この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
条例(じょうれい)は、
日本の現行法制において地方公共団体が国の法律とは別に定める自主法。本記事において解説する。
日本の旧法制において地方公共団体の議会が国の法律とは別に定める自主法。現行に比べて限定的であり、府県会においてはその権限がなかった。市制(明治21年4月25日法律第1号)第31条、町村制(明治21年4月25日法律第1号)第33条により市町村レベルで制定が認められていた。実例として市吏員退隱料條例(明治28年8月9日東京市條例第2号)[1]がある。
本記事において解説する。 日本国憲法第94条《地方公共団体は、(中略)法律の範囲内で条例を制定することができる。》を根拠とし、地方自治法の規定に基づき制定される。 すなわち、条例は日本国憲法を頂点とする国内法体系の一部をなすものであり、かつ、法の形式的効力の意味において(単純な上下関係ではないが)、国法(法令)に違反できないものと位置付けられるものである。 条例を定める事については地方自治法第14条 条例の制定・改廃の議決は、議会の出席議員の過半数で決定される。ただし地方自治法で特別多数決を規定している場合は、これによる。例えば、庁舎位置条例は、出席議員の3分の2以上の者の同意が必要である(地方自治法4条第1項
箇条形式の法令のこと(本来の語義)
日本でも大正ごろまでは、国の法令に条例と名づけることがあった[注釈 1]。最後に国の法令に条例と名づけたものは、将校演習旅行条例(大正12年11月5日軍令陸第8号)である。
航海条例のように海外の歴史的過去における国家法をしばしば条例の名を冠して呼ぶことがある。
国内法体系上の位置付け
地方自治法の規定
制定
普通地方公共団体の議会の議長は、条例の制定又は改廃の議決があつたときは、その日から3日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない(16条第1項)。
普通地方公共団体の長は、議長より条例の送付を受けた場合において、再議その他の措置を講ずる必要がないと認めるときは、その日から20日以内にこれを公布しなければならない(16条第2項)。
条例は、条例に特別の定があるものを除く外、公布の日から起算して10日を経過した日から、これを施行する(16条第3項)。
直接請求
選挙権[注釈 2]を有する者は、政令の定めるところにより、その総数の50分の1以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く)の制定又は改廃の直接請求をすることができる(74条
)。請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、直ちに請求の要旨を公表しなければならない(74条2項)。
普通地方公共団体の長は、直接請求を受理した日から20日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない(74条3項)。
条例の制定又は改廃の請求者の代表者は、条例の制定又は改廃の請求者の署名簿を市町村の選挙管理委員会に提出してこれに署名し印をおした者が選挙人名簿に登録された者であることの証明を求めなければならない(74条の2)。
長の拒否権
制定又は改廃の議決があつたときでも、長が公布せず10日以内に理由を示してこれを再議に付す場合は、議会で改めて2/3以上の賛成を以って再可決しなければ廃案になる(176条第1項)。