朝鮮族
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この項目では、中華人民共和国の少数民族としての「朝鮮族」について説明しています。民族全般については「朝鮮民族」をご覧ください。

朝鮮族???
縞線部が朝鮮族の多く住む地域
総人口
1,700,479人(2021年)
居住地域
東北三省南東方面
言語
中国朝鮮語東北官話
宗教
大乗仏教道教
関連する民族
朝鮮民族

朝鮮族(ちょうせんぞく、簡体字中国語: 朝?族、朝鮮語: ???)は、中華人民共和国(以下、中国)の民族識別工作により定義された中国の少数民族の一つである。朝鮮族は朝鮮系の中国国籍を持つ中国人(朝鮮系中国人)を指す。1940年代まで、朝鮮半島の日韓合併により「朝鮮族」という名称は漢字文化圏に存在しなかった漢字用語だが、1949年から1954年までに中国国内で中国共産党民族識別工作の結果、56民族の一つとして認識されるようになった。他の54の少数民族と比べても、朝鮮族は中国大陸への帰属意識が強く、漢族との関係も比較的良好である。朝鮮族の公式言語は、中国語中国朝鮮語(朝鮮語の方言)で、中国東北地方のアクセントを持つものであり、朝鮮族特有の口調が色濃く反映されている。朝鮮族の総人口数は全世界で170万程度であり、これは朝鮮民族の総人口の2.1%程度である。[1]

「中国統計年鑑」によれば、朝鮮族の全世界的な総人口は約170万479人とされている。この中で、約90万人が中国に居住しており、韓国政府の統計に基づくと、朝鮮族は1990年代、韓中国交から移住し始め、2023年の時点では朝鮮族総人口の過半数に近い70万人以上が韓国に住んでいる。在日朝鮮族在日中国人の一部として統計調査されるため、正確な数は不明であるが、朝鮮族総人口の6%以下である約7~8万人が日本に滞在しているとされる[2]。残りの朝鮮族は他の国々に居住している。1992年8月24日に大韓民国中華人民共和国は国交を結び、1990年代以前は、朝鮮族が韓国には存在していなかった。1990年代の中韓国交正常化より朝鮮族は韓国に移住し始め、2000年代からは日本にも本格的に進出し始めた。日本においても、1980年代後半以前には存在しなかった在日朝鮮族は、在日朝鮮・韓国人としては分類されず、中国国籍を持っているため、韓国・朝鮮系より厳密には在日中国人と認識される。[3]

中国において、朝鮮族は法的に少数民族の地位を有している。漢民族を除いた少数民族の中で、朝鮮族の人口は13番目に多く、主に旧満州地域、つまり中国東北の3省に集中して住んでいる。しかしながら、朝鮮族の人口は徐々に2000年代からは中国大陸全土に広がっており、北京上海青島などの大都市へ移住していることが背景にある。2022年のデータによると、朝鮮族は中国の約14億人口中で0.12%を占める。このうち、中国内での朝鮮族の居住人口は中国人全体の0.06%に過ぎない[4]
概要

中国の国籍を所有し、かつ中国戸籍法に基づく戸籍上の民族欄に“朝鮮”と記載(登記)されていることが朝鮮族と見なす条件である。したがって、中国に居住する朝鮮民族で、永住権を所有していても中国の国籍を持っていない者、あるいは戸籍上の民族欄に“朝鮮”と記載されていない者は朝鮮族とは定義されない。他の韓・朝鮮民族に比べての特徴として、朝鮮半島国家(大韓民国・北朝鮮)よりも中国人民としての帰属意識を持っている人が多い[4]

