未来派野郎
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『未来派野郎』
坂本龍一スタジオ・アルバム
リリース1986年4月21日
ジャンルシンセポップ
現代音楽
ロック
レーベルスクール/ミディ
プロデュース坂本龍一
専門評論家によるレビュー


Allmusic link

チャート最高順位

5位(オリコン、LPチャート)[1]

坂本龍一 アルバム 年表

エスペラント
1985年)未来派野郎
1986年ネオ・ジオ
1987年


『未来派野郎』収録のシングル

G.T.
リリース: 1986年3月21日

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『未来派野郎』(みらいはやろう)は、1986年4月21日に発表された坂本龍一6作目のスタジオ・アルバム
解説

タイトルの「
未来派」は20世紀初頭イタリアを中心に起こった芸術運動に由来。

サウンドは主にフェアライトCMIやEmulatorU(en:E-mu Emulator)による機械音・金属音のサンプリングとヤマハDX7が使われていて、プログラミングは、主に藤井丈司が担当。(DX7のROMカートリッジで、このアルバムをベースにした音源が発売された。)

音楽図鑑』よりトラック数が減っているものの、アルバム制作に7ヶ月を要しており、1トラックごとの密度は濃いと坂本はコメントしている[要出典]。

本作レコーディングに入る前、坂本はロックのドライブ感のリファレンスとして、レッド・ツェッペリンの全アルバムを聴き直している。直前に参加したパブリック・イメージ・リミテッドのアルバム『ALBUM』でのセッションにおいて、ビル・ラズウェルがレコーディングの合間にツェッペリンを流し参加メンバーの意識を方向付けていた事の流れを汲んだもので、結果としてそれまでの坂本の作品中最もロック色の濃い仕上がりとなった。

本作制作時に録音され未発表となった楽曲「Futurista」が2018年発売の『Year Book 1985-1989』Disc5に収録。本楽曲が本アルバムに収録されていればタイトル・トラックになった可能性もあった。「Futurista」と同時期に録音したイモ欽トリオハイスクールララバイ」(細野晴臣作曲)に影響を受け作曲した歌謡曲っぽい未発表曲も存在する[2]

収録曲

曲目はCD版を参照。
Broadway Boogie Woogie

作詞:
ピーター・バラカン / 作曲:坂本龍一
坂本にとっては初めての、ブルースコードを使用したロックンロール的ダンスナンバー。曲名は、ピート・モンドリアンマンハッタンを上から見下ろした様を描いた絵画の題名「ブロードウェイ・ブギウギ」からとられた。ヴォーカルはバーナード・ファウラーと吉田美奈子。曲中流れる男女の会話は、イメージはマリネッティの考案した自由詩のスタイルを用い、映画『ブレードランナー』からワンセンテンスずつ(監督には無許可で)サンプリングして、それぞれ別の場所にあったものを会話風にコラージュされた。このアルバムのリイシューがされないのは、このサンプリング問題が解決してないからだと見られる。間奏のギターソロは当時21歳だった鈴木賢司。最初鈴木は別のフレーズで演奏したが、坂本から「鈴木賢司らしい(ヘヴィーな)演奏を」と注文されて録音されたテイクが採用された。サックスはジェームス・ブラウンのバンド、J.B.'sにも在籍していたことで知られるメイシオ・パーカー

黄土高原

作曲:坂本龍一
坂本の作品では数少ない、オーソドックスなコード進行を持つ楽曲のひとつ。テクノの呪縛がとけて、いわゆるフュージョン的なテイストが全面に出ている。エレクトリックピアノの演奏は、手で演奏したものを一度NEC PC-9801対応のカモンミュージック社製音楽制作ソフト“レコンポーザ”に取り込んで細かくエディットされ、人間とコンピュータの中間の独特なノリを狙っている。16分音符と32分音符の組み合わせによる細かなシーケンスフレーズが曲を通して流れ続けているが、このシーケンスフレーズは、Roland社のMC-4とヤマハ DX7で作られている。なお、MC-4は4ヴォイスを全て使って打ち込みがされており、打ち込んだのは坂本本人である。加えて背景に流れているフィルターが変化するシンセのパッドはシーケンシャルサーキット社(現:SEQUENTIAL)のProphet-5で、Roland社のMC-4のCV-2にフィルターの変化情報を入力し、フィルター情報はProphet-5に直接繋いで鳴らしている。パッヘルベルのカノンをモチーフとしたコーラスは、吉田美奈子による多重録音による。レコーディング中にたまたま遊びに来た飯島真理が気に入り、歌詞をつけて12インチシングル「遥かな微笑み」としてカヴァーしている。なお、曲名の「黄土高原」は「こうどこうげん」とも「おうどこうげん」とも発音できるが坂本自身は前者を使用している。アルバム『メディア・バーン・ライヴ』にはライヴヴァージョンが収録されている。

Ballet Mecanique

作詞:矢野顕子 / 翻訳:ピーター・バラカン / 作曲:坂本龍一
元々、岡田有希子のアルバム『ヴィーナス誕生』のために提供した「WONDER TRIP LOVER」を、新たに歌詞を書き換えてセルフカヴァーした。曲名は、ジョージ・アンタイルの代表作からとられた。時計が時を刻む音や、カメラのフィルムを巻き取る音などをサンプリングしてリズムを組み立てている。ヴォーカルはバーナード・ファウラー、バッキングギターはパール兄弟窪田晴男ギターソロ・パートは鈴木賢司のプレイ数テイクをサンプリングし継ぎ接ぎしたもの。坂本からのギターの注文は「熱暴走を起こしてメーターが振り切ってる感じで、火がついたようにタガが外れた感じで弾きまくっちゃっていいから」だった。アルバム『メディア・バーン・ライヴ』にはライヴ・ヴァージョンが収録。1999年中谷美紀が「クロニック・ラヴ」のタイトルでカヴァー(作詞は中谷)。NHKの番組『未来派宣言』ではエンディングで使用。2018年、やくしまるえつこ砂原良徳の共作で映画『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』の挿入歌としてカヴァー。

G.T.IIo

作詞:ピーター・バラカン / 日本語原詞:矢野顕子 / 作曲:坂本龍一
シングルカットされた「G.T.」のミックス違い。曲名は「グランツーリスモ(大旅行)」の意。ヴォーカルはバーナード・ファウラー、ギターは窪田晴男。

Milan, 1909

作曲:坂本龍一
スペースコロニーの東洋人地区の端末で「未来派」を検索したときに流れるBGM”というイメージで作られた曲。1909年は詩人フィリッポ・トンマーゾ・マリネッティ未来派宣言を発表した年である。後半から現れる高次倍音を含んだ朗読はヴォコーダーではなく、Macintoshのソフトウェア「Smooth Talker」で作られた合成音。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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