服喪
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『カトリーヌ・ド・メディシス』
アンリ2世の死を受けてその後終生黒の喪服(モーニング・クローズ)を着用するようになったフランス王妃カトリーヌ・ド・メディシス。その姿を写した肖像画
フランソワ・クルーエ1559年以降の作。 『遣る瀬ない悲しみ』
喪に服す女性を描いた油彩画
イワン・クラムスコイ1884年作。

喪(も、英語:mourning)とは、身近な者や心を寄せる者、尊ぶべき者等[1]を受けて、それを悲しむ者が一定期間中を過ごすことになる、日常生活とは異なる儀礼禁忌状態であり、人間社会においておよそ普遍的な現象である。親族を亡くしたときに遺族が身を置く場合が最も一般的である。
目次

1 概説

2 喪の習俗

2.1 日本

2.1.1 喪中の禁忌事項

2.1.2 喪中に関する社会対応

2.1.3 神社・社家の忌中・喪中

2.1.4 仏教寺院の忌中・喪中


2.2 台湾


3 脚注・出典

4 関連項目

5 外部リンク

概説 父親の死に喪に服する女性
イランニーシャープール、2016年3月)

「喪」には死別に対する自発的な悲しみの表現という意味がある[2]。また、社会的にも、最高為政者や最高権力者、社会的に崇敬を集めた人物などが死去した場合にも服喪が行われることがある。また、事件や事故などで死者が発生した場合に服喪期間を設けることがある。

また、身を慎むという「忌」という概念もある[3]。例えば神道では死を穢れの一種とみて、「忌」として一定期間地域社会から外れることで穢れを避けることを意味する[2]

日本語では、喪の状態に身を置くことは、喪に服する、服喪(ふくも)、喪服(もふく)[4]、忌服(きぶく)、服忌(ぶっき)などと言い、また、喪の最中であることは、喪中(もちゅう)、服喪期間、忌服期間などと言う。

ただし日本では「喪」と「忌」の概念に明確な区別がなくなり混同がみられる[2]

喪に服する者の特別な衣服葬儀のときと同じく喪服である(詳細は当該項目を参照のこと)。文化・地域・時代の別にかかわらず、多くの場合、喪服の基調色はであるが、である場合も少ないとまでは言えない。また当然ながら、それ以外の色である場合や喪服そのものが文化的に存在しない場合もある。
喪の習俗
日本
喪中の禁忌事項

死去後どのくらいのあいだ喪に服するか、また、どのようなことについて制限を与えるかということについては、死者との縁故関係や宗派によって大きく異なり、また、制限期間に関しても宗派や物事によって異なる。

「喪中」の期間は「忌」と「服」に分けられ、両方を合わせて「服忌」または「忌服」と言う。

「忌」は故人のための祈りに専念する期間であり、もともと死の穢れが身についている期間であるとされた。かつては「忌」の期間には家の中に篭り、穢れが他の者に移らないように外部との接触を絶っていた。現代では外部との接触を完全に絶つことはないが、「忌引」として仕事や学業を休む期間となっている。「忌」の期間は死者との縁故関係によって異なるが、一般的には最長で50日間(親、子、配偶者の場合)とされる。

「服」は故人への哀悼の気持ちを表す期間であり、最長で13か月(親、子、配偶者の場合)である。この期間は慶事への参加、慶事を執り行うことを控える。

下記に例として挙げる中にも肉食のように最短で1日以下で終わるものもあれば正月のように最長で1年近くになるケースも考えられる。なお、これらは現代における禁忌であり、過去における適用範囲はもっと広かった。

正月年賀状[喪中欠礼挨拶を行う]、注連縄門松を飾る、御節料理を食べるなど)

慶事への出席

慶事を執り行うこと

殺生を行うこと

喪中に関する社会対応

喪中の禁忌のために、政治的や軍事的の重要な時期に事の趨勢を決定付ける現場に参画できないという事態が、日本の歴史の上ではしばしば起こった。例えば、平安末期に左大臣として強権を振るった藤原頼長は、重要な政局が妻の服喪期間と不運にも重なってしまったがために宮中への出仕が許されず、彼を失脚させようとする藤原通憲(のちの信西)らの策動に抗する機会を逸している(すでに事実上の失脚状態に追い込まれていたが、巻き返しの機会は服喪の慣習によって遠ざけられた)[5]

現代では、学校に通う児童・生徒・学生や企業に勤務する会社員においては、しばしば喪中に当たる期間中に「忌引休暇」等と称する休暇が与えられることがある。ただし、このような休暇は1親等の肉親でも1週間を越えるケースは稀であり、ほとんどの場合は葬祭の準備、および、後片付けなどで消えることが多い。


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