東映魔女っ子シリーズ
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東映魔女っ子シリーズは、1966年から1981年までの15年間断続的に続いた東映動画(後の東映アニメーション)製作の一連の魔法少女アニメの総称である。東映アニメーションの公式サイトにある『魔女っ子コレクション』[1]や関連書籍[2]では単に「魔女っ子シリーズ」と表記[注釈 1]されているが、本稿では他社の類似シリーズと区別して便宜上「東映魔女っ子シリーズ」と表記している。著書によっては「東映動画系魔法少女シリーズ」等、様々な呼称が存在する。ただし、いずれにおいても「魔女っ娘」表記は行われない。

またシリーズに含まれる作品の範囲について公式なアナウンスはなく、ラインナップは商品展開によって異なる。
概要

後に製作される多くの魔法少女アニメの基礎、原点となる一連の作品群であり、主役となる魔法少女自身の立場や使われる魔法の意義、それらにおける主人公らの心情などが、各作品によりあらゆる形で描写されている。

一般に魔女っ子や魔法少女と呼ばれるテレビアニメの主人公には、生まれながらの魔法使い(多くの場合は王女など特別ないしは由緒ある身分)であるタイプと、ごく普通の人間が未知との遭遇により魔法のアイテムを入手するなどの後天的なタイプの2つのパターンに分類でき[4]、後年の葦プロダクションの類似シリーズは前者、ぴえろ魔法少女シリーズでは後者で特徴が固められている。これらに対し本シリーズはバラエティに富んでおり、『サリー』が前者、『アッコ』が後者の典型であるなど両者を含んでいる。中には『ルンルン』のように普通の人間として育てられながらもその正体は花の精の末裔だったというような折衷的な設定も存在する。さらには忍者やサイボーグなど、厳密には魔法使いですらない作品もあるが、それらはシリーズ展開によっては扱われないこともあり、シリーズの範囲は必ずしも明確ではない。

また、シリーズと言えど同社が後に製作する「おジャ魔女どれみシリーズ」や「プリキュアシリーズ[注釈 2]等とは異なり、このシリーズはあくまでも一連の作品群の呼称に過ぎず、次作の宣伝のための共演シーンは存在するものの、作品の世界観の継承や共有はいずれの作品においても全く存在しない。製作会社は異なるも[注釈 3]、この形態は長浜ロマンロボシリーズと同一である。
経歴

アメリカ製作のコメディドラマ『奥さまは魔女』が日本国内でもヒットしたことを受け、東映は魔法使いを扱ったアニメ作品の制作を企画した。当時の東映株式会社本社副社長であった渡邊亮徳は、人気漫画家であった横山光輝に原作の執筆を依頼し、制作が開始された。

そして1966年7月号より少女漫画雑誌『りぼん』にて『魔法使いサニー』の連載が開始したが、版権の問題で当作品は『魔法使いサリー』に改題されたうえでアニメ化、放送が開始した。この『魔法使いサリー』が、当シリーズの初回作に当たるのは先述の通りだが、同時に日本初の魔法少女アニメ、また日本初の女子を主演に置いたアニメ作品[5]とも言われる作品にも該当する。しかしこの作品は女子をメインターゲットにした作品でありながら、バラエティに富んだ作品性から、男子層からの人気も得ていたとされる。

『サリー』のヒットに当たり、同枠での後番組として制作放送された赤塚不二夫を原作に置く第2弾[2][6]ひみつのアッコちゃん』は視聴率的[注釈 4]にも前作を上回るヒット作となった。この時点で既に、スポンサーとの商品化の事情を把握したうえでの連携制作を行う形態が執られている。

第3弾[2][3]魔法のマコちゃん』では、『サリー』からの視聴層もターゲットに、視聴年齢の大幅な引き上げが行われたが、前2作に続くような人気は得られずに放送を終えた。

『マコ』の後番組である『さるとびエッちゃん』からは、「魔法使い」とは異なる「スーパーウーマンもの」も展開されるようになった。これを第4弾[2]と見なすこともあるが、「魔女っ子」としてのシリーズ展開には含まれないこともあり、これ以降のシリーズ作品のカウントは必ずしも共通見解の無いものとなった。

その後も枠を連ねシリーズ第5弾[2]魔法使いチャッピー』まで放送された後、男子向けアニメ及び『サリー』と原作者を同じとする『バビル2世』を挟んで[注釈 5]シリーズは再開。ひろみプロが企画、原作を担当する第6弾[2]ミラクル少女リミットちゃん』が放送された。このとき放送が企画された作品には先述の物と『キューティハニー』の2作が上がっており、双方の製作スタッフによる企画コンペが行われた結果、前者が当枠での放送作品に選出されたという経緯がある。後者は対象年齢を広げるアレンジが盛り込まれて別枠での放送となったが、こうした経緯から『キューティーハニー』は商品展開によって本シリーズに含まれたり含まれなかったりと扱いの分かれることになった。

同じ放送枠での第7弾[2]にあたる『魔女っ子メグちゃん』では、前作に引き続きひろみプロが原作を担当。魔法要素、コメディ要素、主人公の心情描写や男子層を引き込むための大胆なアダルトテイストさなど、あらゆる点から見て本作が東映魔女っ子シリーズの集大成と言えるべき作品となっており、それを表すかのように当シリーズはここで一旦幕引きとなっている。

1978年にはそれまで長浜ロマンロボシリーズなどを手がけてきた東映テレビ部が少女アニメに初挑戦し、『魔女っ子チックル』の放送を開始した。放送局と放送時間はこれまでと同じテレビ朝日(1977年にNETテレビから名称変更)月曜19時台前半だったものの、これまでのような東映動画の作品ではなかったこともあり、本作はシリーズとして扱われない場合も少なくない。上記『キューティーハニー』の例もあり、これ以降のシリーズは「第○作目」というカウントについての定義がますます困難になり、見解の分かれることになった。

『メグ』の放送終了から4年後の1979年に『キャンディ・キャンディ』の後番組として本格的にシリーズが再開し、『花の子ルンルン』が放送を開始。枠を連ね、続いて放送された『魔法少女ララベル』にて、当シリーズはピリオドを打ったと見なされている[2]

終了の理由は、「昔と違い強くなった現代の女の子たちにとって、魔法があこがれの存在ではなくなった」という制作者サイドの判断によるものだった[7]

ただし、『ララベル』の後番組にあたる『ハロー!サンディベル』は引き続いて女子向けアニメである。

『ララベル』放送終了後の1988年には『アッコ』のリメイク作品が製作・放送され、次いで1989年には『サリー』のリメイク作品が製作・放送されている。『アッコ』に至っては、1998年に再度リメイク作品が製作されており、一部ながらシリーズは世代を越えて支持されている。
シリーズ一覧

シリーズ作品としての採用状況の例作品[例 1][例 2][例 3][例 4][例 5][例 6][例 7]
サリー[注 1]○○○○○○○
アッコ[注 1]○○○○○○○
マコ○××○○○○
エッちゃん×××○○○○
チャッピー×○×○○○○
リミット×××○○○○
ハニー[注 1]×○○○×○○
メグ○○○○○○○
チックル××××○○×
ルンルン○○○○○○○
ララベル○○×○○○○
その他---○
[注 2]---
注:^ a b c 資料によってはリメイク作品を含む。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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