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「暦」のその他の用法については「暦 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
ベリー公のいとも豪華なる時祷書(3月)

暦(こよみ、れき)とは、時間の流れをといった単位に当てはめて数えるように体系付けたもの。また、その構成の方法論(暦法)や、それを記載した暦書・暦表(日本のいわゆる「カレンダー」)を指す。さらに、そこで配当された各日ごとに、月齢天体の出没(日の出・日の入り・月の出・月の入り)の時刻、潮汐(干満)の時刻などの予測値を記したり、曜日、行事、吉凶(暦注)を記したものをも含める。

細分すると、

日を記録するものを暦(こよみ、calendar)

暦による日付の並びを表形式等で表示した暦表・カレンダー (calendar)

暦の方法論である暦法新暦旧暦)(calendar)

天象の予報・天体の軌道を記述するものを天体暦(れき、ephemeris)

一年間の日ごとに天象に加えて行事や占い曜日などを総合して記述したものを生活暦 (almanac)

航海用に一年間の天象・天体の視位置を記述した航海暦(nautical almanac)

紀年法、すなわち西暦和暦など (calendar era)

となる。
語釈

「こよみ」の語源は、江戸時代の谷川士清の『和訓栞』では「日読み」(かよみ)であるとされ、定説となっており、一日・二日...と正しく数えることを意味する。ほかに、本居宣長の「一日一日とつぎつぎと来歴(きふ)るを数へゆく由(よし)の名」、新井白石は「古語にコといひしには、詳細の義あり、ヨミとは数をかぞふる事をいひけり」などの定義がある。
単位

暦は、地球の自転を元にした、月の公転を元にした、地球の公転を元にしたなど、いくつかの単位に細分化されている[1]

このうち古代の人々がまず最初に気づいたのは太陽の出没、すなわち1日であった。また、季節の推移と、それが一定の周期で一巡することにも気付き、年の概念が現れる。さらに周期的な月の満ち欠けに気付き、これがおよそ12回繰り返すと季節の一巡することに気づいた[2]。こうして日・月・年の単位が成立した[3]。暦月が月の満ち欠けと一致するのは太陰暦だけで、太陽暦と月の動きは全く関連付けられていないが[4]、それでも多くの言語で暦月と月の名称に関連があり、また太陽暦でも通常1ヶ月が30日前後となっているのは太陰暦の名残であると考えられている[5]

天体の運行に基づいた年月日とは異なり、は自然現象に起源を持たない。月と日の間の計測単位は各文明によってさまざまで、例えば古代中国では月を3分し10日を1単位としたという単位を用いており、これは現代日本でも使用される[6]。また、古代ローマでは7日制以前には8日を1周期とする週が使用されていたほか、4日や5日、6日、15日など、多くの周期が用いられていた[7]。週と曜日の起源は古代メソポタミア文明にさかのぼる。メソポタミア文明では7が聖数であったため、当時判明していた地球以外の7つの天体(月・火星水星木星金星土星・太陽)にそれぞれ1日を割り当て、7日で1周期となるようにした[6]。ただし、7日周期に関しては古代エジプトが発祥であるとする文献もある[8]。いずれにせよ古代オリエントにおいて1週間7日制が成立し、これが周辺文明に伝えられ、ヨーロッパではローマ帝国期に一般的に使用されるようになった[9]。このため各曜日の名称は本来天体名に由来するが、周辺文明においてはあとから取り入れられた概念であるため天体と曜日の結びつきが薄く、例えばヨーロッパ諸言語においては太陽(日曜日)と月(月曜日)は天体由来名が残ったものの、惑星由来の5曜日については独自の名称が取り入れられ、天体との関係が消滅した[8]。週は中国を経由して日本にも伝わり、10世紀末からは七曜として暦に記載されるようになったが、これは主に吉凶を判ずるためだった。その後、明治に入りグレゴリオ暦を採用すると、週は生活の上で重要な位置を占めるようになった[10]
暦法詳細は「暦法」を参照

古代の人々は生活の中で季節の存在やそれにともなう自然現象の推移に徐々に気づいていき、その体験を元にある程度の「月」を定めて農業や狩猟などの目安とするようになった。これが暦の起こりであると考えられている。その性質上、原始的な暦は1ヶ月の長さが不定であり、また後世の暦のように1年が正確に繰り返されるような性質のものでもなかった。こうした原始的な暦は自然暦と総称されている[11]。こうした自然暦には、かつてイヌイットが周辺の環境変化に基づいて作成した暦[12]や、オーストラリア・アボリジニのヨロンゴ人が風向に基づいて使用していた暦[13]など、さまざまな種類が存在する。

次いで、の満ち欠けの周期が暦として使用されるようになった。太陰暦である。太陰暦では「何日」と月のみかけの形が一致するためわかりやすく[14]、また月齢潮の干満が対応しているため漁業には適している[15]ものの、完全な太陰暦においては一年が約354日であり、太陽暦に比べ11日短くなるため、3年間で33日、つまり1か月ほどずれてしまい、実際の季節と大きく食い違ってしまう。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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