暗号形態
[Wikipedia|▼Menu]

暗号形態(あんごうけいたい)は、カール・ヤスパース実存哲学の概念のひとつであり、実存の絶対意識において聞きとれる超越者のことばを意味する語。
概要 

ヤスパースによれば、超越者(人格的には「」と呼ばれる)は、「暗号」というかたち(暗号形態)においてのみ立ち現れる。すべての事象は、超越者による存在意識への最終的な変革に対応して、超越者の「暗号」となり、世界はいわば「暗号の世界」となる。彼は「暗号」は3種に区分されるとし、歴史的瞬間において、その都度1回限り直接絶対意識に映ずる暗号(「超越者の直接的なことば」)を第一言語とした。第一言語が伝達可能なかたちに普遍化されたものが神話芸術などであり、ヤスパースはこれを第二言語とした。そしてまた、哲学的伝達の可能な第三言語を形而上学における思弁的なことばだとした。

実存は、これらの「暗号」を自らの限界に突きあたる挫折経験を通して、解読されなければならない。それがヤスパースの唱える「暗号解読」である。ヤスパースは、暗号を解読するためには、人は日常の生活経験から脱して「限界状況」に立たなければならないとして、これを通して暗号の真の意味をとらえることができ、超越者に直面することができるのだとした。
関連項目

菩提

限界状況

枢軸時代

神秘主義

啓示

霊感

参考文献

カール・ヤスパース 『ヤスパース選集9 歴史の起原と目標』 重田英世訳、理想社、1964。原題はVom Ursprung und Ziel der Geschichte

カール・ヤスパース 『ヤスパース選集37 神の暗号』 草薙正夫訳、理想社、1982

『世界の大思想 40 ヤスパース(歴史の起原と目標、理性と実存、哲学の小さな学校)』 河出書房新社、1972

宇都宮芳明 『ヤスパース』 清水書院〈人と思想〉、1966


記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:3201 Bytes
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef