木綿
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「コットン」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「コットン (曖昧さ回避)」をご覧ください。

この項目では、ワタの種子から取れる繊維の木綿(もめん)について説明しています。

パンヤ科の落葉高木、およびその種子から取れる繊維の木綿(きわた)については「キワタ」をご覧ください。

コウゾから取った繊維を紡いだ糸の木綿(ゆう)については「木綿 (ゆう)」をご覧ください。

収穫期の綿走査型電子顕微鏡で見た木綿繊維

木綿・木棉(もめん)は、ワタ種子から取れる繊維。コットン(: cotton)とも。ワタ自体のことを木綿と呼ぶこともあるが、ここでは繊維としての木綿について述べる。

ワタとはアオイ科ワタ属多年草の総称で、木綿は種子の周りに付いている。繊維としては伸びにくく丈夫であり、吸湿性があって肌触りもよい。このため、現代では下着などによく使われるが、縮みやすいという欠点もある。主成分はセルロースである。

単に棉・綿(めん)とも言う。摘み取った状態までのものが棉、種子を取り除いた後の状態のものが綿だが、区別しないことも多い。

ただし、「綿」と書いて「わた」と読むのは、本来は塊状の繊維全般を指す語である。布団座布団の中身を繊維の種類を問わず「綿(わた)」と呼ぶが、これはその本来の用法である。古くは、中でも真綿の原料)を意味することが多かった。
性質

綿の種子は硬い刮ハの中にあり、成熟するにつれ、はじけて綿花が現れる。刮ハの内部は隔壁によって数室に分かれ、各室に数個の種子があり、それに綿毛が密生している。この綿毛は外皮細胞が変形したもので、綿の種類によって長短に分かれる。

生の綿毛、つまり生きた表皮細胞性の単細胞突起の時期においては、細胞壁でできた長い管の中に水(実際には細胞原形質やそのさらに内側の巨大化した液胞)を入れたようなものである。熟するにつれて細胞が死滅し、内部の水分が涸れて細胞本体の入っていた部分は中空になる。さらに繰綿すれば管内の水分は全く乾燥して、この過程で減少しつつある細胞の水分の凝集力によって空洞に強く陰圧が働き、さらに細胞壁内のセルロースミクロチュブールの走行方向の影響もあって綿毛が自然によじれる。綿を顕微鏡で観察した際に見られるよじれはこのようにできる。
材料

綿花は開花後、成熟した刮ハが開裂し、綿毛に覆われた種子(実綿,seed)が出てくる。綿毛には長く伸びた繊維と短い地毛(fuzz)がある。繰綿機で実綿から分離された長繊維をリント(lint)または繰綿(ginned cotton)と呼び、次いで地毛除去機を用いて分離した地毛主体の短繊維をリンター(linter)または繰屑綿と呼ぶ。リントは紡績して綿糸綿織物製品や装飾品、または不織布あるいはそのままの形で医療・衛生用品、ぬいぐるみ等の充填物(中綿)として広く使用される。リンターは繊維が短く紡績原料とはならないが、リンターパルプレーヨン、セルロース誘導体調製の原料として重要である。
栽培コットン・ピッカーによる収穫風景

綿花の栽培には降のない長い季節と、600mmから1200mm程度の降水量が必要とされる。この条件を満たすのは熱帯から亜熱帯にかけての湿潤・半乾燥地帯であるが、現在では灌漑の発達により、ウズベキスタンなどより降水量の少ない地域でも大規模な綿花栽培が行われるようになってきている。生産された綿花はコットン・ピッカーなどの収穫機械により収穫されるが、アフリカなどの開発途上国では手摘みによって収穫されている。収穫された綿花は長方形または円筒形のモジュールと呼ばれる形に固められる。モジュールを作成する専用の機器モジュールビルダーが存在するほか、ジョン・ディアやケースIHの現行機種は収穫とモジュール作成を同時に行えるようになっている。
オーガニックコットン

環境保護を目的として、サリー・フォックス(英語版)が提唱し[1][2]、1980年代にアメリカ合衆国でオーガニックコットン(英語: Organic Cotton)と呼ばれるコットンの生産活動が始まった[3]化学肥料を3年以上使用していない農地において有機栽培されたコットンをオーガニックコットンと呼ぶ[3]

化学肥料を使わないため、農業従事者の健康への負荷が少なく、収穫を手作業で行えば石油資源や機械も消費しないので持続可能性な社会へシフトして行くのに有効な手段の1つではないかと考えられている[3]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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