条約
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条約(じょうやく、: Treaty)は、文書による国家間の合意[1]である。国際法に基づいて成立する合意であり、国家および国際機構を拘束する国際的文書が条約であると狭く解す場合もある[2]

現代では当事者能力を持つのは独立国家に加えて公的な国際機構があり、国際連盟(1920年-1946年)および国際連合(1945年-現在)などの国際機関締結の主体となり得る[2]。当事国は原則として、当事国の憲法ないし基本法における手続・制約に基づいて、国際法が禁止しない一切の内容を、交渉によって自由に作成することができる[2]

合意した文書には、「条約」という名称以外に「協約」「協定」「規約」「憲章」「宣言」「交換公文」「議事録」「議定書」などの名称も使用されるが、名称が異なる事によって効力の優劣があるわけではない(詳細後述)[2]
概説

歴史上確認されている最も古い条約は、国家間での交渉が始まった紀元前2400年ごろ、古代メソポタミアにおけるラガシュ・ウンマ戦争において都市国家ラガシュウンマの間で締結された国境画定のための条約であるといわれ、国境には両者の取り決めにもとづいて石碑が建てられたとされている[2]

条約法に関する一般条約である条約法に関するウィーン条約(条約法条約[注 1])では、条約を以下のように定義している。第二条1(a)「条約」とは、国の間において文書の形式により締結され、国際法によつて規律される国際的な合意(単一の文書によるものであるか関連する二以上の文書によるものであるかを問わず、また、名称のいかんを問わない。)をいう。

「名称のいかんを問わない」としているのは、国家間などで結ばれる個別の文書による合意(広義の「条約」)には、形式についての統一的な規則がなく、各種の名称が用いられているためである[3]。広義の条約には狭義の条約(treaty、convention、例:生物多様性条約)以外に、協定(convention,、agreement、accord、例:WTO設立協定)、議定書(protocol、例:京都議定書)、宣言(declaration)、憲章(charter、constitution、例:国際連合憲章)、規約(covenant)、盟約(pact)、決定書(act)、規程(statute)、取極(arrangement)、暫定協定(modus vivendi)、交換公文(exchange of notes)、交換書簡(exchange of letters)、合意覚書(memorandum of agreement)、合意議事録(agreed minutes)等の様々な名称を持つものがある[3]。これらは法的拘束力において相違はないが、主に慣習によって使い分けられているもので、例えば、議定書は一般に既存の条約を補完する条約の名称として用いられる(例:京都議定書気候変動枠組条約を補完する内容を持つ)。

なお、条約法条約は「国際法によって規律される(第2条)」という要件を規定している。従って国家間の合意であっても、国際法ではなくその国家の国内法によって規律される私法上の契約と同様の合意が起こり得るが、このような合意は条約法条約の適用範囲外である[4]
二国間条約と多国間条約
二国間条約

二国間条約の場合、政府代表が署名を行った時点で効力を発する行政協定(英語版)(行政取極)[注 2]あるいは簡易協定と、議会による批准等の承認を受けて初めて発効の手順(批准書の寄託等)を踏むことのできる通常協定[注 3]がある。いずれの場合においても、二国間の協定において「加入」するという手続を踏むことはない。すなわち、行政協定(行政取極)の場合は政府代表間で相互に署名を行うことで当該協定を締結したことになるが、通常協定の場合は相互の政府代表者による署名後に、議会による批准等の承認を得るまで当該協定は発効しないことになる。

例えば日本の場合、日米安全保障条約(安保条約)は議会の承認が必要な「通常協定」に当たり、2007年8月に閣議決定を経て署名・締結された「秘密軍事情報の保護のための秘密保持の措置に関する日本国政府とアメリカ合衆国との間の協定」(GSOMIA)は「行政協定(行政取極)」に当たる。これらの二国間条約は、いずれも加入の対象とならない。
多国間条約

多国間条約の場合、政府代表間での批准書の交換という手続は採らず、代わりに国連の条約局、専門機関、地域間条約などを管理・運営する事務局、条約作成地の政府などが、批准書、受諾書、加入書等の寄託を受ける仲介機関(寄託者)の役割を担う。
条約の締結
締結の方法

国家が条約に拘束されることへの同意を表明する方法としては、署名批准加入受諾承認等があり、これらは締結と総称される。締結の具体的方法は各条約に規定されており、複数の方法が認められる場合もあれば、特定の方法が指定されていることもある。表明が代表者個人に対する脅迫、その他の行為による場合、その条約は絶対的に無効となる。国家そのものに対する強制によるときは、かつて一般に有効と解されてきた。しかし、武力禁止を謳う国連憲章2条2が条約法条約52条で準用されることになった。条約法条約は4条で原則遡及しないが、通説として憲章成立後の条約に遡及適用されると解されており、このことは草案における国際法委員会の注釈に明記されてもいる。もちろん、侵略国に対する強制はこの限りでない。武力ではない強制については、「条約締結時における軍事的、政治的または経済的強制の禁止に関する宣言」が条約本文と別に、最終議定書の一部として採択された[5]
署名(しょめい)/: signature条約における署名には、次の2種類の意味がある。
条約の内容が確定したときに、全権を委任された国家の代表者(通常は代表団の首席代表)が条約の内容を公式に確認した証拠として記名することを指す。条約の内容は署名によって確定し、以後、正式な手続による場合以外は内容を修正することはできない。

国家が条約を締結する際の手続の一環として行われ、国家が条約に拘束される意思を表明するものである。多数国間条約は、通常、作成された後の一定期間、作成された地、または、関連国際機関等において署名のために開放される。条約を締結するための手続としては、署名、批准、加入、受諾、承認等がある。このうち、署名は文字通り署名のみによって条約を締結するものであるが、現在、主要な条約においてこの方法が取られることはほとんどない。また、批准及び受諾は、署名を行うことにより国家が将来的に条約に拘束される意思(条約の内容に対する基本的な賛意)を表明した後に、国会による承認などの所要の国内手続等を経て条約を締結する手続である。
1998年に国連の外交会議で採択された国際刑事裁判所ローマ規程の場合、2000年12月31日が後者の意味での署名の期限であった。この条約の場合は、アメリカが滑り込みで期限当日に署名を行い、署名国の仲間入りを果たしたが、2002年の5月にはこれを撤回した。署名の撤回は国際法上は問題のない行為ではあるものの、慣習上はほとんど例のない行為である。日本の場合、後者の意味での署名を行う際には、事前に閣議決定が必要なため、署名を行うのは重要な条約に限られる傾向がある。
批准(ひじゅん)/: ratification一般に、「批准」は、署名をした条約の内容について国家が最終確認を行い、条約に拘束されることについて同意を与えることを指す。署名の後に、国会あるいは議会の承認を得る等の所定の国内手続により条約に同意することの確認を行い、批准書を作成する。二国間の条約の場合は、相手国と批准書を交換して条約が発効する。また、多数国間条約の場合は会議開催地国の政府あるいは国際機関(寄託者)に批准書を寄託することで効力が発生する。署名した条約を国家が批准するかどうかは、信義上の問題はあるものの、法的には自由である。署名した条約であっても、当事国の議会が否決することもある。条約を締結する手続としては、批准のほかに、受諾、承認、加入等があり、どのような手続により締結することができるかは条約文書中に規定されているが、政治的に重要な条約では、批准によらなければならないとしているものが多い(例:包括的核実験禁止条約)。このような条約を批准条約という。また、複数の締結手続が定められている場合であっても、政治的に重要な条約については、締結の手続として批准を選択することが多い。条約法条約にいう「批准」は国際法上の批准である、条約に拘束されることについての国の同意を国際的に表明する国際的な行為であって、その同意は、批准書の交換または寄託によって確定的なものになる[6]


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