有閑倶楽部
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有閑倶楽部
ジャンル
学園漫画、アクションコメディ
漫画
作者一条ゆかり
出版社集英社
掲載誌りぼんコーラス
レーベルりぼんマスコットコミックス
発表期間1981年 - 2002年
巻数全19巻
DX版全9巻
文庫版全10巻+1巻
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『有閑倶楽部』(ゆうかんくらぶ)は、一条ゆかりによる日本少女漫画作品。1981年、『りぼん』(集英社)にて連載を開始。以降、数話単位で1つのエピソードが終了する形を採っている。長期連載の過程で掲載先が変遷しているため、『りぼん』『マーガレット』『コーラス』など掲載誌によって人間描写や表現が描き分けられている。2013年時点では『コーラス』(現『Cocohana』、集英社)誌上で不定期連載中。1986年(昭和61年)度、第10回講談社漫画賞少女部門受賞。2008年10月時点で累計売上は2700万部を記録している[1]
概要

生徒会の役員を務める6人の主人公全員が美男美女であり、倶楽部内メンバー間で多少家柄に差はあるが超大金持ちの家の子供達である。それぞれが「ケンカや大食い、アクション」担当の悠理、「頭脳派、拳法、参謀」担当の清四郎、「大和撫子代表」の野梨子、「アクション、メカ関係」担当の魅録、「交遊」担当の可憐、「世界の恋人」担当の美童といった具合に、得意な才覚と知識、およびコネ(後述)を有している。それらを駆使して恋愛、政治劇、裏社会の抗争、各国政府や諜報組織の暗躍、果てはオカルトに至るまで多様な事件に立ち向かう。それぞれ性格も価値観も異なるが、基本的に全キャラクターが人情味のある正義漢であり、世の中の悪や不条理に対して怒りを感じ、力を合わせて問題解決に挑むという流れを繰り返す構造になっている。

集英社文庫版に収録されている、各エピソードの制作秘話を回想した「Making of 有閑倶楽部」によると、当初は、野梨子と清四郎・美童と可憐・悠理と魅録の3組のカップルを主体とした学園ロマンスコメディ風の作品になる予定であったが、当時の担当編集者が新連載の予告文に「学園アクションコメディ」と入れてしまい急遽設定を考え直したとのことである。

メンバーの名前やペットの名前など、登場キャラクターの名前にの銘柄を使う場合が多い(新書刊コミックスの後書きには、作品の基本的なアイディアを推敲する段階で酒を飲みたいという欲望が作者の頭に同時に浮かび、そこからキャラクターが決定していったことが描かれている)。本作の作者は、コメディとシリアスの両分野に作品を発表しているが、本作品はコメディ分野において作品の量および掲載期間が最も多大であることから、シリアス分野の『砂の城』と並んで同作者の代表作とされている(ただし、コメディ分野である本作の単行本の中に、ページ調整として過去のシリアス分野の作品が掲載されている場合がある)。
あらすじ

