東山貝塚遺跡
[Wikipedia|▼Menu]

東山貝塚遺跡(ひがしやまかいづかいせき)は、東京都目黒区東山の目黒台北側斜面一帯(目黒区東山二丁目から三丁目にかけての一帯)に存在する旧石器時代縄文時代早期、縄文時代中期から後期、晩期および弥生時代後期、古墳時代遺跡である。東山貝塚ないしは東山遺跡として言及されることが多い。目黒区遺跡番号は8。貝塚竪穴式住居跡などがあり、東山貝塚は北区の西ヶ原貝塚、港区の丸山貝塚と並び東京三大貝塚のひとつとして知られている。また、地域には駒沢練兵場跡等の近現代の遺構も存在する。

座標: 北緯35度38分57.8秒 東経139度41分07.6秒 / 北緯35.649389度 東経139.685444度 / 35.649389; 139.685444東山貝塚

明治期から該当地域で縄文期の埋蔵遺物が出土することは知られていたが、大正期の宅地造成中における竪穴式住居跡の検出により、広く知られるようになる。昭和50年代末から昭和60年代初めにかけての調査により、失われていたと思われていた遺跡がまだ残っていたことがわかり、その後周辺地域の開発に伴って断続的に発掘調査が行われ遺跡の全貌が明らかになりつつある。目次

1 概要

2 出土品から推定される暮らし

3 東山貝塚公園

4 参考資料

5 関連項目

概要

現在東山貝塚公園がある一帯では、明治期から貝殻土器片などが出土することが知られていた。貝殻の種類は海のものが多く淡水産は少ない。目黒川沿いの低地一帯がかつてであったことを示しているといえる。

東山遺跡の竪穴式住居跡が検出されたのは1926年のことである。当時一帯は駒沢練兵場の北辺にあたり、人口増加に対応すべく宅地造成のための区画整理を行っているところであった。『史学雑誌』第7巻第1号に下村作次郎が報告しているところによれば、測定できたものだけでも6地点約13箇所、それ以外にも工事の進捗に伴い多数の竪穴式住居跡が検出されたという。あわせて、土器や石器なども出土した。

このことは新聞紙上などでも大きく取り上げられ、東山遺跡の名は広く知れ渡ることとなった。

駒沢練兵場の造成や大規模な土地区画整理事業等により東山地区の遺跡は完全に破壊されたと考えられてきた。しかし、1983年郵便局の新設工事にあたって縄文中期の土器片などが出土したことから調査が行われ、住居跡などが検出され、台地縁辺に沿って集落の一部が残されていることが明らかになった。また、昭和60年の調査によって弥生時代後期の住居跡が検出され、東山遺跡の年代がそれまで考えられてきた縄文中期から晩期という年代よりも広い年代に渡る遺跡であることが明らかとなった。

以降現在まで、地域で開発が行われるたびに断続的に発掘調査が行われている。
出土品から推定される暮らし

貝塚の貝層から出土した主な貝類は、ハマグリシオフキアサリ、イソシジミ、ヤマトシジミなどである。海水産の貝とともに海水と淡水が交じり合うような水域で生息する貝が多く出土している。現在の目黒川周辺の低地は、縄文時代には海であり、東山近辺は、その深い入り江の奥に位置していたと考えられる。遺跡からは、クロダイ、アジなどの骨や鱗、いのしし、シカ、アナグマ、イヌ、クジラなどの骨も出土しており、狩猟のほかに漁労も行われていたと考えられる。目黒区内のほかの遺跡では、漁労の跡はあまり検出されておらず、東山遺跡の特色のひとつとなっている。
東山貝塚公園

東山遺跡にちなみ東山貝塚公園が設置されている。公園内には復元された竪穴式住居模型があり、区内の小学生が郷土史教育の一環として訪れるなど、地域住民に親しまれている。公園裏の崖からは湧水が出ており、公園内に池を形成している。この池の水は目黒川に注ぎ込んでいる。
参考資料

中学校社会科副読本 『目黒 明るい豊かな人間の町』目黒区教育委員会

『ガイドブック目黒の遺跡』 目黒区守屋教育会館郷土資料室

『郷土目黒』 22集 東山遺跡関連資料紹介 (「史前学雑誌 第7巻 第1号 東京市上目黒東山石器時代竪穴調査報告概要 下村作次郎」の転載)

『郷土目黒』 28集 東山遺跡(東山まちかど広場予定地)の発掘調査概要 目黒区教育委員会社会教育部社会教育課

『郷土目黒』 33集 東山遺跡発掘調査と立源寺の仏像調査 目黒区教育委員会社会教育部社会教育課

企画展パンフレット『大昔の目黒 ―遺跡が語る原始人の暮らし―』 目黒区守屋教育会館郷土資料室

関連項目

貝塚

日本の貝塚一覧

縄文時代の遺跡一覧










考古学
諸分野

歴史考古学

先史考古学

原史考古学

古典考古学

近世考古学

第四紀学

プロセス考古学(英語版)

主題考古学

民族考古学

宗教考古学

産業考古学

海洋考古学

地震考古学

天文考古学

動物考古学

実験考古学

環境考古学

考古遺伝学

関連分野

人類学

化石人類

民俗学

民俗誌

採集狩猟民

歴史民俗学

地質学

地層累重の法則

古生物学

金石学

歴史学

歴史資料

研究方法

発掘調査

時代区分

三時代区分法

層位学的研究法

切り合い関係

型式学的研究法

型式

遺物組成

編年

年代論的研究

交差年代決定法

年代測定法

相対年代

絶対年代

暦年代

年輪年代測定

理化学的年代

放射性炭素年代測定

広域火山灰

産地同定

蛍光X線分析法 (考古学)

使用痕研究

考古資料

考古資料

遺跡

遺構

遺物

石器

土器

金属器

青銅器

鉄器

骨角器

木器

木簡

竹簡

遺存体

遺跡の保護と活用

遺跡保存

文化財保護法

埋蔵文化財

遺跡調査会

緊急調査 (考古学)

学術調査 (考古学)

文化 (考古学)




更新日時:2018年3月3日(土)15:56
取得日時:2021/03/19 21:30


記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:12 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef