国語教師であった利鎌の薫陶を受けていたのかもしれない。

「赤まんま かみしめる味 母の味」(県大会優勝後に詠んだ句)

「海と母 ともに歌える 子守歌」(関東大会後に詠んだ句)

「母のひざ ここに日本が ありました」(アメリカ遠征後に詠んだ句)

「夕やけや 鬼の心に 泣きました」(利鎌が突進太をかばって高柔連から除名されたことを知り詠んだ句)
好物はアジのタタキのシソの葉まぶし、カツオのタタキ、けんちん汁、おはぎ。下着は輝子の助言により、六尺褌を愛用。必殺技は「巴二段投げ」「巴黒潮くずし」「巴津波おとし」「山嵐」。
巴 輝子(ともえ・てるこ)
声 - 沢田敏子旧姓・朝香。今は九十九里の漁師だが、かつては「講道館の花」「女三四郎」と呼ばれた柔道家。段位は女子部五段。得意技は巴投げ。前職は婦人警官。柔道にのめり込むあまり利鎌の兄・剛介を投げてしまい講道館を追放された。その後、転任願いを出して赴任した九十九里で漁師の巴十郎太と出会い結婚、一子・突進太をもうける。十郎太の死後は女手一つで突進太を育て上げた。柔道を離れてひさしいが腕は衰えておらず、銚子に巡業に来た女子プロレスラーのジャンボ・クインを投げ飛ばしたり、利鎌の「天地がえし」を見てその原理を見抜いたりする。着物が似合う清楚な美人であり、周囲からの縁談も後をたたないが、断り続けている。かつての恩讐を超えて利鎌を愛するようになり、一時は結婚も考えるが、突進太の猛反対により断念。以後、利鎌への愛はきっぱりとあきらめた。利鎌なき後の紅洋高校柔道部の特別コーチとして部員達を鍛え上げ、突進太の必殺技「巴黒潮くずし」「巴津波おとし」を編み出す特訓にも手を貸す。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:50 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef