東京マグニチュード8.0
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テレビ映画の「東京大地震マグニチュード8.1」とは異なります。

東京マグニチュード8.0
ジャンルパニック
アニメ
監督橘正紀
シリーズ構成高橋ナツコ
キャラクターデザイン野崎あつこ
音楽大谷幸
アニメーション制作ボンズ × キネマシトラス
製作東京マグニチュード8.0製作委員会
放送局フジテレビ
放送期間2009年7月10日 - 9月18日
話数全11話
テンプレート - ノート
プロジェクトアニメ
ポータルアニメ
作中で倒壊した東京タワー

『東京マグニチュード8.0』(とうきょうマグニチュードハチテンゼロ)は、2009年7月10日から9月18日までフジテレビノイタミナ枠で放送された日本のテレビアニメである。キャッチコピーは、「家族に会いたい、と初めて思った。」。
概要

ノイタミナ枠では前作『東のエデン』に次いで2作目となるオリジナルストーリーアニメであり、共同制作の1社であるキネマシトラスにとって初の30分枠かつ民放で放送された作品でもある。

防災、危機管理の視点も持ち合わせている内容で、巨大地震が発生し大きな被害を受けた東京を舞台に、一人の少女を中心とした被災者の目線で物語が進んでいく。第1話では、ノイタミナ作品の初回平均視聴率としては最高の5.8%を記録した[1]

その後は防災イベントやBSフジなどの一部放送局で総集編が断続的に公開され、CS放送ではシリーズ全話が再放送されている。2010年5月にはTV版を元に脚色を加えた小説が発売された。

平成21年度(第13回)文化庁メディア芸術祭アニメーション部門において優秀賞を受賞[2]

なお、マグニチュード8.0の本来の読みは「はちてんれい」である。
あらすじ

2012年7月21日、土曜日。中学1年生の小野沢未来は周囲への不満を募らせる鬱屈した日々を送っていた。そんな中で迎えた夏休み初日、未来は弟の悠貴のお守りを頼まれ、しぶしぶ一緒にお台場のロボット展へと向かう。悠貴がロボット展を満喫する一方で、特に興味の無い未来は一人暇を持て余しており、最近何かとイライラしていた事もあって何の気無しに「こんな世界、こわれちゃえばいいのに」とインターネットに書き込む。

その途端、東京湾北部を震源とする最大震度7(マグニチュード8.0)の直下型大地震が発生し、誰もが経験した事のない激しい揺れが東京を襲った。お台場は無残に崩壊し、周囲の街もその姿を瓦礫の山へと変えていく。書き込みが本当になってしまったと戦慄する未来は、はぐれた悠貴を探して火事と倒壊の進む施設内へと咄嗟に飛び込んでいく。途中、出会ったバイク便ライダー日下部真理の協力もあり、無事に悠貴と再会するも周囲は自分と同じ帰宅困難者で溢れていた。真理に励まされ、未来と悠貴は自宅のある世田谷へと向かって崩壊した街を歩み始める。

ライフラインの断絶、連絡橋の崩壊など、容赦の無い現実に押し潰されそうになる未来だったが、頼りになる真理と気丈に振る舞う悠貴の支えによって何とか歩みを進めていく。しかし東京タワー付近に来た際、未来は溜まりに溜まった不満を悠貴にぶつけてしまう。それは必死に耐えていた悠貴の感情を爆発させ、二人は泣き合った。その時、東京タワーが倒壊し、悠貴は未来を庇って瓦礫で頭を打ってしまう。幸い、こぶができた程度で済んだが未来は自分を省み、悠貴への態度も改めるようになる。夜、未来の通っている六華女学院へと辿り着く。そこは避難所となっており、未来らはある老夫婦と出会う。老夫婦は夏休みでたまたま遊びに来ていた孫を地震で亡くしてしまい、妻は心を病んで未来と悠貴を孫を思い込む。夫はその妻を気遣いつつ、気丈にボランティア活動を行っていた。二人の姿に未来は涙を流し、両親へ不満を抱いてばかりだった事を反省する。

翌日、靴も履き替えて心機一転した未来は、再び真理、悠貴と共に歩き出す。しかしその途中、真理の家のある三軒茶屋で大規模な火災が発生している事を知り、未来は真理を気遣って家に向かうように促す。しかし真理は迷った末に家族の無事を信じる事にし、未来と悠貴との同行を続ける。ロボット好きの少年・野々宮健斗との出会いなども経て未来は成長していくが、突如として悠貴が倒れてしまい、病院へと向かう。未来は悠貴が死ぬ不吉な夢に目を覚ますが、悠貴は何事も無かったように元気になっていた。一方、真理は未来を妙に気遣うなど、どこか違和感のある態度になっていた。

未来達は三軒茶屋に辿り着くも、遺体安置所には真理の娘と義母と思しき遺体があった。憶測や風評に晒されてナーバスになっていた真理は娘と義母が死んだと絶望し、遺体の確認もせず蹲ってしまうが、悠貴の言葉を受けた未来は二人の生存を信じて探し回り、その甲斐あって真理の娘と義母が無事だったことを突き止める。家族との再会を喜ぶ真理を気遣い、未来と悠貴は彼女に黙って二人だけで出発した。

