東京のプリンスたち
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東京のプリンスたち
作者
深沢七郎
日本
言語日本語
ジャンル中編小説
発表形態雑誌掲載
初出『中央公論1959年10月号
刊行中央公論社 1959年11月30日
装幀:九里洋二
ウィキポータル 文学
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『東京のプリンスたち』(とうきょうのプリンスたち)は、深沢七郎作の中編小説ロカビリーに熱狂する青年たちを主人公にした作品で[1]エルヴィス・プレスリー好きの高校生たちの自由な姿を、交互に平行して描く構成となっている[1][2][注釈 1]1959年(昭和34年)、雑誌『中央公論』10月号に掲載され、同年11月30日に中央公論社より単行本刊行された。
目次

1 作品背景

2 あらすじ

3 登場人物

4 作品評価・解釈

5 テレビドラマ化

6 おもな刊行本

7 脚注

7.1 注釈

7.2 出典


8 参考文献

作品背景

深沢七郎自身もエルヴィス・プレスリーの大ファンで、プレスリーのことを「キリストの再来」と言っていたほど褒めており[3]、自身の農場「ラブミー農場」も、プレスリーの「ラヴ・ミー・テンダー」にちなんで名付けている。また、深沢は自由や旅を好み、人や物から束縛されることが嫌いで、人から貰った高価な花瓶が床に落ち、破損してしまった時に、「ああ、よかった」と手を打って喜んだというエピソードもある[1]
あらすじ

高校生の秋山洋介、田中正夫、伊藤常雄、山崎登、渡辺公次、工員の佐藤は、エルヴィス・プレスリーが大好きで音楽喫茶に出入りする十代の若者である。秋山洋介は授業中、居眠りをし元帥(数学教師)に職員室に呼ばれた。前の授業をさぼったことも居眠りも自分が悪かったので、洋介は黙って時間を過ぎるのを待っていたが、元帥は以前洋介が愚連隊にからまれ喧嘩したことをねちっこく蒸し返すので、洋介は腹が立ってきた。それは警察も親も、洋介が悪くなかったと判ってくれて済んだことだった。洋介は怒りで膝がふるえ、どうせ足をゆすっていると思われるのなら、思いっきりゆすってやれと洋介は足を激しくゆすった。すると頭の中にエルヴィスの「ベビー・アイ・ドント・ケア」が流れてきて、さらに教師を睨みながらリズムを刻んだ。頭を殴られた洋介は、拳で元帥を殴り返しながら、学校を止めようと覚悟した。洋介はその後、運送屋で働く。

伊藤常雄は学校へいくのは嫌いだったが、行けば母親の機嫌がいいし、門をくぐれば鎖につながれた犬になったつもりでやりすごしていた。クラブの会費だと嘘をつき、母親から小遣いをくすねることも、内心すまないと常雄は思うが、母親に説明してもわかってもらえないし、喧嘩になるのも嫌だから仕方ないと考えている。山崎登は、工員の佐藤が或る未亡人に買われて小遣い稼ぎをしているのを聞いて自分もやることにし、その金を見越して欲しかった靴を先に買った。渡辺公次は、自営業の父親が、金が入って機嫌がいいタイミングに小遣いがもらえた。「少しは勉強しろよ」と言う父の言葉に、心の中で、「わかってるわかってる、心配などいらねえよ」と思ったが黙ったまま遊びに行く。

田中正夫は渡辺の二階の部屋でエルヴィスを聞きながら、「原子爆弾ノ実験ト実在」という天文学の本を読み、エルヴィスの噂話をしているうちに時間が過ぎ、母親から頼まれていた用事をすっぽかす。次の日の朝、正夫はテンコとのデート代を母親から貰い、映画を見るがぐずぐずした恋愛映画に退屈し途中で出た。正夫は女なら誰でもいい下半身の重苦しさからテンコを休憩旅館に連れていくが、テンコは抵抗をみせた。そのとき階下のラジオからエルヴィスの「マネー・ハネー」が流れてきた。正夫はリズムに乗って踊るうちに気分が爽快になり、重苦しさから解放され、すぐにテンコとそこを出て音楽喫茶へ行った。店には他の連中もいた。渡辺がエルヴィスの新譜ドーナツ盤「アイ・ニード・ユア・ラブ・トゥナイト」を買って来た。今夜はこの新曲を思う存分聴こうと、秋山洋介は思ったが、配達の仕事で疲れ、壁に寄りかかり倒れそうになり、眠ってしまってはダメだと肱で壁を突いた。
登場人物
秋山洋介
マンボエルヴィス・プレスリーが好き。駅の裏通りで愚連隊に言いがかりをつけられて喧嘩したことがある。数学教師・元帥を殴り、高校を退学後は運送屋で働く。
田中正夫
秋山洋介のクラスメート。C高の高校生。多くの女友達がいるが、誰が誰か適当にしか覚えていないので、ごっちゃになっている。
B大の学生
ドヴォルザークの「新世界」、チャイコフスキーの「悲愴」、ブラームスピアノソナタなど、シンフォニー歌劇などのクラシック音楽ばかりかけたがる。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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