果実
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この項目では、植物の果実について説明しています。その他の用法については「果実 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

果実(かじつ、: fruit)とは、雌しべ子房およびそれに付随する構造が成熟したものであり、内部には種子が含まれる。果実は基本的に内部の種子を保護し、またしばしば効率的な種子散布のための構造・機構をもつ。果実において、子房壁に由来する部分は果皮とよばれる。成熟した状態で果皮が液質・多肉質なものは液果(図1a)、果皮が乾燥しているものは乾果とよばれ、また乾果のうち成熟しても裂開しないものは閉果(図1b, c)、成熟すると裂開するものは裂開果(図1d)とよばれる。果実はふつう1つのの1個の雌しべに由来し、このような果実は単果とよばれる。一方、キイチゴのように1つの花の複数の雌しべに由来するものは集合果パイナップルのように複数の花に由来するものは複合果(多花果)とよばれる。また、花托(雌しべなどがついている茎の部分)や花被など子房以外に由来する構造が多くを占めている果実は、偽果とよばれる。.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{display:flex;flex-direction:column}.mw-parser-output .tmulti .trow{display:flex;flex-direction:row;clear:left;flex-wrap:wrap;width:100%;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{margin:1px;float:left}.mw-parser-output .tmulti .theader{clear:both;font-weight:bold;text-align:center;align-self:center;background-color:transparent;width:100%}.mw-parser-output .tmulti .thumbcaption{background-color:transparent}.mw-parser-output .tmulti .text-align-left{text-align:left}.mw-parser-output .tmulti .text-align-right{text-align:right}.mw-parser-output .tmulti .text-align-center{text-align:center}@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .tmulti .thumbinner{width:100%!important;box-sizing:border-box;max-width:none!important;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow{justify-content:center}.mw-parser-output .tmulti .tsingle{float:none!important;max-width:100%!important;box-sizing:border-box;align-items:center}.mw-parser-output .tmulti .trow>.thumbcaption{text-align:center}}1a. ガマズミでは、果実(液果)が鳥に食べられることで種子散布される。1b. タンポポの果実(痩果)は綿毛(冠毛)をつけており、風で散布される。1c. コムギの果実(穎果)では果皮と種皮が合着している。1d. バイモ属の果実(刮ハ)は裂開して種子を放出する。

人間はさまざまな果実を食用としており、その中で甘みがあるものは果物(くだもの)、野菜とされるものは果菜(かさい)とよばれる。また、特に果物のことを果実とよんでいることもある。果実は、一般語として実(み)ともよばれるが、この語は大型の種子を意味することもある(トチの"実"、イチョウの実など)[1][2][3]
構造「果実の解剖学(英語版)」も参照

被子植物では、種子となる構造である胚珠雌しべの中に包まれている[4]。雌しべにおいて、胚珠が含まれる部分は、子房(ovary)とよばれる[4](下図2a)。花粉が雌しべの柱頭に付着(受粉)すると、そこから花粉管を伸ばし、子房中の胚珠に達する。胚珠の中には雌性配偶体である胚嚢(胚のう)が形成され、その中に卵細胞がつくられる[4]。卵細胞は花粉管を通じて送り込まれた精細胞と合体(受精)し、受精卵は次世代である胚となり、これを含む胚珠は種子となる。また胚珠(種子)を含む雌しべの子房は成熟し、果実となる[4][5](下図2e)。果実が発達するきっかけは胚珠が受精することによる植物ホルモンの変化であり、受精できなかった雌しべはふつう枯れてしまう[6][7]。しかし受精することなしに果実が発達することがあり、単為結果(単為結実)とよばれる(例: バナナパイナップルイチジクブドウなどの園芸品種)[8]2a. 雌しべの模式図: st = 柱頭、s = 花柱、o = 子房2b. 果実(核果)の模式図: 1 = 内果皮(木化している)、2 = 種子、3 = 中果皮(多肉質)、4 = 外果皮2c. セイヨウハシバミ(ヘーゼルナッツ; カバノキ科)の果実(堅果)を割ったもの: 果皮が硬く木化しており、内部に1個の種子を含む。2d. Hornungia petraea(アブラナ科)の裂開した果実(角果): 果皮は薄く乾燥している。2e. トマトの花から果実への発達

果実の大きさは極めて多様である。栽培されるセイヨウカボチャの中には極めて大きな果実をつくるものがあり、最大では直径3.56メートル (m)、最重では1,226キログラム (kg) のものが知られている[9]。一方、最小の果実はミジンコウキクサ属のものであり、直径0.3ミリメートル (mm)、重さ70マイクログラム (μg) しかない[10]。1個の果実に含まれる種子の数もさまざまであり、1個の種子を含むものから、100万個以上の微小な種子を含むものまである[11]

果実において、雌しべの子房壁が成熟した部分は、果皮(かひ; pericarp, fruit coat)とよばれる[12][13][14][15][16]。果皮は基本的に3層からなり、外果皮(exocarp)、中果皮(mesocarp)、内果皮(endocarp)とよばれるが、これらの分化が不明瞭なこともある[12][14][15][16](上図2b?d)。また果皮が肉質である場合は、果肉(sarcocarp)ともよばれる[12]。子房下位の花(萼片花弁雄しべの基部よりも下に子房が位置している花)では、子房が花托(下記参照)に包まれている。そのため、このような花から形成された果実においては、果皮の外側に花托に由来する部分が存在し、偽果皮とよばれることもあるが、その区分はふつう不明瞭であり、特に区別せず果皮とよばれることが多い[12][15]イネ科の果実(穎果)では、果皮が種皮と合着している[12][14]。果皮は種子を包んでいるが、ヤブラン属ジャノヒゲ属キジカクシ科)などでは果皮がすぐに脱落し、種子が裸出した状態で成長する[17]

において、花被片や雄しべ、雌しべなどの花要素がついているの先端部分は、花托(かたく)とよばれる[18]。また複数の花がついている茎先端が広がった部分は、花床(かしょう)とよばれる[18]。ただし花托・花床を区別せず、共に花床とよんでいることも多い[19][20]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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