未来少年コナン
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「インダストリア」はこの項目へ転送されています。競走馬については「インダストリア (競走馬)」をご覧ください。

未来少年コナン
ジャンルSFアクション、冒険活劇ファンタジー
アニメ
原作アレグザンダー・ケイ
残された人びと
監督宮崎駿(「演出」名義)
シリーズ構成宮崎駿
脚本中野顕彰吉川惣司、胡桃哲
キャラクターデザイン宮崎駿、大塚康生
メカニックデザイン宮崎駿、大塚康生
製作本橋浩一(日本アニメーション)
放送局日本放送協会(NHK)
NHK総合テレビジョン
放送期間1978年4月4日 - 10月31日
話数26話
テンプレート - ノート
プロジェクトアニメ
ポータルアニメ

『未来少年コナン』(みらいしょうねんコナン)は、日本アニメ作品。日本放送協会 (NHK) にて、毎週火曜日19時30分(日本時間)からの30分放送枠で、1978年昭和53年)4月4日から10月31日にかけて放送された。全26話。製作会社は日本アニメーション監督宮崎駿
作品概要

宮崎駿が全話の演出を担当した、実質的な監督デビュー作であり、またNHKが放映した最初の国産セルアニメーションシリーズでもある[注 1]。従来、『少年ドラマシリーズ』などの青少年向け番組は18時台に放送されていたが、ゴールデンタイムにおける視聴率の大半を児童および青少年が占める状況を鑑み、19時30分からを「ファミリーアワー」として、本作もこの時間枠に放送することとした[1]。火曜日19時30分からの30分間は、この作品以後しばらくの間アニメ番組枠となった。

本放送時の視聴率は、関東地区で平均8%と振るわず、最高視聴率も14%(第25話)に留まった[2]。NHKはPRのためNHK受信料徴収の際、同作品のシールを渡したこともある。後に再編集によって映画化されたが、その際には一部のテレビ版製作スタッフの意図に反して編集されたため問題になった。

制作が遅れ、26話作るために1年3ヶ月を要した。間に合わない際はNHKも特番を放送するなど制作サイドの都合に対応していたため、宮崎は「NHKだからできた」とも振り返っている[3]

第1話の作画は大塚康生が担当していたが、美少女であるはずのラナが、コナンと初対面した際、大塚テイストのギャグ漫画のようなリアクションで描かれたことに大変ショックを受けた宮崎は、以降、8話まですべて原画をチェックしている[4]
原作

アメリカ小説家アレグザンダー・ケイSF小説残された人びと(原題:The Incredible Tide)』を原作としているが、当アニメの「未来少年コナン」は、原作とは大幅に内容が異なっており、最終戦争後の世界という大まかな設定と一部の登場人物の名前以外、特に共通点はない。特に大きな違いとして、アニメではコナンは戦後の平穏な自然が復活した島で生まれ育ったのに対し、原作では戦争前の生まれで機械文明の恩恵を受けて育ち、ラナとも戦前から知り合いである[5]。また、インダストリアやハイハーバーは登場するが、のこされ島に当たる島はなく、コナンは何もない岩に一人で流れ着いて数年以上サバイバル生活をする[6]ところから始まり、そしてインダストリアは終盤地殻が壊れて崩壊し、事前にこれを危惧したロア(アニメ版のラオ)から教えられてこの津波からハイハーバーの人たちを助けるため[注 2]にたどり着いたコナンたちがオーロやダイスに妨害されるも強引に皆を高台に逃がし、逃げ遅れたオーロと共に間一髪で津波から助かる場面で終了している。

日本アニメーションがNHKにアニメ企画を提示した中の1本だったというが、本命企画ではなく、宮崎に日本アニメーションから監督依頼があったときもその本命の別作品の監督依頼だったという[7]

中島順三プロデューサーによれば、NHK初のテレビアニメシリーズということで企画に応募した当初、日本アニメーションが手がけてきた世界名作劇場同様「家族で見られるようなものを」と考え、フランシス・ホジソン・バーネットの『秘密の花園』をアニメ化しようと思っていた[注 3]。しかし、中島は折からのアニメブームを考慮して「小学校5、6年生に向けた冒険活劇にしよう」と考えを変更し、幾つか提示した作品の中からNHK側が『残された人々』を選んだ。中島が監督に抜擢した宮崎は最初こそ「こんなものアニメにならないよ」と難色を示したが、後述のように設定やストーリーを大きく変更すること、作画監督に大塚を起用することを条件に監督を引き受けた[8]

原作は冷戦中の東西対決を背景とした、イデオロギー色の強いペシミスティックな内容であり、宮崎はこれをそのまま子供たちに見せることを嫌がったため[9]、ストーリー及び登場人物については大幅に改変・脚色が加えられている。舞台は架空の最終戦争から20年経過した世界に変更されているほか、例えば、主人公のコナンはアメリカ的自由主義社会を背負ったハイティーンの少年から豊かな自然の中で育ったプレティーンの自然児に、敵役の登場人物はロシア人を思わせる人名で社会主義国の官僚的な人物像のマンスキーやレプコから戦災孤児という背景を背負って成長したモンスリーとレプカに、それぞれ変更されている。そのため宮崎は、ハイハーバーをアメリカ、インダストリアをソ連とする原作に立ち戻っての見方には不快感を表明している[2]
本作の影響

本作を見たことでアニメ業界を志したクリエイターも多い。本郷みつる[10]摩砂雪[11]井上俊之[12]田中達之[13]舘野仁美等。スタジオジブリ作品の常連となったアニメーターの高坂希太郎も高校時代に本作を見て、宮崎駿と仕事ができる可能性のあった作画スタジオのOH!プロダクションに入社したという[14]平松禎史にとっては、絵を動かすことの面白さを教えられた作品であり、パラパラマンガを描くようになったという、いわばアニメーターとしての原点となっている[15]

本作に絵コンテで参加した富野由悠季は、『戦闘メカ ザブングル』を監督するに当たって、本作を模倣する所から始めたと語っている[16]。また、当時新人だった押井守は、本作の絵コンテ集によってレイアウトを学び、高畑勲絵コンテでのラオ博士の扱いでキャラクターを立たせる「戦略的な演出」を理解したという[17]

初めてTVシリーズアニメの監督をした宮崎自身も本作を通じ、改めてアニメの良さを感じたという[18]

1995年に公開されたアメリカ映画ウォーターワールド』が本作の影響を受けているのではないかという指摘がある[19][20]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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