この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。
出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2013年12月)
開いた状態の松かさ(クロマツ)。自然落下した状態 開いた状態の松かさ(Pinus coulteri
松かさ(まつかさ、英: conifer cone、pinecone)とは、松(マツ科マツ属)の果実のようなもの(毬果あるいは球果)のことである。松毬、松傘、松笠とも書き、「松毬」は「ちちり」「ちちりん」とも訓読する。まつぼっくり、松ぼくりともいう。これは、「松陰嚢(まつふぐり)」が転訛した語である。「松ぼくり」は晩秋・植物に分類される季語となっている[1]。
英語の "pineapple" (パイナップル、パインアップル)は、本来は「松の果実」という名前の通り松かさのことであったが、後に松かさに似た別の果物、すなわち現在のパイナップルを指すようになった(この場合の“apple”は、リンゴではなく単に果実を意味する)。
目次
1 構造
2 機能
3 利用
4 マツ以外の松かさ
5 脚注
6 参考文献
7 関連項目
8 外部リンク
構造「マツ#形態」も参照
アカマツやクロマツの種子は、雌花を構成する鱗片の裏面につく。この鱗片は、主軸に螺旋状につき、全体としては卵形、あるいは卵状楕円形の塊になる。その外面は鱗片の先端の広がった部分によって覆われ、種子の位置する鱗片のすき間は、鱗片先端が膨らんで、互いに密着することで、その内部に閉じこめられ、外から見ることはできない。これが松かさである。
種子を中に含む構造という点では果実に類似するが、雌しべの子房に由来する真の果実ではない。種子の成熟には2年かかるので、マツの枝を観察すると、先端に今年の雌花、1年枝の根元に昨年から成長した未熟な松かさ、更に下には種子を放出した後の松かさがついているのが確認できることがある。種子を放出してしばらくすると、松かさは根本からはずれて地上に落ちる。このとき、松かさは大きく開いてやや球形に近くなる。
一般に二・三葉マツ(Pinus亜属 )の球果は硬く卵型、五葉マツ(Strobus亜属)のそれは軟らかくカプセル型で素手でも容易に分解できる傾向がある。ただし、Ducampopinus亜属のものは五葉でも卵型で硬いものがあり、この葉の数では完全に分類できない
P. aristata(五葉、Ducampopinus亜属)
動物に食べられたP. cembraの球果(五葉、Strobus亜属)
最大60cmにもなるP. lambertiana(五葉、Strobus亜属)
ハイマツ(Strobus亜属)
アカマツ(Pinus亜属)
クロマツ(Pinus亜属)
同じくマツ科のモミ属(Abies)、トウヒ属(Picea)、カラマツ属(Larix)やツガ属(Tsuga)など、あるいはコウヤマキ(コウヤマキ科)などもよく似た松かさを作る。形や大きさは種によってさまざまである。それぞれその形態には特徴があり、それによって属や種の判断ができる。モミの場合、種子を放出するときに鱗片がバラバラになるため、松かさの姿で地面に落ちることはない。
ツガ(ツガ属)
アカマツやクロマツのように風による種子散布を行う種においては、種子が成熟すると、松かさを構成する鱗片は反り返り、そのすき間を外に広げる。風散布性のマツの種子には「種子翼」という羽根状の付属物がついており、松かさから地上に落ちる間に風に乗って散らばる。
ハイマツやチョウセンゴヨウのように動物による散布を行う種においては、種子が成熟しても松かさが開くことはなく、動物が種子を捕食する際に松かさごと運ばれてこぼれることで散布を行う。日本の高山帯に分布するハイマツの散布者としてはホシガラスが重要である。チョウセンゴヨウはリスなどによる「貯食」に依存している。
また、松かさは水につけると傘を閉じ、逆に乾燥すると開くというような生物学的メカニズムを持っている。そのような松ぼっくり自身のメカニズムを利用して山火事に依存した種子散布を行う種もある。アメリカ合衆国のヨセミテ国立公園などに生えているコントルタマツ(Pinus contorta、英: Lodgepole Pine、ロッジポールパイン)の松ぼっくりは、火事になると「烈開」と呼ばれる現象で、その硬い松かさを開いて種を地面に捲き散らすという自然現象を発生させる。