木場車両検修場
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木場車両検修場(きばしゃりょうけんしゅうじょう)は、東京都江東区にある東京都交通局都営地下鉄)の車両基地である。大江戸線の車両が所属している。車両基地自体は東京都が保有する木場公園の地下に設けられている。木場公園を出た南側には東京都交通局木場庁舎も併設され、大江戸線の中枢部としての機能を有する。

清澄白河駅から入出区線が通じている。

なお、練馬区にある開業時から運用している高松車庫(高松庁舎)についてもここで記述する。両車庫とも建設コスト、工期、車両運用の効率性などを勘案して地下二層構造になっている[1]
概要

2000年(平成12年)4月1日に、同年12月の全線開業を前提として発足した基地である[2]。これまで運用していた光が丘車両検修場を本検修場に組織統合し[2]、本格的な車両検修場として活用している。なお、高松車庫と識別のため、交通局の資料では木場車両検修場(木場車庫)と書かれている。

毎年夏にははとバスの日帰りツアーのひとつに木場車両検修場の見学が組み込まれ、この際には地下の車両基地に入ることができる。

なお、車両搬入は江東区内にあった小名木川駅まで甲種輸送が行われたことがあるが、2000年12月に同駅は廃止された。

廃止された小名木川駅に代わり、2011年に大江戸線増発目的で増備された12-600形に始まる甲種輸送が根岸線根岸駅を介して神奈川臨海鉄道横浜本牧駅まで甲種輸送された。この輸送は経年化した12-000形初期塗装車の置き換えから開始され、2020年現在では12-000形3次車の置換用として行われている。
当初の計画

路線免許の申請当初は埼玉県新座市片山に大規模な車庫用地を確保し[2]、光が丘駅から延長 5.3 km の車庫線を建設することで[1]、「片山車両工場」を設ける計画であった[2]。また、練馬区大泉学園町キャンプ・ドレイク跡地に車庫を設ける計画もあった[1]。しかし、大江戸線の大泉学園方面への延伸計画は、建設のめどが立たないことから中止となった[2]

そのため、グラントハイツ跡地(光が丘)内の南部に半地下方式で車庫を設置することとして路線免許の取得に至ったものの[1]、付近の住宅用地としての払い下げが決定しており、騒音振動公害への問題等から車庫の設置が不可能となった[1]。最終的には放射部の開業に対応可能な規模で、光が丘の西に隣接する練馬区高松に車庫を置くこととなった[1]

大江戸線環状部開業に対応した車庫としては、都立木場公園の地下に木場車庫を設けることで対応した[1]
工場検査

木場車庫・高松車庫とも地下式構造で、防災上の観点から検車部門のみである。

当初から木場車庫は検車機能のみ、高松車庫は検車機能および修車機能(重要部検査・全般検査を行う整備工場機能)を有していた[3]。ただし、地下車庫の場合には東京都の各種条例よる規制を受け、地上の車両工場のような完全な設備を備えることができない[4]。このため、重要部検査・全般検査時には車体吊上機を使用して車体と台車を分離させ[4]、車体は仮台車に置く[4]。VVVFインバータや保安装置等の電子機器は高松車庫で検査を行い、台車や主電動機・ブレーキ装置等はトラックで搬出して外部の車両工場で検査を行っていた[4]

当初、木場車庫に全般検査・重要部検査のできる工場施設も計画されていた[5]。しかし、大江戸線環状部の建設費用を圧縮するため、同時期に工場設備の建て替えを予定していた馬込車両検修場に集約することになった[5]。このため、軌間が同じ1,435mmの大江戸線汐留駅から浅草線新橋駅-大門駅との間に連絡線(汐留連絡線)を新設し、浅草線の馬込車両検修場において重要部検査・全般検査を行うこととなった。なお、浅草線内では大江戸線の車両が自走できないことから、E5000形電気機関車の牽引で回送される。この連絡線は2006年4月に完成し、それまで高松車庫で実施していた重要部・全般検査は馬込車両検修場で実施されている。
木場車庫

木場公園の南側に位置し、幅員17 - 107 m(東西方向) 、全長(南北方向)607 m の地下2層構造の構造物である[6]。木場公園の整備事業と大江戸線の車両基地建設計画が重なったが、車両基地建設のために公園の閉鎖を避けるため[6]、車両基地の上床版(地下1階上天井部)は東京都によって1988年(昭和63年)から施工されていた[6]。建設はこの上床版を利用しながら、掘り下げることで構築を行った[6]

管理事務所となる木場庁舎は地下2階、地上8階建て構造で、建物内には保線管理所、車両検修所、電気管理所がある[7]。2000年(平成12年)4月7日から庁舎の使用を開始した[8]

車庫内は地下2層構造となっている。

地下1階部に留置線が8本、月検査線・列車検査線(プールピット構造)が各2本、列車検査線が6本、臨時検査線が1本(車体吊上機、天井クレーンなど配置)、トロリー線(保線車両置き場)3本がある[1]

地下2階部に留置線が17本、洗浄線が4本(車両洗浄機2台)、車輪転削線1本がある[1]。留置能力は上下合わせて8両編成39本(312両)である[1]

※太字は検査線で、収容数には含めない(トロリー線も含めない)。
入出庫線

清澄白河駅の中線(2・3番線ホーム)から門前仲町方面に向かうと、複線構造となり[9]、45‰の下り勾配で本線のB線(大門・六本木方面行き)をアンダーパスする[9]。駅を南下した平野1丁目交差点から本線と分岐し、延長898.5mの複線シールドトンネルで木場車庫に至る[9]。入出庫線は幅員11 m の江東特別区道江414号の下にあり、半径84 m や100 m の急曲線、45 ‰ の急勾配がある[9]

入出庫線は基地入口で複線から左右に1線ずつ分かれ、分かれた1線ずつ(入出1番線・2番線)は地下1階部に繋がっている[10]。中央の2線(入出3番線・4番線)は入出1番線をアンダーパスして、地下2階部に繋がっている[10]。各階とも清澄白河駅方面に向かって、引き上げ線(構内入換線)をそれぞれ設けている[10]
高松車庫

1991年(平成3年)の光が丘 - 練馬間の部分開業を控えた1990年(平成2年)10月1日志村車両工場光が丘検修所として発足した[2][4]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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