松虫
作者(年代)
金春禅竹
形式
夢幻能
能柄<上演時の分類>
四番目物
現行上演流派
観世・宝生・金春・金剛・喜多
異称
なし
シテ<主人公>
前シテ:里の男
後シテ:里の男の霊
その他おもな登場人物
前ツレ:里の男の友人
ワキ:阿倍野の市に酒を売る男
アイ:里の男
季節
秋
場所
摂津の国阿倍野の市
本説<典拠となる作品>
不明
能
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松虫(まつむし)は、金春禅竹作の能である[1]。 津の国阿倍野の市で酒を売る男(ワキ)の元に毎夜若き男(前シテ)と友人(ツレ)が訪れ、酒宴をなす。不思議に思い、その言の葉の「松虫の音に友を偲ぶ」というその謂れを問うと、男は「昔阿倍野の松原を、ある男が友人と連れ立ち通った折、松虫の音が面白く聞こえるのに、友人はその音にひかれ行き、いくら待っても帰らず、不審に思い尋ね行くとその人は草の中で空しくなくなっていた」という故事を語り、今もその松虫の音に誘われ、友を偲び現れる、私こそがその男の亡霊だと言い立ち去る(中入り)。また、里の男一人(アイ)が現れ、酒売りに、昔この里でこのようなことがあった、と、先ほどの若い男の語ったことと同じ物語を述べる。さても不思議なことと、市人が夜すがらに弔っていると、その弔いがうれしいと、男の亡霊(後シテ)が立ち現れる。亡霊は昔の友を懐かしみ、ともに花鳥風月を愛で遊んださまを語り、舞を舞い、やがて明け方の草の原に消え、後には虫の音ばかりが残る[2](詞章の要約)。
あらすじ
登場人物
前シテ:阿倍野の市に来て酒を買う若い里の男
前ツレ:若い男の友人たち(三人)
ワキ:阿倍野の市で酒を売る男
アイ(狂言):松虫の故事を語って聞かせる里の男
出典^ 西野春雄,羽田昶『新版 能・狂言事典』平凡社,2011年1月25日発行,144ページ
^ 横道萬里雄,表章『謡曲集 下』岩波書店,1963年2月3日,337-341ページ
表
話
編
笛方
葛野流 - 高安流 - 石井流 - 大倉流 - 観世流
太鼓方
梅若流 - 進藤流 - 春藤流 - 平岩流 - 春日流 - 威徳流 - 金春流(大鼓方) - 鷺流
主な演目
翁
右近 - 老松 - 大社 - 賀茂 - 呉服 - 逆矛 - 白髭 - 西王母 - 高砂 - 道明寺 - 白楽天 - 氷室 - 放生川 - 弓八幡 - 養老
二番目物(修羅物)
敦盛 - 箙 - 清経 - 実盛 - 田村 - 巴 - 朝長 - 通盛 - 八島 - 頼政
三番目物(鬘物)
井筒 - 雲林院 - 小塩 - 姨捨 - 大原御幸 - 杜若 - 源氏供養 - 西行桜 - 関寺小町 - 千手 - 草子洗 - 谷行 - 東北 - 野宮 - 羽衣 - 芭蕉 - 檜垣 - 夕顔 - 遊行柳 - 熊野 - 楊貴妃 - 吉野天人
四番目物(雑物)
葵上 - 阿漕 - 蘆刈 - 安宅 - 梅枝 - 景清 - 花月 - 鉄輪 - 通小町 - 邯鄲 - 黒塚 - 高野物狂 - 桜川 - 三笑 - 自然居士 - 接待 - 土車 - 天鼓 - 東岸居士 - 道成寺 - 鳥追舟 - 錦木 - 鉢木 - 百万 - 船橋 - 松虫 - 三井寺 - 盛久
五番目物(切能)
鵜飼 - 大江山 - 春日竜神 - 熊坂 - 項羽 - 石橋 - 舎利 - 鍾馗 - 猩々 - 是界 - 殺生石 - 第六天 - 当麻 - 土蜘蛛 - 融 - 鵺 - 野守 - 紅葉狩 - 山姥
作者
観阿弥 - 世阿弥 - 観世元雅 - 金春禅竹 - 宮増 - 観世信光 - 金春禅鳳 - 観世長俊