有期雇用
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「期間雇用社員」はこの項目へ転送されています。日本郵政グループの制度については「期間雇用社員 (日本郵政)」をご覧ください。

日本の雇用者
(総務省統計局、2019年度労働力調査[1]雇用形態万人
役員335
期間の定めのない労働契約3,728
1年以上の有期契約451
1か月?1年未満の有期契約(臨時雇)763
1か月未満の有期契約(日雇い)15
期間がわからない239
OECD定義による各国の一時雇用者の割合[2]

有期労働契約(ゆうきろうどうけいやく、Fixed-term contract)とは、契約期間の満了日が設定された雇用契約であり、期間の定めのある労働契約(きかんのさだめのあるろうどうけいやく)とも呼ばれる[3]一時雇用のひとつ[2]。これと対比される概念は期間の定めのない労働契約である[3]

契約社員(有期契約社員)

アルバイト

日雇い - 健康保険法においては2か月以内、雇用保険法においては1か月以内の有期労働契約を指す。

任期制公務員

この契約を締結する場合は、契約期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない[4]

各国においては雇用保護規制の対象となっており、契約更新の最大回数もしくは累積月数を規制する国もある[2]。正規労働者の解雇規制が強い国では、一時雇用者の雇入規制も高いという傾向がみられる[2]
国際労働条約

国際労働機関(ILO)の雇用終了条約(第158号)においては、有期労働契約が雇用保護規制の回避を目的として用いられないよう措置を求めている。
第二条3
特定の期間の定めのある雇用契約であつて、この条約に基づく保護を回避することを目的とするものが利用されることを防ぐための適当な保障を規定する。
第四条
労働者の雇用は、当該労働者の能力若しくは行為に関連する妥当な理由又は企業、事業所若しくは施設の運営上の必要に基づく妥当な理由がない限り、終了させてはならない。 ?  1982年の雇用終了条約(第158号)
ヨーロッパ

EU諸国においてこの形態の労働契約を結ぶケースは、英国で4.3%、スペインで22.3%、ドイツで11.0%、イタリアで13.4%、フランスでは14.4%であった[5]
欧州連合

欧州連合の有期労働指令においては、第4項1において同一労働同一賃金の義務が定められている。

Clause.4.1. In respect of employment conditions, fixed-term workers shall not be treated in a less favourable manner than comparable permanent workers solely because they have a fixed-term contract or relation unless different treatment is justified on objective grounds.

雇用条件に関して、有期労働者は、客観的な理由により異なる待遇が正当化されない限り、有期契約または関係を持っているという理由だけで、同等の正規労働者より不利な待遇を受けてはならない。 ? Fixed-term Work Directive 99/70/EC
イギリス

イギリスの有期労働契約は、期限満了日になると自動的に終了し、雇用主はそれを通知する必要はない[6]。しかし期間が2年を超える場合、雇用主は雇止めを行う理由が存在することを示す義務がある[6]。また早期に中途解約する場合、1週間の事前通知期間を置く必要がある[6]

また期間が4年を超える場合、事業主が合理的な理由を示さない限り、自動的に期間の定めのない労働契約に転換となる[6]
日本

日本では労働契約法第4章で定められている。

労働基準法 第14条  (契約期間等)労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、5年)を超える期間について締結してはならない。
専門的な知識、技術又は経験(以下この号及び第41条の2第1項第1号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約

満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

「一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの」とは、ダムや大型のビルの建設現場など、工事が完了すればその事業が明らかに消滅する場合[7]
契約の更新と終了

契約期間が終了後、更新について異議を述べないときは、契約は同一条件で自動更新されたと推定される。

民法第629条(雇用の更新の推定等)
雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第627条の規定により解約の申入れをすることができる。

従前の雇用について当事者が担保を供していたときは、その担保は、期間の満了によって消滅する。ただし、身元保証金については、この限りでない。

契約更新の判断基準の明示

有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準[4]  (契約締結時の明示事項等)

第1条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない。
2 前項の場合において、使用者が当該契約を更新する場合がある旨明示したときは、使用者は、労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない。
3 使用者は、有期労働契約の締結後に前二項に規定する事項に関して変更する場合には、当該契約を締結した労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければならない。

労働条件通知書においては、期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準が絶対的明示事項となっている(労働基準法施行規則第5条1項)。モデル通知書では以下のフォーマットとなっている。

更新の有無 - 自動的に更新する / 更新する場合があり得る / 契約の更新はしない

契約更新の判断基準 - 契約期間満了時の業務量により判断する / 労働者の勤務成績、態度により判断する / 労働者の能力により判断する / 会社の経営状況により判断する / 従事している業務の進捗状況により判断する

満了による雇用終了

使用者の側から有期労働契約を更新しない場合(雇い止め)、有期労働契約が3回以上更新されているか、1年を超えて継続して雇用されている労働者については、30日前までに雇用終了予告が必要である[4]

有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準[4]  (雇止めの予告) 第2条 使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して一年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。次条第二項において同じ。) を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。
契約の中途解約

有期労働契約の中途解約は、民法上はやむを得ない事由があれば可能であるが、「やむを得ない事由があるとき」に該当しない場合は解雇することができないことを特別法である労働契約法によって明らかにしている。

労働契約法(契約期間中の解雇等)
第17条  使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

民法第628条(やむを得ない事由による雇用の解除)
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

民法上は契約期間が5年を超える場合は上述の限りではないが、特別法である労働基準法により一般の労働契約では原則として3年を超える有期雇用契約は締結できない。「労働条件#労働契約の期間」も参照

民法第626条(期間の定めのある雇用の解除)
雇用の期間が5年を超え、又はその終期が不確定であるときは、当事者の一方は、5年を経過した後、いつでも契約の解除をすることができる。

前項の規定により契約の解除をしようとする者は、それが使用者であるときは3月前、労働者であるときは2週間前に、その予告をしなければならない。

労働基準法第14条(契約期間等)
労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、5年)を超える期間について締結してはならない。
専門的な知識、技術又は経験(以下この号及び第四十一条の二第一項第一号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。


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