幼小中高大一貫制の名門学校であり、名士名家の子女が通う聖プレジデント学園。その高等部生徒会の面々は学園でも屈指の権力と能力を持ちながら、生徒会らしい事は何一つせずに暇を持て余していた。何時しか生徒や教師から「有閑倶楽部」と呼ばれる様になった彼らは、学業もそこそこに大小様々な事件に首を突っ込み、様々な出来事に関わっていく。
登場人物
有閑倶楽部のメンバー
剣菱 悠理(けんびし ゆうり)
日本屈指の大
財閥・剣菱財閥の令嬢。聖プレジデント学園高等部。運動部部長、ロック同好会所属。超人的な体力と運動神経、そして異常な食欲を持つ。二人兄妹で存在感の薄い兄(豊作)が1人いる。6人の中では最も分かり易いお嬢様的な立場だが、同時に最も上流階級らしからぬ野生児。トラブルメーカーで、物語の中心となることが多い。全く勉強が出来ず、やることなすことガサツで男勝り、かつ空気が読めない。素直で単純な性格なため、清四郎からは完全に手玉に取られている。正義感が強く、人情にも厚いが、末っ子で甘やかされて育ったためか、利己的な側面がある。相手がヤクザであろうがマフィアであろうが、暴力や脅しには屈しない強気な性格だが、経験上、オカルト方面のトラブルにはほとほと弱く、恐怖のあまり、悪霊に取り憑かれた野梨子や可憐を見捨てようとしたこともある。常に食い気優先なため、女性として扱われることも余り無い[注 1]。一方で容貌は黙っていれば、かなりの美人の部類に入る(万作曰く、かあちゃんにそっくりとのこと。清四郎もよく見れば美人と言っている。)が、上記の突飛な言動から男性人気はなく、むしろ女にモテる(本人に全くその気はない)。女子生徒からは美童と匹敵する人気を誇り、一部では男性説まで囁かれていた。因みに好きな男性のタイプはアーノルド・シュワルツネッガー。「ばかたれ」が口癖。学力は極めて低いが「野性のカン」は鋭く、過程を飛ばして、真相に辿り着くことが多く、その嗅覚の鋭さから「前世は犬」と感心されている。また、初期では強かな一面を見せることもあり、自らの誘拐事件の際は実情を聞いて呆れていた美童を除く(帰省しており不在だった)メンバーを口説いて協力させたり、自分だけ留年になることを恐れてヘロインをコーヒーに混ぜて他の5人に飲ませ、試験を受けさせず巻き添えにしたりしている。運動神経と体力に関しては全国レベルのプレーヤー相手に食らいついていき勝利するほか、雲海和尚の特訓を10日でクリアし、体捌きに関しては清四郎やモルダビアの攻撃をかわせるようになっている。ただし、攻撃はケンカ技しか知らないため、体格差のある相手だと全く効かなくなることがある[注 2]。財力とコネ、驚異的な身体能力という特性の他に、非常に強い霊媒体質を持ち併せており、本人の意思とは無関係のまま、事件に巻き込まれてしまうケースが多い[注 3]。取り憑いてきた霊などによると「とても強い守護霊」が憑いているとのこと(そのため取り憑かれても、だるい程度で済み、野梨子や可憐、美童のように大事には至らない)。PART8の事件がきっかけで霊感に目覚めたと思われていたが、後に描かれたシークレットエピソードによると生まれつき持っていたとのこと。悪霊・怨霊の類は「怖い」のでわかるが、普通の霊は、生きた人間と区別できないほどハッキリ見えるため、万作の幼馴染の少年・次郎の霊や、野梨子の家に住む座敷童子とは仲が良かった。また、物心つく前に臨死状態にあった女性に語りかけ、死の淵から救うなどしている。基本的に霊との対話は怖いため及び腰だが、正義感は強いため、殺された霊の恨みを晴らすため、犯人に食って掛かったこともある。父・万作の影響もあって信仰心に篤く、暖を取るため仏像を燃やした可憐を非難したり、願いを聞いてくれた感謝で仏閣巡りを敢行するなど律儀な一面もある[注 4]。清四郎、野梨子とは聖プレジデント学園幼稚舎時代からの顔なじみであるが、典型的な悪ガキで粗暴ないじめっ子であった悠理が、坊ちゃん育ちであった清四郎を一方的に馬鹿にし、彼を庇った野梨子と大喧嘩をして以来、犬猿の仲であった。打ち解けあったのは中等部3年に入ってからで、聖プレジデントの生徒が絡まれていたことに腹を立てて喧嘩し、停学になりかけたところを二人の口ぞえで庇ってもらったことがきっかけである。悠理本人も、理由もなく野梨子たちをいじめたことを後ろめたく思っていたようで、仲直りの際、当時のことをきちんと謝罪している。魅録とは同じ学校ではないものの、以前からのロック音楽仲間であった。ネーミングは清酒「剣菱」から。身長166cm、血液型O型。容姿の特徴は茶髪で癖毛がかって広がったショートヘア。顔立ち、髪型は中性的。ギャグ顔時とシリアスな時の顔の差が激しい。服装はパンツルックなどマニッシュあるいはロックなもの、あるいはキャラもののTシャツや着ぐるみなど奇抜なファッションに身を包むことが多く、ごく稀にフェミニンな服装をすることもある。
菊正宗 清四郎(きくまさむね せいしろう)
大病院・菊正宗病院の御曹司。聖プレジデント学園高等部。文武両道・天下無敵の生徒会長。囲碁倶楽部、UFO研究会など複数の部も兼任。医大生の姉がいる。学園一の優等生として医学薬学、語学、考古学にオカルトと万事に精通している有閑倶楽部の「頭脳」。加えて拳法の達人でもあるというオールマイティー人間だが、完璧であるが故に他人を見下しがちなところがあり、仲間からも情緒や思いやりに欠けると指摘される事も多い。観察眼があり、人の弱点を握るのが得意で、また騙し合いや駆け引きを楽しむなどの少々陰険な面もある。野心家の面もあり打算的に悠理と結婚を目論むこともあった。回が進むにつれ敬語で話すことが多くなるが、悠理には言葉遣いがぞんざいなこともある。メンバーの中では、オカルト関連の事件では魅録共々、霊感が低いこともあって心霊現象との遭遇率が低い[注 5]。悠理、野梨子とは聖プレジデント学園幼稚舎の頃からの同級生。当時から乱暴者だった悠理と喧嘩をして惨敗し、それを庇った野梨子が悠理と互角に渡り合うのを見たショックと、女に庇われたことを悠理に馬鹿にされた屈辱から、武道を学んで自己鍛錬に励むようになり、今では悠理も叶わないほどの力を身につけている。加えて圧倒的な知性で相手を手玉に取るやり手振りから、当の悠理は清四郎に頭が上がらない。特に先述のとおり悠理が他メンバーを留年の巻き添えにした際はすぐに見抜き、口止め料代わりに高額なコンピューターを買わせ、さらに「卒業するまで勉強をみる」という約束まで取り付けている。野梨子とは家が隣同士であり幼馴染の間柄。恋愛感情は否定しているが、どちらかの恋愛および結婚問題の話になると苦言を呈したり、不快さを露わにするなどの描写がある。しかし実際にはお互いに兄妹、保護者の域を出ていない家族愛に近い。知的な雰囲気から女性受けも悪くはないが、多趣味が災いして女性を優先できない質。優れたルックスのせいか、何故か男の方にモテる。ネーミングは清酒「菊正宗」から。身長181cm、血液型AB型。容姿は黒髪でオールバックのすだれ髪。服装は着物、普段着は柄物セーターや実年齢より上の人が着るような雰囲気のものを着用していることが多い。眼鏡をかけ、スーツ姿になると、悠理の兄・豊作に雰囲気が似ている。作者の別作品プライドとのコラボ「無閑倶楽部」では、プライドの登場人物である神野 隆を見て、「他人とは思えないほど似ている」と父の隠し子を疑っていた。その際、上海で困っているのを見かねて声をかけた緑川 萌に、新たな標的にされかけて、悪寒を覚えるなどしている。
白鹿 野梨子(はくしか のりこ)
日本画の大家を父に、茶道家元を母に持つ深窓のお嬢様。才色兼備の大和撫子。聖プレジデント学園高等部。文化部部長、囲碁倶楽部所属。文化人一家に生まれた事から教養深く、母に教わった日本舞踊茶道は師範格。囲碁の名人でもあり、その実力は清四郎を上回る。頭脳明晰で語学にも堪能(女性メンバーでは唯一外国語がわかる)だが、運動オンチでカナヅチ。事件に巻き込まれると、可憐共々、早々と犯人に捕まり、足手まといになることも多いが、いざ絶体絶命に陥ると、持ち前の度胸の良さから開き直って思い切った行動に出て自力で窮地を脱することも多い。言葉遣いは語尾に「?ですわ」と付けて喋るなど、お嬢様らしく古風な女性言葉を使うが、辛辣な発言も多く、馬鹿な悠理や軽薄な可憐、節操のない美童にさりげない一言で釘を刺したりと、結構な毒舌家でもある。気が強く、精神的に未熟な悠理やパニックに弱い可憐の支えとなることも多いしっかり者。悠理ほどではないものの、霊感がある(女性メンバーは霊が見える等、全員多少の霊感持ち。また、劇中で最初に霊を目撃したのは野梨子である)。家柄からか信仰心は篤い方で、悠理の母・百合子が国内で手榴弾を投げ、犯人と時宗とその部下を負傷させた時には、悠理・美童らと共に神頼みしていた。本人は男嫌いと言い張っていて(男子生徒からもらうラブレターの数は可憐より多い)、それゆえに恋愛にも疎かったが、魅録の友人である刈穂裕也と遅まきながらの初恋を経験する。


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