朝鮮の歴史観
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朝鮮の歴史観(ちょうせんのれきしかん)では、朝鮮人歴史観について説明する。
概要

日本統治期、朝鮮人による歴史学には、民族史学(民族史観)・社会経済史学(唯物史観)・実証史学という3つの流れがあり、日本側の朝鮮史観と対立していた。

朝鮮戦争後はおおむね、韓国では実証史学が、北朝鮮では唯物史学が主流となるものの、韓国においては政界・メディア・教育機関等は民族史学(民族主義史観)の影響を強く受けている状態にある。また、それは歴史学界においても例外ではなく、民族史学派と実証史学派の論争が起きている。
植民史観(しょくみんしかん、????

日本統治時代内地で主流だったとされている歴史認識である。これを植民地支配を正当化する目的で作ったものであるとして批判する側からは植民地史観(しょくみんちしかん)とも。

主に問題とされるのは、満鮮史観日鮮同祖論、他律性論、停滞性論、党派性論などである[1][2]

2016年漢陽大学で催された、日本人研究者の植民史観に関する学術会議において、???(国会図書館調査官)は、池内宏漢四郡高句麗の歴史研究を分析し、池内宏は漢四郡を「小さな中国」として認識し、高句麗は満州民族の一つである?貊が建国したとみており、漢四郡と高句麗との葛藤は、中国と満州民族間の対立であり、高句麗が漢四郡を駆逐したことを満州民族が中国勢力を駆逐したものと解釈し、さらに、日本任那日本府を通じて百済を後援しながら高句麗やに対抗したと主張しており、「池内宏は古代朝鮮史を中国、満州、日本の大国間の角逐の場とみる『他律性史観』に帰結させ、中国と日本の大国間の対立を浮き彫りにした」と批判した[3]

???(ソウル大学)は、今西龍楽浪郡研究を分析し、今西龍の楽浪郡研究は「古代日本と中国の文化交流を説明する朝鮮半島朝鮮人が文化伝播の仲介の役割をしたとみなければならないため、朝鮮半島を通じた文化交流を説明しながらも、日本の主体性を放棄したくないために登場したのが楽浪郡を中心とした漢四郡の研究であった」と分析し、朝鮮半島に漢四郡が存在することで、中国文化が伝播する過程において、朝鮮人を排除することができ[3]、「今西龍は、中国の影響は、単純に外圧にとどまるのではなく、朝鮮内に中国が内面化されたものだと主張し、『中国を取り除ける過程』を『日本民族になる過程』と合理化した」と指摘した[3]
満鮮史観(まんせんしかん)

満鮮史観とは、中国東北部満州朝鮮半島をつながった地域ととらえる歴史観、あるいはその歴史観に基づいて戦前期の日本を中心に行われた歴史研究のことである[4]

旗田巍は、稲葉岩吉満鮮史観の立場上、朝鮮の歴史の「自主的発展」を認めず、朝鮮歴代の王家は、満州あるいは大陸からの敗残者が朝鮮に逃げこんだものであり、檀君神話に基づく「民族的主張」に反対したと批判している[5][6]。 当時、朝鮮人のなかで檀君神話がとなえられたのに対して、稲葉岩吉は、檀君神話の架空性を批判する一方、「満鮮不可分論」を主張し、朝鮮歴代の王家は、満州あるいは大陸からの敗残者が朝鮮に逃げこんだものであり、朝鮮と満州とは、政治的・経済的に一体「不可分」であり、朝鮮だけの、独自の存在はありえないことを主張した[7]。 ? 旗田巍、朝鮮史研究の課題
他律性論(たりつせいろん)

朝鮮の歴史は、常に外部の勢力によって他律的に動かされてきたという主張である。檀君を否定し、箕子朝鮮衛氏朝鮮漢四郡など朝鮮の出発点を中国の支配に置き、以後も中国の属国であったとする。更に、朝鮮半島南部では任那が日本の支配地域であったとする歴史認識[8]

三品彰英は、戦後の韓国の研究者からは、朝鮮史が黎明期から外国勢力の支配下で成り立っていただけではなく、朝鮮史の全過程を通じて外国勢力の支配に貫かれており、朝鮮史の対外関係だけでなく、朝鮮国内の政治文化の諸情況も外国勢力が支配するようになり、朝鮮史全体が外国勢力への依存的・事大的なものであり、ひいては朝鮮人の民族性までが事大的・依他的・依頼的な性格になったと主張した研究者として、指弾されている[9]三品彰英は、自著『朝鮮史概説』(弘文堂書房、1940年)の序説で、「朝鮮史の他律性」という題を付け、朝鮮史の性格を付随性周辺性・多隣性として、朝鮮史を規定する最大の要因は、朝鮮半島という地理にあり、アジア大陸に付随する半島は、政治的・文化的にも大陸で起きた変動の影響を受け、周辺に位置することにより本流から離れてしまう半島の付随性を主張し[10]、「このように周辺的であると同時に多隣的であった朝鮮半島の歴史においてこの2つの反対作用が、時には同時に時には単独で働き、複雑極まりない様相をもたらした。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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