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材木店の店頭に並ぶ各種木材
木材(もくざい)とは、様々な材料・原料として用いるために伐採された樹木[1]の幹の部分を指す呼称。
その用途は、切削など物理的加工(木工)された木製品に限らず、紙の原料(木材パルプ)また、薪炭材(しんたんざい。薪や木炭)に留まらない化学反応を伴うガス化・液化を経たエネルギー利用[2]や化学工業の原料使用、飼料化などもある[3]。樹皮を剥いだだけの木材は丸太(まるた)と呼ばれる。材木(ざいもく)も同義[1]だが、これは建材や道具類の材料などに限定する場合もある[4]。
日本でもヨーロッパでも一般的には木材名は樹木名と同一であるが、木材業界や木工関係者・工芸家などの間では、生産地、樹齢、生育環境、製材方法、その他の処理によって特定の木材に特定の呼び名を用いることがある(ブラウン・オークやボグ・オークなど)[5]。
構造と特徴
構成年輪が27本あるイチイの幹の断面。外側の色が薄い「辺材」、内側の色が濃い「心材」、中心部の細い「髄」が観察できる。
一般的に、木材とは山で伐採した木を使いやすくある大きさにした物である。木材として使われる部分である木部は「材」(ざい)と呼ばれている。樹木は、芽や成長点を由来とする中心部にあるごく細く軟らかい「髄」(ずい)または「樹心」(じゅしん)、主要部分を占める「材」、外皮に当たる樹皮の3つの部分に分かれる。木も代謝を繰り返し細胞分裂によって成長するが、幹や枝の先端(成長点)を除く「材」の部分では樹皮のすぐ下に当たる部分(厳密には師部と隣接する数層、維管束形成層と呼ばれる)だけに限られ、しかも幹側になる細胞は分裂機能を失い、数週間で原形質を無くして細胞壁だけとなる。これが積み重なって木の「材」となる。樹皮には葉での光合成で作られた炭水化物を木全体に送る「師部」(しぶ)がある[6]。
さらに「材」は内側の「心材」(しんざい)と外側の「辺材」(へんざい)に分けられる[6]。心材は「赤身」(あかみ)、辺材は「白太」(しらた)とも呼ばれているが、これは一般に中心部が赤っぽく、外辺部が白っぽい色をしているからである[7]。ただし、エゾマツやトドマツまたはベイツガなど木の種類によっては中心部と外辺部で色の違いが見られず、心材と辺材の区別がほとんど出来ないものもある[6]。
辺材には根から吸い上げた水分を樹木全体に送る仮道管(針葉樹)または道管(広葉樹)、またでんぷんなど同化物質を貯蔵・分配するために原形質を保持した柔細胞があり、木の生命活動を担う。道管・仮道管はその形成の段階で非常に細長く、かつ厚壁になったもので、それらはほとんどが幹の縦方向に平衡して並んでいる。また内部が空洞化することによって作られるため、木材は、強度を決定づける繊維が縦方向に強く並び、軽量ながら適度な強度と断熱性を持ち、方向による異方性を示す材料となる[8][9]。
木材の主成分は多糖類であるセルロース分子が作るミクロフィブリル
[6](約50%)やヘミセルロース(含キシラン・グルコマンナン、約20%)、リグニン(広葉樹約20%、針葉樹約30%)を主成分とし[10]、副成分としてテルペン、タンニン、リグナン等を含む[11]細胞組織からなり、複雑で緻密かつ強靭な構造を成している[12]。骨格となる長鎖状のセルロースは木材に強さやしなやかさをもたらし、網目状のリグニンは細胞を接着させながら硬さ・曲げ強さを与える。分岐状のヘミセルロースはセルロースとリグニンを結びつける機能を受け持っている[13]。これらは自然界では化学分解の難しい成分として知られるが、実際には菌類やシロアリなど一部の動物がこれを強力に攻撃する。特に辺材は水の通り道となるために含水率が心材と比べて高く、また栄養素を含むことから腐りやすく害虫にも弱い[6]。これらの成分は可燃性であり、火は火事の元であり木材にとってもっとも危険なものである。この柔細胞は分裂から数年 - 数十年経つと周囲の細胞を心材化させ、自らも原形質を失って膨張し、チロース[14]となって樹脂道や道管を充填する。こうして形成された心材は木の構造を支え、フェノール類などの抽出成分を含んで腐食や害虫の侵入を阻止する役目を持つ。また、セルロースは伐採後200-300年という期間を経て結晶化が進み、木材の強度を高める効果がある[15]。 木は生物であり、樹種
個性
樹種の分類では、大きく針葉樹と広葉樹に分けられる。主に寒冷地から温帯にかけて生育する針葉樹は一般に直線的な幹と小さめな樹幹を持ち、気候の影響から明瞭な年輪を形成する[16]。ただし世界中に分布する広葉樹のうち熱帯に生育するものには年輪が作られないものもある[16]。構成にも差があり、チロースとなる柔細胞の比率も針葉樹で約5%に止まるのに対し広葉樹は10 - 30%と多い[6]。
木の成長は季節によって変化する。木は春から初秋にかけて細胞分裂を起こして幹を太くするが、この期間の前半と後半では細胞の形状や大きさ、木種によっては細胞の種類が変わる。前期に形成される部分を「早材」または「春材」(俗に夏目)[注 1]。と呼び、針葉樹の場合は細胞壁が薄く細胞の直径は大きくなり、材の色は薄くなる。後期の形成箇所は「晩材」または「秋材」(俗に冬目)と言い、特徴は逆になる[17]。広葉樹では、ケヤキやミズナラなどでは早材部分に大きい道管が形成されるために区別がつくが、ホウノキやカツラなどでは季節による道管に差ができないためにこの早材/晩材の差が生じない[6]。木材の「節」(ふし)。写真は材と木目が繋がっていない「死節」に当たる。
季節では、夏雨性の温帯気候に属する日本においては木の新陳代謝の低下する秋から冬にかけての時期が伐採の最適期とされており、特に広葉樹のブナなどはこの時期に伐採したものは腐れや害虫に強い木材になる。しかし例えば磨き丸太に使う木材では樹皮と材を剥離しやすい幹形成期の春が伐採に適すなど、目的によって最適時期は変わる[18]。
樹木を縦割りにした際、枝があった部分には「節」(ふし)が残る。これには、材の木目から断裂が無く繋がっている「生節」(いきぶし)と、枯れた枝が幹の成長に伴って包み込まれた「死節」(しにぶし)がある。なお、枝が枯れ落ちたり切り払う(枝打ち)作業によって節が無い材は特に「枝下材」と呼ばれ価値が高い。ただし節の存在が強度不足を招くことはなく、逆に美的評価の要素として格付けされる場合がある[6]。 木材は、伐採直後のものを使うには数々の問題がある。木材が含む水分量のめやすとなる含水率(細胞壁の重さに対する水の重さの比率) u {\displaystyle \mathrm {u} } は、以下の式で求められる[19]。
乾燥
目的