暴風警報
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気象警報(きしょうけいほう)とは、気象災害水害地盤災害、地震噴火などの重大な災害が起こるおそれがある場合に、気象庁が警告のために発表[1]する情報。単に警報とも言う。災害の危険性が著しく大きいときには、警報より更に上位の特別警報が発表される。類似のものとして注意喚起のために発表される注意報があり、警報は注意報の上位に位置づけられるが、注意報はあっても警報は存在しない災害もある[2][3]

日本における国の気象業務としては、毎日の天気予報の開始(1884年(明治17年)6月1日)よりも1年ほど早い1883年(明治16年)5月26日に初めて全国暴風警報が発表されて以来、太平洋戦争の開戦直前から敗戦直後までの約4年間を除き、国の責務として実施されている。
目次

1 定義と区分

2 対象区域と発表機関

3 基準

4 伝達

5 警報の独占

6 警報の補足

7 一般に発表される警報

8 特定業務向けに発表される警報

8.1 飛行場警報

8.2 海上警報


9 その他

10 日本以外の事例

11 脚注

12 関連項目

13 外部リンク

定義と区分

警報類の法的定義名称定義準拠法規
予報観測の成果に基く現象の予想の発表法2条6項
  注意報災害の起こるおそれがある旨を注意して行う予報施行令4条
  警報重大な災害の起こるおそれがある旨を警告して行う予報法2条7項
   特別警報予想される現象が特に異常であるため重大な災害の起こるおそれが著しく大きい旨を警告して行う警報法13条の2
注:「法」は気象業務法、「施行令」は気象業務法施行令。

法的には、気象業務法第2条第7項において「重大な災害の起るおそれのある旨を警告して行う予報」と定義されている。警報には、後述の通り一般向けの警報と特定業務(船舶や航空)向けの警報があり、法的に区別されている[3]

同法第13条は「気象庁は、政令の定めるところにより、気象、地象(地震にあっては、地震動に限る…略…)、津波、高潮、波浪及び洪水についての一般の利用に適合する予報及び警報をしなければならない」と定めている[3]。この「一般の利用に適合する警報」の区分として気象業務法施行令第4条は(狭義の)気象、地震動、火山現象、地面現象、津波、高潮、波浪、浸水、洪水の9種類の「警報」を定め[4]、更に気象警報の細分として気象庁予報警報規定第11条は暴風、暴風雪、大雨、大雪の4種類を定めている[5]

また、気象業務法14条の2及び水防法第10条・第11条は気象庁が単独または河川管理者(国土交通省または都道府県)との協定により指定された河川について共同で発表する「水防活動の利用に適合する警報」(洪水予報)を定め、気象業務法施行令第6条はこの区分として水防活動用の気象、津波、高潮、洪水の4種類の「警報」を定めている。このうち気象・高潮・洪水の3つの警報は、気象庁予報警報規定第16条に基づき一般の利用に適合する大雨・高潮・洪水の各警報を以って代用されている[3][4][6][5]

さらに、気象業務法14条は「航空機及び船舶の利用に適合する警報」を定め、この区分として気象業務法施行令第5条は、「航空機の利用に適合する警報」として飛行場警報および空域警報を、「船舶の利用に適合する警報」として海上警報を、それぞれ定めている[3][4]

また、気象庁予報警報規定第12条の規定により、地面現象警報および浸水警報は、これらの原因となる大雨などの現象の警報に含まれて発表されることとなっており、独立した「地面現象警報」「浸水警報」の表題で発表されることはない[5]

気象業務法上の警報(実際に発表される警報とは一部異なる)種類説明
一般の利用に適合する警報
気象警報暴風雨、暴風雪、大、大等による重大な災害の警告。実際にはより細かく分けられ、現象名を冠した表題で発表される。
地震動警報地震動による重大な災害の警告。発生した断層運動による地震動に限る。緊急地震速報として発表されている。
火山現象警報噴火降灰などによる重大な災害の警告。現在は噴火警報のみが運用されている。火山ガス予報降灰予報は予報として発表されており、警報レベルがない。
地面現象警報大雨、大雪等に伴う山崩れ地滑り等による重大な災害の警告。実務上は他の警報に付随し、独立して発表されることはない。
津波警報津波による重大な災害の警告。
高潮警報台風などによる海面の異常な上昇(高潮)による重大な災害の警告。
波浪警報風浪うねりによる重大な災害の警告。
浸水警報浸水による重大な災害の警告。実務上は他の警報に付随し、独立して発表されることはない。
洪水警報洪水による重大な災害の警告。
水防活動の利用に適合する警報
水防活動用気象警報暴風雨、大雨による重大な水害の警告。大雨警報により代用され、独立して発表されることはない。
水防活動用津波警報津波による重大な災害の警告。
水防活動用高潮警報台風などによる海面の異常な上昇(高潮)による重大な災害の警告。高潮注意報により代用され、独立して発表されることはない。
水防活動用洪水警報洪水による重大な災害の警告。洪水注意報により代用され、独立して発表されることはない。
航空機の利用に適合する警報
飛行場警報公共の用に供する飛行場およびその付近(おおむね半径5海里(9km))[7]を対象とする、気象、地象、津波、高潮、波浪に関する警報。
空域警報国土交通省令で定める空域を対象とする、気象および火山現象に関する警報。実務上は空域悪天情報(SIGMET)や航空路火山灰情報(VAA)で代用されているが、これは警報に相当する内容を含まないこともある。
船舶の利用に適合する警報
海上警報国土交通省令で定める海域を対象とする、船舶の運航に必要な、海上の気象、火山現象、津波、高潮、波浪に関する警報。全般海上警報、地方海上警報、津波に関する海上警報がある。

さらに、津波警報、地震動警報、火山現象警報は気象警報とは別の括りで扱われる[2][5]

よって、一般市民に発表される気象災害の警報は暴風、暴風雪、大雨、大雪、高潮、波浪、洪水の7種類である(2013年2月時点)[2][8]

警報の対象となる現象は、自然現象の監視・予想の技術ならびに気象庁およびこれに協力する機関の業務体制の整備を受けて順次追加されている。たとえば1955年(昭和30年)には気象庁の雨量予想と建設省(現国土交通省)の治水技術を統合することによって洪水が、2007年(平成19年)12月1日には地震火山の監視体制が一応の水準に達したことから地震動および火山現象が警報の対象に加えられている。
対象区域と発表機関

対象区域については、気象業務法第4条により警報・注意報ともに予報区を対象として行うことと定められ、さらに気象業務法施行規則第8条により府県予報区(周辺海域を含む)を対象として行うことと定められ、気象庁予報警報規定第2条はその府県予報区を具体的に指定している。なお、同規定12条の2は「(注意報および警報は)必要に応じ、一次細分区域または二次細分区域に限定して行う」と定め、別表にてその一次細分区域と二次細分区域を具体的に指定している(気象庁 「 ⇒警報・注意報や天気予報の発表区域」参照)[3][4][5]。実際の運用では、2010年(平成22年)5月27日13:00より、原則として市町村(一部では市町村内を分割して設定された区域)、東京23区は各特別区をそれぞれ単位として発表されている[9][10]。なお、東京都小笠原村は長らく警報の対象ではなかったが、人が居住している父島母島とその周辺海域に限り2008年(平成20年)3月26日9:00から警報の発表業務が開始されている[11]


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