「朝鮮族」という漢字用語は、の時代及び中華民国朝鮮王国及び大韓帝国の存在を認識していた当時の中華人民共和国の前身が、その領土内に住む朝鮮人を「韓民」として称していたことに起源を持つ。中華民国成立後、中国国民党の台頭とともに大韓民国臨時政府を正式に認める動きが強まり、この時期の中国内に居住する朝鮮人は「韓僑」と呼ばれるようになった。しかし、1949年に中華民国政府が台湾への撤退を余儀なくされ、中華人民共和国が中国共産党によって建国されると、「韓僑」という名称は再び「朝鮮人」へと変更された。この「朝鮮族」という現代の呼称は、中華人民共和国政府が国内の少数民族を一元的に管理する方針を固め、それらを「民族」として分類・識別する過程で生まれたものである。具体的には、1948年8月に中国共産党遼寧地区委員会が「遼寧を始めとする北東3省に居住する朝鮮民族で、戸籍を有する者は中国市民とし、戸籍の無い一時的居住者は朝鮮僑民とする」という方針を打ち出し、そこから「朝鮮族」と「朝鮮僑民」の区別が確立された。1950年に開始された民族識別工作の第1段階を経て、「中国国籍の朝鮮人」は「朝鮮族」としてカテゴリー化された。この後、中国国内での表現としては、中国国籍の朝鮮人を含む全世界の朝鮮・韓国人約8千万人を「朝鮮民族」と称し、「朝鮮族」という表記は特にその内2%程度である約170万人の「中国国籍を持つ朝鮮人」を指す言葉として確立された。朝鮮族という言葉は、中国国籍を持っていない朝鮮・韓民族には法律的に使えない。[5]

1992年中韓国交正常化まで、朝鮮族は、韓国人とは事実上交流が無く、文化大革命により、歴史的な繋がりが無くなって、「韓民族」という意識が少なくなった。中国以外の国や地域では、朝鮮民族でありながら中国国籍所有者であることを明確にするために、朝鮮族は中国朝鮮族もしくは朝鮮系中国人(??? ???)と呼ばれ、朝僑と呼ばれる北朝鮮国籍を放棄して中国国籍を取得した朝鮮族も存在する[6][7]

中国では、地方政府の戸籍資料、公式メディア、学術論文等に使用される民族の称呼に関して、非正規表現の一文字略称を用いることが実務的に許可される。その場合、「維」でウイグル(維吾爾)族、「蒙」でモンゴル(蒙古)族を表すように、「鮮」で朝鮮族を表現する。
分布

朝鮮族の総数は、第5次(2000年)人口調査によると約192万人で、第6次(2010年)人口調査によると約183万人と減少した。中国56民族の中に、人口絶対数が減少した民族は朝鮮族と満洲族だけである。現在の人口減少傾向が続くと、30年で半減する可能性がある[8][9]。特に朝鮮族の民族自治地域である延辺朝鮮族自治州少子高齢化・人口流出・農村の過疎化などの問題が深刻である[10]

朝鮮半島以外では二番目の朝鮮民族コミュニティーといえる。中国国内での分布は中国東北部(旧満洲)に集中し、中でも吉林省に約120万人が居住し、吉林省南部の延辺朝鮮族自治州(首府延吉市)に約80万人が集中している。延吉市には、中国語朝鮮語で教育を行う延辺大学も設置されている。

このほか、黒竜江省に約45万人、遼寧省に約25万人、内モンゴル自治区に約2万人が分布し、関内(山海関以内)の北京天津青島上海などの大都市にも進出している。各地の朝鮮族集住地区には、行政的に朝鮮族自治県(吉林省長白朝鮮族自治県)や、多くの朝鮮族郷・鎮が設置されている(リンク参照)。これら東北三省の首府には、朝鮮族の学校や放送局、新聞社、出版社などが設置されて、朝鮮語の普及を図っている。
自治州

吉林省

延辺朝鮮族自治州


自治県

吉林省

長白朝鮮族自治県


民族鎮

柳河県

三源浦朝鮮族鎮


海林市

新安朝鮮族鎮


民族郷

桓仁満族自治県

雅河朝鮮族郷


寛甸満族自治県

下露河朝鮮族郷


楡樹市

延和朝鮮族郷


吉林市昌邑区

土城子満族朝鮮族郷


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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