東急8000系電車
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東急8000系電車
赤帯貼付後の8000系未更新車
(2004年12月23日 白楽駅)
基本情報
運用者東京急行電鉄
KAIコミューター
製造所東急車輛製造
製造年1969年11月 - 1987年3月
製造数187両(狭義)
(最終時:8両編成19本・5両編成7本)
運用開始1969年11月30日
運用終了2008年2月22日
投入先東横線田園都市線・新玉川線(中間車として)・大井町線
主要諸元
編成東横線 8両編成・大井町線 5両編成(最終時)
過去4両・6両・7両編成
軌間1,067 mm(狭軌
電気方式直流1,500 V
架空電車線方式)
最高運転速度110 km/h (東横線・田園都市線
75 km/h (大井町線)
設計最高速度120 km/h
起動加速度4両編成(2M2T)2.4 km/h/s[1]
5両編成(3M2T)2.9 km/h/s[1]
6両編成(4M2T)3.2 km/h/s[1]
8両編成(6M2T) 3.3 km/h/s
減速度(常用)3.5 km/h/s
減速度(非常)4.5 km/h/s
車両定員136人(座席定員56または48人)(先頭車)
144人(座席定員64または54人)(中間車)
自重本文参照
全長20,000 mm
全幅2,760 mm(車体基準幅)
2,800 mm
全高本文参照
車体高本文参照
床面高さ1,155 mm(クハ8000形PIII-708形台車使用時)
1,170 mm(上記以外)
車体ステンレス鋼
台車軸ばね式ダイレクトマウント空気ばね台車
動力台車TS-807形/807A形
付随台車PIII-708形/TS-815A形/815F形
主電動機直流複巻電動機
TKM-69形・80形(デハ8100形)
TKM-82形(デハ8400形)
主電動機出力130 kW
駆動方式中空軸平行カルダン駆動方式
歯車比85:16(5.31)
編成出力3,120 kW (東横線)・1,560 kW (大井町線)
制御方式電動カム軸式抵抗制御+他励界磁チョッパ制御
制御装置日立MMC-HTR-20A/20C/20F(デハ8100形)
日立MMC-HTR-10D(デハ8400形)
(弱め界磁起動1段、直列13段他、並列11段他、弱め界磁無段階)
制動装置回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(HRD-2形)
保安装置ATC-P
東急型ATS
備考マスコンハンドルの力行、制動段数は力行4段、制動常用7段+非常
出典[2]
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東急8000系電車(とうきゅう8000けいでんしゃ)は、かつて東京急行電鉄(現・東急電鉄)に在籍していた通勤形電車

東急での運用終了後は伊豆急行インドネシアの鉄道会社であるPT. Kereta Api(KRLジャボデタベック)に売却されたが、本記事では後者のみ扱う(伊豆急行への譲渡車は伊豆急行8000系電車の記事を参照のこと)。

東急では、編成呼称の際に渋谷・大井町方先頭車の車両番号を使用している。このため、本記事では渋谷・大井町方先頭車の車両番号を編成名表記(例:8001F、末尾の「F」は編成を意味するFormationの頭文字)として扱う。
概要

東急では初の20 m車で、量産車で日本初となるワンハンドルマスコン、電気指令式ブレーキを採用した車両で、東急の主力車として大量に増備された。輸送力増強および東横線に残存していた旧型吊り掛け駆動車の置き換えも本系列により行われた。機器などがほぼ同じとなる広義の8000系としては677両が製造された。

なお、広義の8000系は、

8500系

8090系・8590系

の3系列も含めるが、ここでは狭義の8000系のみを解説する。
車両概説
外観

1962年(昭和37年)登場の7000系電車以来の流れを汲むアメリカバッド社ライセンスによるオールステンレス車で、機能最優先な直線基調の形態である。輸送力増強と将来の新玉川線での使用を念頭に、東急では初の20 m級・両開き4ドア車体となり、以降の同社の標準となった。

製造当初からしばらくの間、車体はステンレスの地色のままであったが、1988年(昭和63年)の春から夏にかけて先頭車の前面に赤帯が配された。
主要機器

制御系には回生制動が可能な他励界磁チョッパ制御方式を世界で初めて実用化し、また、運転台操作系には、量産車としては日本初となる、マスコンハンドルとブレーキレバーを一体化した「ワンハンドルマスコン」が採用されている。

ワンハンドルマスコンの操作法については、“押して制動・引いて力行”と言う方法と、の御し方に基づいたその逆の2つの案があり、最終的には前者に決定したが[3]、これが“人間工学に基づいたシステム”と評価された。日本の鉄道車両は以降輸入車を除いてこの方式を踏襲している。また、ワンハンドル方式の運転台自体は高松琴平電気鉄道10000形帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)の6000系試作車などにも試験的に採用されていたが、普及することはなかった。

他にも、応答性に優れ、当時最先端であった電気指令式ブレーキを装備し、補助電源供給には、保守に手間のかかる従来の電動発電機(MG) に代え、静止形インバータ(SIV)を採用するなどの特徴が見られる[4]

主電動機は複巻電動機のTKM-69形・TKM-80形・TKM-82形の3つで、日立製作所東洋電機製造東芝の三社競作である[5]。それぞれのモーターは音に違いがあり、TKM-69形は1979年までに製造されたモーターで高速域で低音を発し、TKM-80は1980年以降のモーターで、高速域が高音となった。TKM-82は1982年以降の製造で1M制御用、4個モーターを直並列制御し、低速域の音が大きく変わっている。高速域はTKM-80とほぼ同じ音を出す。

主回路制御方式は界磁チョッパ制御で、主制御器日立製作所製のMMC-HTR-20A形(直列13段・並列11段・回生15段)である[6]。田園都市線用として登場した5次車(8043F - 8051F)は4両編成で落成した。該当編成に組み込まれたデハ8100形8143 - 8147は離線対策として、パンタグラフ2基(通常は1基)搭載で製造され[7]、主制御器は仕様変更したMMC-HTR-20C形に(カム数は同じ)、主抵抗器は通常の8個から10個に増設されている[6]。また断流器とは別に高速度遮断器が設置された(それ以前の車両も追加設置)[6]。5両に増車された後もしばらくはパンタグラフ2基のままであったが、後に下り方のパンタグラフが撤去されている。

6次車以降は主抵抗器が8個に戻されている。12次車以降の主制御器は制御段数を増やして乗り心地の改善を図ったMMC-HTR-20F形(直列15段・並列13段・回生14段)に変更した[6]
台車

台車はほぼ7200系のものを踏襲しており、動力台車はTS-807形、付随台車はパイオニアIII系のPIII-708形である[8][9]。TS-807形の基礎ブレーキは片押し式踏面ブレーキ方式、軸距は7200系の2,100 mmから2,200 mmに延長した[9]


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