東急5000系電車_(初代)
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東急5000系電車
東急東横線を走る5000系
1980年
基本情報
運用者東京急行電鉄
製造所東急車輛製造
製造年1954年 - 1959年
製造数105両
運用開始1954年10月16日
運用終了1986年6月18日
主要諸元
編成3 - 6両編成
軌間1,067 mm
電気方式直流1,500V
架空電車線方式
車両定員先頭車140(座席58)人
中間150(座席64)人
自重デハ5000形 (Mc) 26.6 t
デハ5100形 (M) 27.0 t
サハ5050形 (T) 20.0 t
クハ5150形 (Tc) 21.5 t
全長18,500 mm
車体長18,000 mm
全幅2,740 mm
車体幅2,700 mm
全高4,120 mm
車体高3,640 mm
台車TS-301
主電動機SE-518形
主電動機出力110 kW(端子電圧750V)
駆動方式直角カルダン駆動方式
歯車比52:9 (5.78)
制御方式電動カム軸式抵抗制御
制御装置東芝PE-11形(弱め界磁起動1段、直列12段、渡り2段、並列11段、弱め界磁3段、発電制動20段)
制動装置AMCD、手ブレーキ 発電併用自動空気ブレーキ
保安装置東急形ATS
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東急5000系電車(とうきゅう5000けいでんしゃ)は、東京急行電鉄に在籍していた通勤形電車である。

本項では車両形式は以下の通りに取り扱う。

「7000系」……1962年昭和37年)登場の東急7000系電車(初代)


概要

東急車輛製造が1950年代に105両を製造し、東急では1986年まで、地方私鉄では2016年まで運行された[1]航空機の技術であるモノコック構造を応用した超軽量構造と、付随車を組み込んだMT編成を採用し、高性能化と製造コストの両立を図ったことが大きな特徴である。日本で初めて本格的に直角カルダン駆動方式を採用した鉄道車両である。

下ぶくれの車体と、ライトグリーン(萌黄色)1色に塗装されていたことからカエルを連想させ、「青ガエル[1][2]」「雨ガエル」などの愛称で利用者に親しまれた。東急の鉄道線における普通鋼製車両は本系列が最後で、以降の新車はステンレス車体へ移行することとなった。

親しみを感じさせる外観から複数の車両が観光施設などで展示されており、熊本電気鉄道動態保存している[1]

2002年2代目5000系が登場してからは、本系列を「初代5000系」「旧5000系」と呼ぶケースも多い。また、クハ5150形は2代目にも存在する形式である(東横線用5050系の渋谷方先頭車)。
車両概説 5000系が装備したTS-301型台車
車体

西鉄313形電車で採用されていたモノコック構造、高抗張力鋼を用いることで軽量車体を実現した。正面は形状はいわゆる湘南型の2枚窓で、窓上には白熱電球の1灯式前照灯、左右に標識灯尾灯を装備する。

車体塗装はライトグリーン一色で、以降この色は東急の鋼製車の標準色として他形式も塗装変更が行われた。当初透明感のある彩度の高いものであったが、退色しやすいため後に彩度を落とした濃い色が使用された。

客用窓は当初、2段窓の下段を上昇させるとワイヤーで連動した上段窓が下降するいわゆる「釣瓶井戸」構造であったが、後に一般的な2段上昇窓、または上段下降・下段上昇2段窓に改造された。登場当初、乗降扉の窓は正方形に近い大窓であったが、後に横長の小窓に変更されている。また床下機器や台車も当初は明るいグレーであったが後に黒に変更され、以降の各形式も黒で統一されている。
内装

車内はロングシートで、蛍光灯にはカバー・露出式の両者の長所を持つルーバー方式を採用した。発電制動抵抗器の冷却風を客室内に導き、温風として暖房に使用する設計が取り入れられた[3]。しかし抵抗器の熱に依存することから、出庫直後は抵抗器の帯熱が不充分で弱すぎる反面、帯熱してからは効きすぎるなど温度制御が難しいため、後年に通常の電熱暖房に改造された[4]
主要機器

主電動機は東芝製SE-518形直巻電動機(定格出力110kW、端子電圧750V、電流162A、定格回転数2,000rpm、最高許容回転数4,500rpm、最弱め界磁率50%)を採用し、定格速度を高く取り高速性能を確保した。出力は当初75kWの計画もあったが最終的には110kWとなった。

主幹制御器の段数は4段であり、1 - 3ノッチは通常の直並列制御であるが最終4ノッチは限流値が引き上げられ、起動加速度が引き上げられる。本形式に採用されたPE-11形電動カム軸抵抗制御器は、後に国鉄のCS12形制御器のモデルとなり、さらに改良されて国鉄の電車用抵抗制御器の決定版となるCS15形へと発展した。制御段数は直列12段、並列11段、弱め界磁3段、発電制動20段である。弱め界磁制御は高速域のみならず加速を滑らかにするため発進時にも弱め界磁を使用する「弱め界磁起動」装置が導入された。弱め界磁は高速域でも当初使用されていたが終期には発進時のみ使用されるようになった。

主抵抗器はカバーで覆われ、電動発電機に取り付けられたファンで冷却する強制風冷式[5]で、東急では本形式と5200系のみでの採用となった。

ブレーキは発電制動併用自動空気制動を採用。ブレーキハンドルを「全弛め」位置に回すと空気制動も発電制動も動かず、「弛め」位置で発電制動の作動準備が行われ、「制動」位置に回すと発電制動が作動し、「重なり」に戻すと発電制動力が保たれる。その際、自動的に不足分のブレーキ力だけブレーキシリンダーに圧力が込められる、現在でいうところの「遅れ込め制御」機能が働く。発電制動が失効すると自動で空気制動が作動する。ブレーキシリンダーに込められる圧力は発電制動のノッチによって決まる。発電制動は時速5km/hぐらいまで作動する[5]

台車はTS-301型で、インダイレクト式の揺れ枕にボルスタアンカーを併用する当時としては先進的な設計だった。先述の通り直角カルダン方式であるため軸距は2,400mmと新型台車の中では長めであるが、重量は1基4,500kgと非常に軽い[6]

集電装置は東芝製PG16菱形パンタグラフを搭載する。

空気圧縮機(CP)は、従来のギヤ式に変わってベルト駆動式となり、独立した電動機と圧縮機がベルトで結合した3‐Y‐S型(DC1500V/容量1000l/min)を採用した。
形式

下記の4形式が製造された。
デハ5000形(5001 - 5055)
制御電動車。5001 - 5050はデハ5100形、サハ5350形と3・4連の基本編成を組んだ。
1959年に製造された5051 - 5055は新製当初クハ5150形と編成を組んで増結用の2連で使用されたが、クハが長野電鉄へ譲渡されてからは5001 - 5050と同様に使用された。
デハ5100形(5101 - 5120) デハ5101
1957年から東横線急行の4両編成での運転開始に伴い、4連化用に製造された中間電動車
クハ5150形(5151 - 5155)


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