本番行為
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出典検索?: "本番行為" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2016年7月)

本番行為(ほんばんこうい)または非擬似セックス(ひぎじせっくす)は性行為挿入を意味する性風俗用語。俗に「本番」と呼ばれる。通常は性交のみを指す。本番行為を含む映画は、英語圏では Unsimulated sex film (movie) と呼ばれる。
風俗店

日本には売春防止法が存在するため、箱ヘルデリヘルホテヘルイメクラ、また性感エステなどでの本番行為は厳禁となる。そのため、女性従業員と男性客が秘密裏に金銭の授受を行い、本番をしてしまった場合は売春防止法違反となり、店舗は営業停止せざるを得なくなる。

ソープランドにおいては本番行為を黙認されているが、特殊浴場に通う男性と女性従業員が、両者の同意(個人の自由意思)による「営業外行為」での自由恋愛という体裁を取っている。
本番強要

本番行為を禁止している風俗店で、風俗に通う客が風俗嬢に本番行為を要求すること。俗に「本強」(ほんきょう)とも言う。そのようなことを行なった場合は通常であれば、強姦の容疑者として警察に引き渡すものだが、店が被害者である女性の身を案じて、また容疑者が仕事上の立場や家庭環境など今後の人生を懸念して、高額の慰謝料を支払うことで示談にする場合もある。その後は出禁とされるのが通例である。
映像作品
映画

映画業界では本番行為とは、俳優が性行為を模倣やフリするのではなく、実際に性行為に従事すること(非擬似セックスシーン)をいう。洋画、邦画を問わず、映画では性を描写するシーンでも、実際の性交を行わず演技により表現するのが通常である(擬似セックス)。しかし、演出ほか何らかの目的がある場合などは、ごくまれにこの原則から外れた作品が制作される。

男優、女優が、相手の性器を唇で直接愛撫するフェラチオクンニリングスといったオーラルセックスに始まり、女性器内に勃起状態の陰茎を挿入する性交まで、本番の定義は多様である。女優側の性的な補助動作を受けたり、膣内で抽挿を行なうなど、陰茎あるいは亀頭への刺激を受け続けた男優が、カメラの前で実際に精液を放出している映画作品もある。

かつては、そのようなシーンは法律や映画制作コードなどの自主的な業界標準によって制限されていた[1]。そのため、露骨な性的表現を示す映画は戦前の「男性向け映画」や60年代の「ポルノループ」などの私的に流通していた地下ポルノ映画に限定されていた。1969年には世界で初めてデンマークでセックスをあからさまに見せるポルノ映画が合法化され、70年代から他の国でも規制緩和が広がった。1960年代後半、特にアンディ・ウォーホルによる『Blue Movie』の公開あたりから、映画における性描写の境界が押し広げられ始めた[2]。一般映画に描写されている性行為の大部分は擬似本番である(初期のポルノでも、カメラのアングルを変えて、性器の挿入を行なわない擬似セックスに切り替えていたこともある)[3]。これらのセックスシーンを含む映画とポルノ映画の違いは、そのようなシーンがエロティックと見なされるかもしれないが、映画制作側の意図はポルノ表現(要は性的興奮のための表現)だけではないということある[4]

1970年頃まで非合法だったため地下で流通していたポルノ映画以外で、実際に性交を行った本番映画作品は、1966年のデンマーク映画『Gift』を初め、マイケル・ウィンターボトムの『9 Songs ナイン・ソングス』など[5]、現在に至るまでには多数ある。一覧は「#一般映画における一覧」を参照のこと。

日本で実際に性交を行った映画として初めて話題になったのが、1976年の大島渚監督作品『愛のコリーダ』である[5]。劇中で松田英子藤竜也と性交を行っており、当時大きな話題となった。松田英子はこの映画がデビュー作で、女優として一躍有名になった。その後、若松孝二作品『聖母観音大菩薩』(1977)などにも出演した。なお、もう一人性交シーンを女優中島葵が藤と演じているが、彼女は当時既に日活ロマンポルノ成人映画への出演歴があった。

また、1981年には武智鉄二作品『白日夢』で愛染恭子[6]佐藤慶が、寺山修司作品『上海異人娼館 チャイナ・ドール[7]で大野美雪とクラウス・キンスキーが、1983年には『華魁』で親王塚貴子らがそれぞれ本番を行うなど、この時期には芸術作品を指向した一般映画が制作された。なお、『愛のコリーダ』はフランス資本の映画であったため、正真正銘の日本映画としては『白日夢』が初となる。

本番行為で注目すべき例としては、1970年代のベッドサイド映画 8作とゾディアック映画 6作のうち2作が挙げられる。これらはすべてデンマークで制作され、多くのポルノセックスシーンがあったが、それでも一般映画と見なされ、すべて一般映画でのキャストやクルーで、一般の映画館で上映された [8]。これらの映画で最後にあたる「Agent 69 Jensen i Skyttens tegn」は1978年に制作された。1970年代の終わりから1990年代後半まで、メインストリーム映画でハードコアシーンを見ることはまれであったが、ラース・フォン・トリアーの出現とその成功によって変化し、その後 『イディオット』(1998年)『ロマンスX』(1999年)『 ベイズモイ』(2000年)『インティマシー/親密』(2001年)といった露骨な内容のアートハウス映画の波を告げていき[9][10]、以降もヴィンセント・ギャロの『ブラウンバニー』 (2003)、『9 Songs ナイン・ソングス』 (2004)、『オール・アバウト・アンナ』(2005)が続いた。このため2006年の映画『Red Road』のクンニリングスシーンのように、一部のシミュレートされたセックスシーンも、批評家が本物の行為であると誤って信じるほど十分に現実的な行為にみえていった [11]

ギャスパー・ノエは映画「ラブ」(2015)のリリース後のインタビューで、観客がセックスのリアルな描写を見たい理由を尋ねられたとき、性的行動を制御したり、正確なコンテキストで整理したりするセックスは本当は危険地帯のようなもので時には階級の壁が崩れ、多くの人々が恐怖するという権力構造からであることを示唆した[12]

ジェームズ・フランコは、 Interior. Leather Bar. (2013)に取り組んだ理由について、「美学と個人的な理由」を引用している: 「私はプロの一般映画に17年間携わっており、それに加えて、私は米国市民であり、ご存知のように クィア理論やクィア映画といった文化に携わっています。ですから、私の立場は、私の立場が許すことの1つ、これら2つの世界を結びつけ、主流の映画や主流文化のルールに疑問を投げかけ、物事がなぜそうなるのか、なぜ一部の主題は別の方法ではなく1つの方法で提示され、それらが人間として私たちを形作る方法、それが私たちの信念を形作る方法、それが私たちの生き方を形づける方法、それらに疑問を投げかけたり、ライフスタイルを見る別の方法を紹介したり、主流の映画館やインディーズ映画館アート・フィルム映画館で見られるようなものを紹介したりできるのなら、それは良いことだと思います。


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