もうすぐ家に着くという頃、悠貴の通っている小学校で彼の親友である樹と再会する。樹は悠貴の無事を喜ぶも、しかし悠貴は忽然と姿を消していた。未来と樹は悠貴を探すが、やがて未来は昨夜の出来事を思い出す。病院に担ぎ込まれた悠貴は助からなかったのだ。東京タワーで未来を庇った際に脳挫傷を起こしており、それが致命傷となって息を引き取っていた。未来はそのショックのあまり無意識のうちに記憶を書き換え、自分だけに見える幻の悠貴を認識していたのだった。幻の悠貴は、自分が既に死んでいるという真実を告げて消える。未来は虚ろな足取りで一人自宅を目指すも、悠貴の死を両親に告げる決心がつかず帰れずにいたが、再び現れた幻の悠貴に導かれてようやく自宅に辿り着き、母と再会する。それを見届けると悠貴は今度こそ消えてしまった。両親は既に真理に悠貴の死を知らされていたが、未来は改めて悠貴の最期を伝える。

震災から1ヶ月後。各地で復旧工事が進んでいたが、未来の心は深く傷ついたままで悠貴の死から未だ立ち直れずにいた。そんな中、真理が未来の家を訪ね、悠貴の形見のリュックを返す。その中には未来が避難中に苛立って捨てた携帯電話があり、1ヶ月分の溜まったメールの中に真理からの覚えのないメールがあった。それは避難所で過ごした夜、悠貴が真理の携帯から送ったものであり、未来への素直な想いが綴られていた。悠貴からのメッセージを受け取った未来は再び立ち上がり、天国で見ている悠貴に恥じないよう歩き続ける事を決意するのだった。
登場人物
主要人物
小野沢 未来(おのざわ みらい)
- 花村怜美[3]本作の主人公。名門私立女子校である六華女学院に通っている、13歳の中学1年生。反抗期の真っ只中で、共働きの両親への不満から何に対しても斜に構えた見方をする傾向があるが、身の危険も顧みず悠貴を探したり、家族を亡くした人の為に涙を流せたりと根は優しい性格である。バースデーケーキは丸でなければならない、というポリシーを持つ。見かけによらず腕力はある方。悠貴と共に訪れたお台場で震災に巻き込まれ、日常の崩壊に愕然としながらも被災地の中を自宅に向けて歩み始める。震災の中、様々な経験を経て人間的に大きく成長していき、両親への不満も解消させた様子を見せ、悠貴にも良き姉として接するようになる。しかし小学校を訪れた頃から悠貴の存在に曖昧さを感じるようになっていく。小学5年生と小学6年生のころは中学受験勉強のため、夏休みも遊びに連れて行ってもらえず、受験する予定のない弟、悠貴を密かに羨ましがっていた[4]。人見知りが激しく、携帯電話を片時も放さないことから、悠貴に「ケータイ星人」とからかわれている(からかいの呼び名は他にも多数ある)。携帯電話は被災中に苛立ちから捨ててしまったが、悠貴が拾っている。自宅は世田谷区成城学園前駅近辺にある。震災当初はサンダルを履いていた所為で避難中に酷い靴擦れを起こしたり足を踏まれて痛い思いをしていたが、避難所になっていた六華女学園を訪れた際に下駄箱にあった自分の運動靴に履き替えている。
小野沢 悠貴(おのざわ ゆうき)
声 - 小林由美子[3]未来の弟。8歳の小学3年生。明るく思いやりがあり、聡明。一方、子供ながらに他人を気遣って自身の感情を押し殺す一面も。カエルが好きな他、ロボットに興味を持つ。普段から姉の未来をよくからかっているが、実際は深く慕っている。お台場のショッピングモールにて、未来と別行動中に地震に巻き込まれるも未来と真理に助け出され、共に帰宅を目指す。しかし震災2日目に未来に怒鳴りつけられた事で溜め込んでいた感情を爆発させ、東京タワーの方へ走っていった事でタワーの倒壊に巻き込まれた。そこで未来を庇って小さな瓦礫で後頭部を打ち、当初はこぶが出来た程度だったが実は外傷性の脳出血による脳挫傷を起こしており、3日目に体調を崩して一時は回復するも呼吸不全で路上にて再び倒れてしまう。真理によって病院に担ぎ込まれ、緊急の手術を受けるが翌日には何事も無かったかのように回復していた。実はこの時点で既に死亡しており[注 1]、以降の悠貴は、その死を受け入れられない未来が見る幻であった。しかし真理の家族を諦めず探すように未来を諭したり最後は自ら真実を明かすなど、ただの幻覚では有り得ない行動を取っており、寧ろ未来だけが認知できる幽霊のような存在と言える。最後は彼女を家まで送り届け、母と再会させた後に完全に消えて行った(未来曰く「私が無事に帰れるようにそばにいてくれた」)。
日下部 真理(くさかべ まり)
声 - 甲斐田裕子[3]32歳のバイク便ライダー。困っている人を見ると放っておけない性格。5歳(作中では4歳)の子供を持つシングルマザー。夫とは死別。自宅は世田谷区三軒茶屋にある。未来たちとは地震直前にお台場で出会い、地震後は未来が悠貴を探し回っていた際に再会。帰る方向が同じということで彼女たちと行動を共にする。当初は何かと斜に構えていた未来に対しても大らかに接し、災害時の対応にも詳しく頼りになる人物であり、過酷な被災地において小野沢姉弟の大きな支えとなる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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