東洋大日本国国憲按
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「日本国国憲按」はこの項目へ転送されています。元老院によって提案された憲法案については「日本国憲按」をご覧ください。
東洋大日本國々憲案(国立国会図書館所蔵)[注釈 1]

東洋大日本国国憲按(とうようだいにほんこくこっけんあん)とは、日本明治期における私擬憲法の一つ。1881年(明治14年)に、国会期成同盟の大会の決定を受け、立志社植木枝盛が起草した[1]
概要

自由民権左派の最も民主的急進的な私擬憲法として知られる。特徴として、人民主権自由権抵抗権(不服従権)・革命権立憲君主制連邦制一院制などを定め、議会の権限が強いことが挙げられる。日本国国憲按ともいう。
内容(現代語訳、抜粋)

条文の現代語訳はすべて[2]による。

立憲君主制・一院制

第一条 日本国は、日本国憲法に従って国を築き、保つものとする。

第二条 日本国には、一つの立法院(法律を定める国会)、一つの行政府(政策を実行する政府)、一つの司法庁 (法をつかさどる裁判所)を置く。憲法はその規則を設ける。

連邦制

第七条 次に挙げる州を連合して、日本連邦となす。 日本武蔵州、山城州、大和州、和泉州、摂津州、伊賀州、伊勢州、志摩州、尾張州、三河州、遠江州、駿河 州、甲斐州、伊豆州、相模州、安房州、上総州、下総州、常陸州、近江州、美濃州、飛騨州、信濃州、上野州、 下野州、岩代州、磐城州、陸前州、陸中州、陸奥州、羽前州、羽後州、若狭州、越前州、加賀州、能登州、越 後州、越中州、佐渡州、丹後州、但馬州、因幡州、伯耆州、出雲州、石見州、隠岐州、播磨州、美作州、備中州、安芸州、周防州、長門州、紀伊州、淡路州、阿波州、讃岐州、伊予州、土佐州、筑前州、筑後州、豊前州、 豊後州、肥前州、肥後州、日向州、大隅州、薩摩州、壱岐州、対馬州、琉球州

第八条 日本連邦政府を置き、州の単位を超えた日本全体の政治をつかさどる。

第九条 日本連邦は、各州に対し原則としてその州の自由独立を保護すべきものとする。

第十条 日本国内においてまだ州として独立していない所は、連邦政府が管理する。

第十一条 日本連邦は、各州に対し外国からの侵攻を防御する責務がある。

第十二条 日本連邦は、日本各州の互いの関係について規則を設けることができる。

第十三条 日本連邦は、それぞれの州の内部の事柄に干渉することはできない。その州内の郡や町村などの制度にも干渉することはできない。

第十四条 日本連邦は、日本各州の土地を奪うことはできない。その州自体が賛成を示す場合でなければ、州を 廃止することはできない。

第十五条 憲法を改めない限り、日本の州を合併したり、分割したり、州の境界を変えたりすることはできない。

第十六条 日本国内の地域において新たに州をつくるに当たって、その地域が連邦政府と一体化しようとする場 合は、連邦はそれを妨げることはできない。

第二十九条 日本各州は日本連邦の大原則に背くことを除き、それぞれ独立して自由なものとする。どのような政 治体制を行うとしても、連邦がそれに干渉することはない。

第三十条 日本の各州は外国に対し国家の権利や国土に関する条約を結ぶことはできない。

第三十一条 日本各州は各国に対し、連邦や他の州の権利に関わりのないことに限り、経済や警察の分野の件に ついて取り決めを結んだり法や規則をつくったりできる。

第三十二条 日本各州は、現実に賊徒に襲われ急な危険に迫られた場合でなければ戦闘を行うことはできない。

第三十三条 日本各州は、互いに戦闘することはできない。争い事があれば、連邦政府にその判定を委ねる。

第三十四条 日本各州は、現実に強敵に襲われたり大乱が発生したりなどという急な危険の際には、連邦に通報 して救援を求めることまたは他の州に対して応援を要請することができる。各州は、他州からこのように応援を要請されたとき、それが真に急な危険からのものであるとわかるときは救援を送ることができる。それにかかった費用は 連邦が負担する。

第三十五条 日本各州は常備兵を持つことができる。

第三十六条 日本各州は護郷兵(州の防衛のための兵力)を持つことができる。

第三十七条 日本各州は、連邦の許可がないのに二州以上で盟約を結ぶことはできない。

第三十八条 日本各州は、関係する二州以上で協議することにより、その境界を改めることまたは州を合併するこ とができる。これを行うときは必ず連邦に通告しなければならない。

自由権・平等権

第四十三条 日本の人民は、法律によってでなければ、自由の権利を損なわれない。

第四十四条 日本の人民は、満足な生命を得、満足な手足や身体や容姿を得、健康を保ち、名誉を保ち、世の 中の物を使用する権利を持つ。

第四十五条 日本の人民はどのような罪を犯したとしても生命を奪われることはない。

第四十六条 日本の人民は、法律によるものでなければどのような刑罰も与えられてはならない。また、法律によ らずに罪を責められたり、逮捕されたり、拘留されたり、監禁されたり、取り調べられたりすることはない。

第四十七条 日本人民は、ある一つの罪のために繰り返して身体に刑罰を加えられることはない。

第四十八条 日本人民は、拷問を加えられることはない。

第四十九条 日本人民には、思想の自由がある。

第五十条 日本人民は、どのような宗教を信じるのも自由である。

第五十一条 日本人民には、言葉を話す自由権がある。

第五十二条 日本人民には、議論を行う自由権がある。

第五十三条 日本人民には、言葉を筆記し出版して公開する権利がある。 第五十四条 日本人民には、自由に集会を行う権利がある。

第五十五条 日本人民には、自由に団体を組む権利がある。

第五十六条 日本人民には、自由に歩行する権利がある。

第五十七条 日本人民には、住居を害されない権利がある。

第五十八条 日本人民は、どこに居住するのも自由とする。また、どこに旅行するのも自由とする。

第五十九条 日本人民は、どのようなことを教え、どのようなことを学ぶのも自由とする。

第六十条 日本人民は、どのような産業を営むのも自由とする。

第六十一条 日本人民は、法律に定められた手続きによらずに屋内を探索され見調べられることはない。

第六十二条 日本人民は、通信の秘密を損なわれてはいけない。

第六十三条 日本人民は、日本国を去ることや日本国籍を脱することを自由とする。

第六十五条 日本人民には、財産を自由に扱う権利がある。

第六十六条 日本人民は、どのような罪を犯したとしても私有のものを没収されることはない。

第六十七条 日本人民は、所有するものを正当な補償がないのに公共のものとされることはない。

第六十八条 日本人民は、それぞれ自身の名で政府に書状を出すことができる。各自は自身のために請願をする権利がある。公立の会社においては、会社の名で書状を出すことかできる。

抵抗権・革命権

第六十四条 日本人民は、すべて法の許さない物事に抵抗することができる。

第七十条 政府がこの憲法に背くときは、日本人民は政府に従わなくてよい。

第七十一条 政府や役人が抑圧的な行為をするときは、日本人民はそれらを排除することができる。政府が威力 をもって勝手気ままに横暴で残虐な行為をあくまでもなすときは、日本人民は武器をもって政府に対抗することが できる。

第七十二条 政府がわがままにこの憲法に背き、勝手に人民の自由の権利を害し、日本国の趣旨を裏切るとき は、日本国民はその政府を打倒して新たな政府を設けることができる。


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