月世界へ行く
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この項目では、ジュール・ヴェルヌの小説について説明しています。

シラノ・ド・ベルジュラックの小説については「シラノ・ド・ベルジュラック#『月世界旅行記』」をご覧ください。

ジョルジュ・メリエスの映画については「月世界旅行 (映画)」をご覧ください。

H・G・ウェルズの小説については「月世界最初の人間」をご覧ください。

月世界旅行
『地球から月へ』原書の標題紙[1]
著者ジュール・ヴェルヌ
イラストアンリ・ド・モントー
発行日1865年
発行元P-J・エッツェル
ジャンルSF小説
フランス
言語フランス語
形態上製本
前作ド・シャントレーヌ伯爵
(Le Comte de Chanteleine)
次作難破船シンシア号の遺留物
(L'Epave du Cynthia)

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『月世界旅行』(げつせかいりょこう)として本項で便宜上まとめて解説するのは、フランスの作家ジュール・ヴェルヌが19世紀後半に発表した長編小説の2部作:
1865年のDe la Terre a la Lune(直訳は『地球から月へ』。以下、そう称する)

1870年のAutour de la lune(直訳は『月を周って』。以下『月世界へ行く』と称する)である。

南北戦争終結後のアメリカ合衆国で、火器の専門家集団「大砲クラブ」が巨大な大砲を製造し、人間の入った砲弾をに撃ち込もうとする物語である。前編『地球から月へ』では計画の立案、資金の調達、大砲の鋳造、そして砲弾の発射までが描かれ、後編『月世界へ行く』では、発射後に砲弾に入った3人の男の体験が主になっており、いずれも三人称で書かれている。原書の挿絵は前編がアンリ・ド・モントー、後編がアルフォンス・ド・ヌヴィルエミール・バヤールが担当した。

大砲で宇宙船を打ち上げるという発想は目新しい発想ではなく、ヴェルヌ自身が知っていたかどうかは不明だが、当時、既にロケット元寇南北戦争等、世界各地の戦争で使用されており、これを利用する宇宙旅行の物語もシラノ・ド・ベルジュラックが先んじていた。さらに、ロケットよりも技術的には後退した大砲で宇宙船を打ち上げる物語が1865年に刊行された『地球から月へ』よりも137年前の1728年にムルタ・マクダーモットによって『A Trip to the Moon』が刊行されていた[2][3]

これらの作品の続編に『地軸変更計画』(1889年)があり、併せて「大砲クラブもの」と呼ばれる。
主要登場人物インピー・バービケーン[1]
インピー・バービケーン (Impey Barbicane)
「大砲クラブ」の会長。元は北軍の火器開発者であり、一流の技術者。几帳面な性格の持ち主。月旅行の計画を立案する(表記はインペイ・バービケインとも)。
ニコール大尉 (Capitaine Nicholl)
冶金技術者。戦争中は装甲版の開発をしていた、言わばバービケインの商売敵。バービケインに匹敵する技術者。初めは計画の妨害者として登場する(表記はニコル大尉とも)。
ミシェル・アルダン (Michel Ardan)
フランス人。自ら砲弾の中に入ることを望み、砲弾の設計を変更させる(当初、砲弾は無人の計画であった)。アルダン(Ardan)という姓はヴェルヌの友人ナダール(Nadar)のアナグラム。
J・T・マストン (J. T. Maston)
「大砲クラブ」の書記。数学に長ける。戦時中に負傷し、片手が義手。
ストーリー
地球から月へ巨大コロンビヤードの発射[1]

南北戦争終結の若干年後(作中では186X年と記述)、かつて軍で火器の開発を担当していた元軍人たちの集団「大砲クラブ」が、矛先に困る活力と技術力を活かして月に砲弾を撃ち込む計画を立てる。議論の結果、砲弾は地球から観測できる限界のサイズである直径7フィート(2.1m)の当時最新の素材であったアルミニウム製中空球体、砲は長さ900フィート(約270m)の鋳鉄製と決められる。ケンブリッジ天文台の協力も得て、必要な初速や最適な発射時刻、発射地点の条件(緯度)も判明した。

アメリカ国内に限らず全世界から寄付金が募られ、それを資金にして低緯度のフロリダ州タンパに巨大コロンビアード砲[4]の建造が行われる。戦争中にバービケーンと因縁のあるニコール大尉は、計画を公に冷笑し、計画の失敗に大金を賭ける。

フランス人アルダンは大砲クラブに電報を打ち、砲弾を無人用の球体から有人用の弾丸型に変え、自らをその乗員にするよう要請する。アメリカに到着した彼は熱狂的に迎えられる。またバービケーンとニコールを和解させて月旅行の仲間にする。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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