月シリーズ(つきしりーず)は、エドガー・ライス・バローズによるアメリカのSF小説のシリーズ名。全3部。ムーン・シリーズとも表記する。
本項では、創元推理文庫版の表記に準ずる(#備考参照)。 以下、原題と連載期間、刊行年、2種類の邦題を示す[1][2][3]。時代設定、主人公、作品スタイルも付記した。なお、すべて未来史に該当するが、第2部はその傾向が顕著なため、他の部からは省いた。 また、本作の第1部、第2部には、発端となる部分(ジュリアン3世から、「わたし」が話を聞く部分)がある。 加えて、第2部の冒頭では、2050年の地球侵攻の顛末(ジュリアン5世とオーティスの決戦)も語られている。 No.原題連載刊行邦題 創元推理文庫(月シリーズ)全2巻の表紙・口絵・挿絵は武部本一郎。ハヤカワ文庫SF(ムーン・シリーズ)全2巻は金森達。なお、『月からの侵略』の裏表紙は、1941年12月7日の真珠湾攻撃を双眼鏡で眺めているバローズらの後姿が採用されている。 本作の単行本には、2種類の異版が存在している。1926年のマクルーグ版では、第2部と第3部の約1/5が削除されており、カナベラル・プレスが復刊したハードカバーも、この版である。エース・ブックスのペーパーバック版は、連載版を収録した完全版であり、創元版『月からの侵略』は、これを底本としている。なお、厚木淳は、ハードカバー版の編集を「全1巻にするため」と推測している[10]。また、「特に重要な場面に大幅なカットがされている」とも述べている(ユダヤ人問題のシーンなど[11])。ただし、ハヤカワ版も、ほぼ同じ内容である。 本作の特徴は、次の4点である。 主人公は転生を繰り返し、ライバルのオーティス及び子孫のオル・ティス一族、月人(カルカール人)と対決する。
目次
1 シリーズ構成
1.1 備考
2 概要
2.1 特徴
2.1.1 第2部の惨状
2.2 年表
2.3 ストーリー
2.4 キャラクター
3 月の環境・生物
3.1 カルカール人
4 火星(バルスーム)との関係
4.1 第1部と『火星のプリンセス』
5 脚注
シリーズ構成
第1部は、1967年6月10日(<火星の日>と説明されている)で、場所は大洋横断定期飛行船ハーディング号の「青の間」から、「わたし」の客室まで(航路はシカゴからパリまで)。
第2部は、1969年3月で、国際治安航空隊の巡航艇の一室(ハーシェル島付近の公海を飛び立って以降)。
(早川版/創元版)日本での刊行
(早川版/創元版)時代設定
/主人公
/作品スタイル
1The Moon Maidアーゴシー・オール
・ストーリー
・ウィークリー
1923年5月5日号
?6月2日号[4]1926年
マクルーグ
(全3部)月の地底王国
月のプリンセス1970年8月31日
関口幸男
1978年8月11日
厚木淳2025年12月24日
?2036年
ジュリアン5世
スペースオペラ
2The Moon Menアーゴシー・オール
・ストーリー
・ウィークリー
1925年[5]2月21日号
?3月14日号-月人の地球征服
月からの侵略1970年10月31日
関口幸男
1978年10月27日
厚木淳2120年1月1日以降[6][7]
?2122年[8]
ジュリアン9世
ハードSF(未来史)
3The Red Hawkアーゴシー・オール
・ストーリー
・ウィークリー
1925年
9月5日号?19日号-レッド・ホーク
レッド・ホーク『月人の地球征服』
に併録
『月からの侵略』
に併録2430年[9]
?その2年後まで
ジュリアン20世
西部劇
備考
概要
舞台が未来であること。
主人公が輪廻転生すること。
共産主義を批判していること。
各部の作風が著しく異なること。
特徴
舞台が未来
バローズは、「本質的にはSF作家ではない」、と評されている[12][13]。多くの作品において、舞台は違えども、時代設定は現代(執筆当時)となっている(火星、ターザン、ペルシダーの3大シリーズの発端は、20年前から10年前になるが、いずれも現代の「わたし」(あるいはバローズ)が物語を読むか聞かされているか、あるいは調査している)。本作では舞台が未来に設定されており、この点でバローズの作品としては珍しい(ただし、『失われた大陸』"The Lost Continent"と未訳の"The Scientists Revolt"は未来が舞台であり、例がない訳ではない。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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